vol.05『個性的な女主人が切り盛りする山小屋』 個別記事ページ


文・写真◎斉藤政喜 Text & Photo by Masaki Saito
イラスト◎神田めぐみ Illustration by Megumi Kanda

『個性的な女主人が切り盛りする山小屋』
南アルプス・両俣小屋

  両俣小屋は眺望に優れているわけではない。治山運搬道路を長々と2時間近く歩いた終点に位置しており、山小屋までの道程もけっして楽しい山歩きとはいえない。それでも多くの人々が両俣小屋にやってくる。知る人ぞ知る、隠れた人気の山小屋なのである。
 ここにやってくる人々は次の3パターンに分類できる。ひとつは仙丈ヶ岳から間ノ岳、あるいは北岳へ縦走中に立ち寄る登山客(仙丈ヶ岳から南へ延びる仙塩尾根には途中に山小屋もテント場もないのだ)。南アルプスのイワナが目的の釣り人。そして両俣小屋の女主人、星美知子さんに会いたくてやってくる人々だ。  星さんは一度会ったら忘れない個性的な女性だ。声は大きいし、笑い声も豪快。星さんが笑えば周囲の人々もみんな笑ってしまうほど、明るくて愉快なキャラクターである。

 でもけっして野卑ではない。気配りとおもてなしの心を持ち合わせた大人の女性なのである。しかも賢明かつ博識。出版関係の仕事をした経験もある星さんは、手相占いの名人でもあり、午後4時にNHKラジオ第2放送の気象通報を聞いて天気図を作成する日々を30年以上過ごしている。時間があるときにお願いすれば手相を見てもらえるが、その判断は的確。かつてスペインを旅したときに「よく当たる」と現地の人々から重宝がられたという。
 そんな器用な星さんだから手づくりの夕食もおいしいし、食後のお酒も楽しい。常連客が多い両俣小屋ではあるけれど、初めて訪れる客にも分け隔てなく接してもらえる。山小屋の魅力は眺望や豊かな自然だけでないことを教えてくれる山小屋である。

両俣小屋は野呂川沿いにあり、イワナ狙いの釣り人も多く訪れる。小屋の手前の広場はテント場。地形は平坦で、水場も近くて使い勝手のいいテントサイトだ

豆炭コタツが設置された談話室。あまりに居心地がいいものだからコタツに入ったら最後、コタツから抜けられなくなってしまう。寒い夜はコタツに足を入れて寝ることもできる

書棚には山岳雑誌以外に、両俣小屋を襲った水害の顛末をつづった本が並んでいる。著者 の桂木優さんは、星美知子さんのペンネーム。1000円で購入することができる

壁に写真が飾られている食堂。クリアな波板の屋根材が設置されているために昼間は自然光が入って明るい。白く塗られた扉には山小屋スタッフの絵が描かれている


朝食はオムレツとハム、ソーセージ、サラダという洋風のおかずがメイン。梅干しや海苔、おひたしなどもつき、バランスがいい。味噌汁やごはんはもちろんおかわり自由だ


メインのおかずはハンバーグ。山菜の天ぷらもつく。さらにこの日は鍋料理も加わった。鍋はスタッフ用のまかない飯ではあるけれど、宿泊者が少ない場合はお裾分けが期待できる

DATA

宿泊データ:
1泊2食
\7,700
素泊り 
\4,400
お弁当 
¥1,100
幕営管理料 
¥500
収容人数
約30名
営業期間
6月初旬~10月初旬
連絡先
090-4529-4947(北岳山荘経由)
期間外055-288-2146
MENU
チャーハン
\600
冷や麦
\600
ラーメン
\600
カップ麺
\400
缶ビール350ml
\600
日本酒ワンカップ
\600
ポケットウイスキー
\700
ソフトドリンク(500ml)
\400
コーヒー
\500

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