ハサミ屋のフィスカス 1
1999年に私がフィンランドに引っ越してからの10年あまり、2000年代におけるこの国の最大の変化は商品やメーカー、デザイナーのブランド化だと思う。フィンランドの工業デザイナー達は老舗メーカーの傘下で、堅実な技術者たちに支えられてその腕を振るっていたと思う。どちらかというと寡黙で玄人な世界だった。それが、デザイナーズ・ブランドが生まれ、ヘルシンキの中心部にフラッグショップを抱えるデザイナーが現れたのがここ10年のことだと思う。企業も老舗、堅実というだけのブランド・イメージを刷新してスタイリッシュ、フィンランドらしさを前面にだしてイメージ、商品ともに国際化を計ったのだ。実際にEU統合とともに海外ブランドが流入し、国際競争力の強化を余儀なくされたことも一因ではないかと思う。
オレンジ色の取手が手にしっくりと馴染んで、使いやすさが魅力のフィスカスはフィンランドを代表する工具メーカーだ。日本でもかなり浸透しているようだし、数々のデザイン賞も受賞している。でも別にデザイン・ショップに商品展開するでも無く、普通のスーパーやデパート、園芸ショップや金物屋、工具店などでハサミからシャベル、熊手などなどを売っている。華々しいデザイン賞、国内外の評価の割にはなんだか地味なほどに堅実。










