大久保慈

  • おおくぼ・めぐみ
    建築家。1974年生まれ。明治大学理工学部建築学科卒業。2000年よりヘルシンキ工科大学建築学科。2002年よりR-H Laakso,JKMM他フィンランドの建築設計事務所勤務。北欧スタイル他、寄稿多数。

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2009年10月 4日 (日)

華の道は……


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   久しぶりに花を買ってみた。というのも少し前にお母様が亡くなったという友人が、残ったお父様が一人で暮らすには家が大きすぎるとかで家財を処分していた。そこで譲り受けたのがアールトの花瓶とアラビアの60年代の陶器の花瓶。アールトの背の高い花瓶は前から欲しかったものなので、花を生けて試してみたかったのだ。でもアールト花瓶の生け花は困難極まる。花を、植物をダイナミックに見せる勅使河原宏はやっぱりすごいななどと感心。

   フィンランド人にとってインテリアを飾ることは女性のたしなみのようなものだろうか。最近は男性もインテリアに興味があると言ってはばからない人も多いけれど、私の年代の人たちの親の世代は特にインテリア・デザインの全盛期みたいなものだし、その世代の女性はガラス器やら陶器やらを収集していた人が多いように思う。手に届く値段で、そして使える。自分の子ども達や孫にでも残してあげられるような価値のあるものだし、そのうち価値も上がるだろうしという部分もあったのではないかと思う。個人的には美しいガラスはいくら眺めてみても飽きない。手仕事の技が作り出す美だ。

   ところで、かの友人の母君も収集した数々の名器を息子に、そして息子の嫁にでも相続させたかったのではないかという疑問が残る。彼は独り者だし、機会を見つけて暖かい国へ移住したい。なんでこんなにたくさん似たようなガラス器や陶器ばかり買い込んだのだろう……というタイプ。アールトの花瓶だけでも十は下らないし、もう作られていないタピオ・ヴィルッカラの作品も多数。普通の住宅や、特に都市部のアパートには入りきれないのは当然のこと。でも母君の気持ちを想像すると少し申し訳なくも思う。「値段は自分の気持ちで払ってくれればいいよ。アールトのは10ユーロくらいかな。」などと言う友人に市場相場よりも安めの値段ではあるけれど、古物商より多め、それなりの額を無理矢理に渡した。そして、とても大切にしようと思う。