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2008年7月 2日 (水)

バナナ

何日か前のことですが、熟しすぎて真っ黒になったバナナを冷蔵庫から出して食べました。バナナは簡単に食べられてお腹もいっぱいになり、デザートみたいな感じもあっていいですね。忙しくてゆっくり飯も食べられないときは、しばしば食べてます。

バナナといえば、ず~~~っと前に本誌の取材でモルディブ共和国に連れて行ってもらったことがあるのですが、そのとき食べたバナナは印象的でした。

スリランカのコロンボ空港から真夜中の海を船でモルディブの首都・マーレに渡り、ドーニー船という足の遅い船に乗り換え、船中泊をしながら一週間かけてモルディブの島々を回るのがその時のプラン。その間、一切陸地には上陸しないタフなツアーです。

初日、その船に乗り込むと、まだ真っ青なバナナの房が、後部デッキに吊るしてありました。一体なんでこんな青いバナナを?と思いましたが、それにはちゃんと理由がありました。出発時にはまだ青いバナナが、ツアーが進むにつれて下のほうからだんだん熟れてくるのです。

『慌てなさんな、黄色くなったところから順番に食べていけば、ちょうど一週間分くらいある』

老船長は赤銅色に日焼けした顔で、そんなことを言いました。

老船長は、魚が足りなくなると『釣ったGTをひとつキープしていいか?』と言って小ぶりな魚を締め、夕食にはそれがエスニックな料理となって出てきます。しかし決して余るほどの魚は求めず、その日食べる分以外は海に戻すのです。

彼らの生活には大型の冷蔵庫もクーラーもないから、どんなにたくさんキープしても腐らせてしまうことを知っている。その中で必要な分だけをいただくという習慣が、当たり前のように染み付いているのですね。

ツアーは終始そんな調子で、慌てず、急がず、自然の流れに任せてゆったりとした時が過ぎてゆきます。文明生活にドップリと浸ったボクたちは、一見すれば豊かな暮らしの中で時間に追われてあくせくともがき、一見すれば何も持たない彼らが、実はボクたちには絶対に手に入らない豊かな時間を持っている。あの時ボクは、それを思い知らされました。

また、ボクたちが切り捨てたラインの端切れを、船長は根気よくほどいてつなぎ、それを自分の釣り道具として大事にしまう。ボロボロになったサビキ仕掛けのハリを捨てれば、羽をむしり、糸をほどき、裸の釣り針としてこれも大切に道具箱にしまう。それを見ていて、ボクは心底恥ずかしく思いました。

真っ黒なバナナと真っ青なバナナ。釣りって本当にいろいろな勉強をさせてくれますね。