vol.04『忍者屋敷のようなインパクトある山小屋』 個別記事ページ


文・写真◎斉藤政喜 Text & Photo by Masaki Saito
イラスト◎神田めぐみ Illustration by Megumi Kanda

『忍者屋敷のようなインパクトある山小屋』
中央アルプス・越百小屋

 『越百』と書いてコスモと読む。武骨な字面と壮大な宇宙を感じさせる言葉のギャップがおもしろい。一度聞いたら忘れない名前であるが、そこに立つ山小屋も外観からしてインパクトがある。
 黒い壁に赤い屋根、そして赤い窓枠。壁は耐久性とコスパに優れるコールタールを塗っているそうだが、黒と赤のカラーリングはスポーツカーを思わせる。遠くからでも目立つ山小屋である。
 収容人数が20人のコンパクトな建物は、ご主人の伊藤憲一さんが自ら設計して20年前に建てた。伊藤さんのパートナーであるTAMAさんが「ここは忍者屋敷なんですよ」と笑う室内は、天井裏に隠れ家のような寝室があったり(ハイジの部屋と呼ばれている)、ハシゴを使って登るロフトがあったりと、独創的でユニークな間取りになっている。

 またここには「山小屋に入る前に着替える」という独自のルールもある。その理由は伊藤さんいわく「うちは厳冬用の寝袋を使っているんだけど、湿った服で寝られると次に使う人が不快でしょ」とのこと。つまり、次に泊まる人にも心地よく泊まってもらいたいという思いやりの精神から生まれたルールなのである。さらに越百小屋は「山には水がないから火事が起きても消火できない」との理由で、室内はもちろん、山小屋の周辺でも喫煙を固く禁じている。
 このスタイルを快く思わぬ登山者もいるようだが(とくに愛煙家は)、「言いたいことを僕は言う」と断言する伊藤さんの頑固な姿勢はむしろ好感が持てる。外観も中身もインパクトある個性的な山小屋なのだ。

ご主人の伊藤さんはコーヒー好き。豆をハンドミルで挽き、適温の90℃のお湯でハンドドリップのコーヒーを淹れる。少人数の登山者にサービスで出している

食堂にイスはなく、みんなが座って膝を突き合わせるスタイルで食事をとる。狭いけれど、宿泊した登山者全員が自然に打ち解けられる利点がある

越百小屋の寝具はすべて厳冬期用のダウンの寝袋。僕らが使ったのは今シーズン新調したナンガのモデル。Tシャツ1枚で十分の温かさだった

越百小屋のインテリアはお洒落心に満ちている。部屋のあちこちに小さなアクセサリーが控えめに飾られていて、目にするたびに優しい気持ちになれる


朝食はTAMAさんが担当する。盛りつけが懐石料理風でとても美しい。皿を汚さないように気を遣って盛りつけをしているとのこと。これもおもてなしの心だろう


伊藤さんが丁寧に揚げたサツマイモやシメジの天ぷらと、じっくり煮込んだ温かいおでんが夕食のメニュー。ヘルシーかつ、食べ応えがあって満足できる食事だった

DATA

宿泊データ:
1泊2食
\9,000
(小中学生)
\4,000
1泊1食
\7,500
素泊り 
\6,000
(小中学生)
\3,000
お弁当 
¥1,000
収容人数
約25名
営業期間
7月1日~10月20日
連絡先
090-7699-9337
MENU
缶ビール350ml
\600
日本酒180ml
\600
ジュース
\300
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