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2009年10月31日 (土)

Vol.471 10月31日 NRは凄かった……その7

120p2鈴鹿でのシェイクダウン後に
ボクが次にNR750を
ライディングしたのは
翌年のル・マン24時間レースの
何と約2ヶ月前……
オーストラリアはメルボルン郊外の
サーキットを貸し切って、
1週間のテストを敢行したときまで、
唯の1度も乗ってなかったのです。
この間、例の低回転域からの強大なトルクを
効率良くライダーが駆使できるよう、
アンチスクワットといって
スイングアーム・ピボットより
低い位置にエンジンのドライブ軸がくるよう
V4の軸配置を変更する、設計のやり直しがあったからで、
他にもトラクションに体重が効率良く働くよう
シート位置を高めるためシートレールの再設計や
エンジンの重心位置をミシュランの新しいラジアルタイヤの
プロファイルに合った位置に設定して
ニュートラルなハンドリングとするなど、
ボクの細かい注文にNR開発チームは
よく応えてくれてました。
「ココまで編集長の要望に応えると、
オーストラリアでのテストの予算を削らにゃならん……
同行メカニックを減らしますけどイイですね!」
なんて、尾熊監督が冗談交じりに言ってましたが、
実はそれマジだったのが後になってわかりました。
ホントはテスト遠征前に今はない谷田部テストコースで
シェイクダウンする予定があったんですが、
悪天候でそれも中止。
しかも2台つくられる予定も、2台目はル・マン本番にしか
間に合わないという厳しい状況の中、
編集部のスタッフに依然として機密保持したまま
(つまり何をしに海外に行くのかも告げず)
メルボルン郊外のサーキットに出かけたのです。

2009年10月24日 (土)

Vol.470 10月24日 NRは凄かった……その6

Nr500piston驚愕のシェイクダウンを

終えてからのミーティングで

「信じられないくらい低い回転域で

身体が前後に揺すられるほど

力強いレスポンスがあって……」

ボクは驚きというより嬉しさで

やや興奮気味に経験したことのない

ウルトラワイドなエネルギッシュさを褒めたかったんですが、

開発スタッフは慌ててこう言いました。

『大丈夫、それはすぐ消せます。

世界GPで苦労してきたノウハウがあるので

どうすれば良いかわかってますからご心配なく』

「すぐ消せる? イヤそうじゃなくて……」

NR500で歴代のライダーが強すぎるエンブレと

開けたときにいきなりのレスポンスする特性を

何とかして欲しいと言い続けてきて……』

これは変だゾと詳しく聞いてみたら、

意味合いはボクの言っている回転域ではなく

もっと高回転でパーシャルから開けた瞬間の

いわゆる“ドンツキ”と呼ばれる現象のことでした。

ただ2スト・エンジンに慣れ親しんだライダー達が

4ストならではの低い回転域から強いトラクションが

得られるメリットに気づかず、

何とか2ストに近い特性を望んでいたようです。

走り方というか、コーナリング中のスロットルワークが

2ストと4ストだと基本的に違うのは、

ボクも後で知ったので無理もないとは思います。

だから市販車の4ストでしかレースをしてなかった

F.スペンサーだけがNR500をワイドな回転域で

乗りこなしひとり上位に食い込む走りを見せた……

いくつかNRの謎が解けた気がしました。

他のライダーが4ストのメリットを活かす方向で

開発陣にアドバイスしていたら、

NR5002スト勢の後塵を浴び続けることがなかったかも。

そんな思いを馳せながら、ル・マン24時間への可能性を

強く意識しはじめていました。


Vintagebikes_2

で、遅ればせながらCMです。

昨年までライダースクラブ編集長だった

クラッシュキングこと高橋サトシが

VintageBikes誌を世に送り出しました。

説明するまでもない良き時代のバイクを

愛でる“熱き大人”向け。

10年ちょっと前、ボクもいつの間にか

こういった世界にハマりだしたのはご存じの通りですよネ。

ぜひ書店で手に取ってご覧ください!

 

2009年10月12日 (月)

Vol.469 10月12日 NRは凄かった……その5

123p2 '86年当時のNSR500を
軽くストレートでブチ抜く
188psを発生したのは、
18,500rpmのアタリ……
世界GPに挑戦していたNR500が
20,000rpmまわしていたとはいえ
ナナハンとしては超高回転型エンジン、
と思いきや、この日の試走で最も驚いたのが
中速域はおろか低回転域でも
強大なトルクが呼び出せるってコト。

何せメインチューブが切り取られているフレームなので、
コーナリング中にパワーを与えるワケにもいかず、
という走りなのでS字など超低回転で初期慣らしのような
運転だったのですが、
なのに、ちょっと開けるだけでモリモリと
後輪が路面を蹴る逞しいトラクションを実感……
何だかキツネにつままれた気持ちというのが
正直なトコロでした。

正確には覚えてませんが、7〜8,000rpmあたりから
ピークの19,000rpm手前までトルクカーブは
最大値のままという台形というには上辺が長すぎる
ウルトラ・フラットな特性であることを知らされました。
なので5,000rpm以下からでも開けると
グォッと路面に食いつくグリップのキッカケが得られ、
コーナリングの組み立てが当時では考えられないほど
楽しいというか醍醐味に溢れてるんですよネ。

どんな感じか、例を挙げるとビッグシングル、
いわゆる単コロで500とか600の排気量の大きなエンジンが
中速域以下からガバッとスロットル開けると、
バーッと猛ダッシュはじめるじゃないですか、
まさにあのフィーリングそのままでした。
低い回転域から中速域までがビッグシングル、
高回転域だとマルチ(多気筒)のスムーズな回転パワー、
この両面を備えた異次元なパワー特性だったのです。

ストレートを駆け抜けるのはご法度ということで
毎周ピットインしてましたが、
スタッフがタイヤのサイドウォールとリムサイドに
タイヤチョークでつけた白い線をチェックすると
必ずズレていたほどトルクが強大でした。
つまり加速時にホイールの猛烈な回転力に
タイヤのビード部分が滑ってしまっていたというワケ。
そんな唖然とするインパクトだらけの試乗でしたが、
終了してからのスタッフとのやりとりは
さらにボクを驚かせたのです。

2009年10月 2日 (金)

Vol.468 10月2日 NRは凄かった……その4

Nr750eg その日、鈴鹿サーキットは
HRCのテストデー……
ボクらジャーナリストが
立ち入ることなどできない、
ワークスマシンとワークスライダー
それにメカニックやエンジニアたちが
サーキットのコースはもちろん、
パドックも貸し切っていました。

用意されたNRは、
HRCの応接室で見たままと同じ。
外観は、ほぼRVF750……
但しツインチューブフレームの
メイン部分が一部切り取られた、
取り敢えず試走してみるだけの状態。
オーバルピストン32バルブV4は
通常のV4よりピストンが横に長く
エンジン幅がワイドなので、
RVF750のフレーム幅には収まらなかった
というわけデス。
「…なので根本さん、毎週ピットインしてください」
つまり車体剛性もへったくれもない状態なので
ホームストレッチを高速で通過するのは
止めておいてくださいってコト。
「もちろん、コーナーも攻めちゃダメですよ」
まずはオーバルピストンの感触を知ってもらう、
それだけが目的の試走……何度も念を押されました。

で、いよいよコースイン。
S字で瞬く間にM.ドゥーハンに抜かれ、
(はじめてホンダと契約したばかりで
怒濤のアクセル全開をアピール……挙げ句、
逆バンクで目の前で大クラッシュ!
後に大怪我をしてクールなライディングで見事復帰
NSR500で無敵の連続チャンピオンとなりましたネ)
スプーン手前で木下選手のNSR500にもパスされ
スプーン出口の長いストレートの下りで
ようやくアクセル全開にしたそのときでした。
ギョ〜ン!、まだ1万回転にも満たない中速域なので、
やんわりとした加速をイメージしてたのに
まるでビッグシングルのような
強烈ダッシュに見舞われたのです。
ギョ〜ン、ギョ〜ン、ギョ〜ン……
3速も4速も5速も、2速と変わらない
短い間隔で矢継ぎ早にシフトアップ、
途中で木下選手のNSR500に瞬く間に追いつき
ズバッと瞬時に抜き去ったのには2度ビックリ!
後でエンジン回転数から逆算すると
300km/hを軽くオーバーしてたのデス
(鈴鹿で300オーバーは当時あり得なかった)。
750ccまで拡大した
オーバルピストン32バルブV4の出力は
デイトナ目指したこのスプリント仕様で
何と188psと当時のGPマシンも手の届かない
ウルトラハイパーだったのです。
でもオーバルピストンのポテンシャルは
そんなものではありませんでした。

根本健

  • 1948年東京生まれ。小学生から鉄道に飛行機と、オタク街道まっしぐらだったのがナゼかバイクの道へ。ロードレースに憧れ'73年全日本チャンピオン。'75~'78年に世界GPにチャレンジ。帰国後ライダースクラブ編集長となり28年間雑誌づくり人生。最近はビンテージバイクにもハマり、レースやツーリングに楽しみを広げている。

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