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2017年7月14日 (金)

スフィロ社のカーズ『アルティメット・ライトニング・マックイーン』の出来がアルティメットだった

映画『カーズ』が好きだ。

もう、ウチは子供たちは子供向け映画だと思って見に行かなくなったけど、僕は行く。



なにしろ、『ニモ』に触発されて、海水魚とサンゴの飼育雑誌を創刊してしまった、私だ。

好き過ぎて、PIXERに取材にお邪魔してしまったほど。
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ちなみに、ここはスティーブジョブズ・ビルディングという……(※取材で特別に入れてもらいました。PIXERの構内になるので、普段は入れません)。

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PIXERのアニメの何が素晴らしいって、作り手が対象をちゃんと取材して、作っているところ。対象に愛情がちゃんとあるところ。

ニモを作った時も、スタッフをグレートバリアリーフに連れていって、ダイビングをさせたというから、海中の光の揺らめき方、サンゴの生え方(どういうところに好日性のサンゴが生えていて、流れの強い所にはどういうサンゴが生えるか)などまでキッチリ描かれている。こういうところって、大事なところ。

そして、カーズで描かれるのは、アメリカのモータリゼーションであり、アメリカンレーシングの世界。

僕もそれほど詳しいわけではないけど、20〜15年ぐらい前には、ウチのボスのデイトナでのレースの出場を手伝ったり、そういうシーンの取材に行ったりしていた(バイクのレースだし、実際に関わったのはちょっとだけど)ので、その香りがカーズからいっぱいに漂ってくるのがたまらないのだ。

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オーバルのコースを全開で駆け抜けていく、独特の世界。広いフラットな国だから、こういうレースが発展したんだろうなぁ……。だけど、ほぼ同条件で、こういう場所を走るからこそ、微妙な駆け引きや、工夫が生きてくるらしい。先日、佐藤琢磨が優勝したインディ500はそいういう世界の頂点。

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カラーリングや、細かいロゴのディテールにクラシカルなアメリカの雰囲気を漂わせるのがお約束だ。カラッと晴れたアメリカの光の中で、バッチリ決まるレタリングは本当にカッコいい。そのあたりの話は、弊社のアメカジファッション雑誌、Lightningをどうぞ。

話は壮大に逸れまくったが、今回レポートしたいのは、あのiPadで操縦できるコロコロ転がるボール状のトイや、同様の仕組みで動くBB-8を作ったスフィロ社の『アルティメット・ライトニング・マックイーン』(3万8380円(税別))。

これが本当にすごい。

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iPad Proで操縦できるのはもちろんだが、簡単にドリフト(というかパワースライドかな)できるし、実際のカーズのキャラクターのように前輪の高さを買えて車体全体でジェスチャーするし、しゃべるし、口は動くし、ウインドウ部分の目も動くしで本当にすごい。

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筆舌に尽くしがたいので動画を作ってみた。ご覧いただきたい。





まず、走りが楽しい。狭い場所でもスライドしながらターンしていける。小さな台形ディスプレイによる目のアニメーション表示と、アニマトロクス技術で動く口、そして、映画そのままの声優さんが演じているセリフによって、本当にあのライトニング・マックイーンがそこにいるような気分になれる。

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走ってる時も、劇中のように自分で車体を傾けたりして、セリフを言うから本当によく研究されている。

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これはファンならずとも欲しいよね……。

子供のオモチャとしては3万8380円(税別)は、ちょっとなんというか安くはないんだけど、これをどうやって購入することにするかは、お父さんの腕の見せ所のような気がする。


アップルの基調講演に登場した『コンピュータおばあちゃん』は筋金入りだった!

WWDCの基調講演の冒頭で、アップルCEOのティム・クックが紹介した82歳のエンジニア若宮正子さん。

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ティム・クックが会いたがった『コンピュータおばあちゃん』。親しい人には『マーちゃん』と呼ばれる彼女。実はWWDCの前に、彼女に何度かお会いしていたので、その様子をお伝えしよう。

最初にお会いしたのは、『シニア・プログラミング・ネットワーク』の取材にお邪魔した時だった。
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登壇者3人の平均年齢なんと77歳というすごいイベントでしたが、「挑戦するのに遅過ぎるということはない」といういことを教えていただいたイベントでした。左にいらっしゃるのは、マーちゃんの師匠に当たる小泉勝志郎さん。

そして、これがマーちゃんが開発してリリースしたiPhoneアプリhinadan。

こちら(https://itunes.apple.com/jp/app/hinadan/id1199778491?mt=8)から無料でダウンロードできる。

4月末時点で2万99500ダウンロード、75万ビューとのことなので、WWDCに登場した今となっては、もっとすごいことになっているんだろうなぁ……。


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マーちゃんは高齢者の方を集めて、ご自宅でパソコン教室も開催してらっしゃったりもする。これは、その取材のためにご自宅にうかがった時に撮影させていただいた写真。

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突然、Swiftでプログラミングを書きはじめたわけではなくて、もともと古くからパソコンには触ってらっしゃった。

今、82歳のマーちゃんは、終戦の時に10歳。国民学校に行った最後の歳になるのだそうで、学童疎開なども経験されている。

その後、東京の銀行に就職され、しっかりと定年までお勤めになったのだそうだ。趣味は海外旅行。だから英語も堪能でいらっしゃる。

60歳の定年退職が近づいた頃、本屋さんで『パソコン通信』に関する本を見つけた。ちょうど近々ウィドウズ95がリリースされるという頃だった。

「遠方の友達と交流できるなら面白そう」と思ったマーちゃんは、パソコンを買ってパソコン通信を始めたのだそうだ。

その後、パソコン通信は相当やり込んで、パソコン通信上の高齢者のグループ『メロウクラブ』の副会長も勤めるほど。じつは『マーちゃん』というのもパソコン通信のハンドルネームなのだそうだ。

その後、エクセルアートにもハマって、いろいろなメディアに取り上げられ、TEDxTOKYOにも登壇する。

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WWDCで紹介された写真に写っているネックレスも、実は自分でAutodeskの123DというCADソフトでCAD図面を引いて3D出力してもらった自作の品。

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なんでも、自分で工作して作ったりするのが好きなのだそうだ。

今回のようなお教室を2つ持っていて、メロウクラブの会合、マンションの管理組合の書記をしていて、かなりお忙しいそうだが、それでも講演会などの依頼があると極力でかけていくようにしているという。本当にパワフルな方だ。

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パソコン教室では、時事の話題をもとにスライドを作って、パソコンについていろいろなお話をされている。ちなみに、私が取材にうかがった時の講義は、ビットコインの話をキーに、インターネットで横行する詐欺や、それにどうやって気をつければいいかをお話されていた。

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いつお会いしても、本当にお元気で、ほがらかで、本当に驚いてしまう。

ちなみに、アップルのWWDCから帰ったあと、日本に2日だけ滞在して、友達に会うためにロシアに旅行に出かけられた。

彼女よりはるかに若輩な我々が、日々に疲れたり、海外をおっくうがったり、プログラミングを「もうはじめるのには遅い」とは言えない。

彼女より多少若い我々は、彼女に恥ずかしくないように、がんばろう。

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(村上タクタ)

IoTで『服薬』を管理する薬箱。アイデアが短期間でカタチになる医療系API『CareKit』で開発

凸版印刷とデンソーウェーブがiPad連動型の通信薬箱を発表しました。

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↑iPadと通信薬箱はBluetoothで連係。専用アプリで服薬のアラートや通知を出す

ICタグを付けた薬包を箱を管理。朝、昼、晩と飲むために薬を取り出すと箱が服薬状況を取得して記録します。連動したiPadは飲み忘れを防ぐための『服薬アラート』や残薬量を表示するだけでなく、Wi-Fiを介して情報をクラウド上にデータをアップ。それにより、家族やお医者さんにちゃんと薬を飲んだのかを知らせる機能も搭載しています。

凸版印刷はICタグ薬包と通信機能付き薬箱の開発を担当。デンソーウェーブはこの通信機能付き薬箱に組み込む、複数の薬包に取り付けられたICタグを非接触で一括読み取りする920MHz帯RFID読み取り技術を担当しています。

実証実験の結果、服用を促すアラートや画面表示は飲み忘れを防ぐばかりか、遠くにいる家族に安心感を与えることもできたとのこと。また、現在、家庭に残っている薬の量がリアルタイムで即座にチェックできるだけでなく、薬局などでもらえる『お薬手帳』では確認に時間がかかったり、記録漏れが生じていましたが、通信機能付き薬箱があれば服薬履歴も簡単に把握できるようになります。

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↑薬包ひとつひとつにICタグを付けて管理。薬が箱から取り出された情報をクラウドに上げ管理する

この通信機能付き薬箱の開発にはAppleが提供するオープンソースフレームワーク『CareKit』を使って開発されたとのこと。Appleは医学研究向けに『ReserchKit』オープンソースAPIを提供しています。こちらは医療の研究機関などが開発したアプリを介して、被験者から確実ながらこれまでにないほどの膨大な量のデータを収集し研究を進めることができるというもの。

一方、『CareKit』は個人向けの医療にフォーカスしたもので、世界的にこのAPIを使って開発されたアプリの数も増えてきているとのこと。

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↑『CareKit』を使った専用アプリ。UI、UXはテンプレートから選ぶだけでOK。デジタルに疎い年配の方でも、いつもの慣れた操作でアプリを操作できる。

今回発表されたiPad連動型の通信薬箱は『CareKit』を使って開発されました。その大きなメリットは、iOSアプリ用なので対応するデバイスが多いこと。セキュリティの高さが確保されていること。そしてUI、UXのテンプレートが用意されていることにあるといいます。

通常、一からアプリを開発する場合、デジタルに疎い人でも使えるようにUI、UXのデザイン調整は何度も検証を繰り返して行うものですが、『CareKit』ならテンプレートから選ぶだけでOK。そのため、『CareKit』を使えば開発期間を大幅に短縮させることができます。実際、凸版印刷とデンソーウェーブが開発したこの通信薬箱はアイデアから数ヶ月でカタチになったとのこと。

このiPad連動型の通信薬箱は、まだプロトタイプ。薬箱のデザインやサイズ、iPadとの装着方法(iPadはBluetoothで薬箱と連動。ユニバーサルアプリなので、iPhoneでも連動可能)から、お昼に外出するためふたつ取り出した場合の管理方法、そして薬包へのICタグの装着方法やそのコストなど製品化するために考えなければならないことは残っています。

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↑通信機能付き薬箱はまだプロトタイプ。『CareKit』を使えば、服薬状況などをApple Watchに表示させることも簡単だ。

これまでなら、商品化以前、アイデアをカタチにするまでにかかっていた膨大な時間を、『CareKit』は圧倒的に短くしてくれます。『ReserchKit』を活用したアプリが雨後の筍のように増えているように、『CareKit』を使ったアプリ、そしてそれと連動する機器も増えていくはず。

これからの技術として注目を集める『IoT』。その普及は、医療の分野から本格的なものになっていくのかもしれません。

2017年7月 9日 (日)

フリック! 2017年8月号 Vol.70、今夜発売です!

早いもので、初代iPad発売を機に作った、フリック!も70号。GPUパフォーマンスを500倍に拡大したiPad Pro 10.5の記事を書いているのですから、不思議なものです。

今夜24時に、8月号Vol.70を配信します!



Photo先日、速報でお伝えしたWWDCの速報と、発売された数多くの新製品のインプレッションと、テストをお送りします。

実機を触ってみたからこそ、速度テストを動かしてみたから分かる部分ってありまして……。iPad Proの激速ぶりとか、MacBook Pro 15と13、13のTBなしはどのぐらい速度さがあるか……とか、いろいろ興味深いです。

その他待望のキヤノンEOS 6D Mark II、オリンパスの防水カメラTG-5なども実際に撮影してレポート。その他にも新製品満載しております。

また、デジモノ好きにはたまらないIT関連各社のTシャツを特集。各社からいただいた37枚を読者のみなさんに抽選でプレゼントします。これからのシーズン、レアなデジモノ系銘柄のシャツというのもいいかもですよ!

お求めはこちらから!
https://www.ei-publishing.co.jp/magazines/detail/flick-439374/

2017年6月12日 (月)

WWDC 2017関連記事インデックス

WWDCで取材した件を集めたインデックスを作りました。
まだ、お読みになっていない記事があったら、ぜひ。

現場からならではのレポートをぜひお楽しみ下さい。

(村上タクタ)


WWDC 2017 Overview『アップルの大攻勢』
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc-2017-overv-ae93.html

アップルの未来が語られる! WWDC2017 レポート!!(速報Tweetまとめ)
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc2017-1560.html

高性能な新iPad Pro 10.5は、パソコンになりたいのか? パソコンを超えるデバイスなのか?
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/ipad-pro-105-5f09.html

アップルが新カテゴリー製品、HomePodを売る本当の目的
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/homepod-1b5a.html

WWDCで刷新されたiMac、MacBook Proは買いなのか?
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdcimacmacbook-a76e.html

WWDC 2017で発表された、ポケモンがちゃんと地面に立つiOS 11
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc-2017ios-11-c39f.html

土台から変更されたmacOS High Sierra。VRクリエイターに! WWDC 2017
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/macos-high-sier-1d4d.html

WWDCに参加している、女性デベロッパーFlask LLPにインタビュー!
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdcflask-llp-e572.html

WWDCが開催されるサンノゼってこんな街
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc-85f5.html

アップルの新社屋『Apple Park』が未知との遭遇レベルの巨大さだった
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/apple-park-3a43.html

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2017年6月 8日 (木)

WWDCに参加している、女性デベロッパーFlask LLPにインタビュー!

さて、原稿書きの合間を縫って、日本から参加してらっしゃる女性デベロッパーFlask LLP(http://flaskapp.com/ja/)のお二人にお話を聞いてきました。

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世界75カ国から5300人の開発者が集まるWWDC。我々取材者は、ほとんど最初の基調講演しか聞けないので、どうしても基調講演で発表された新製品の情報などが中心になるのですが、実際には月曜日から金曜日に渡って多くの人を集めてエンジニアがアプリ開発のための新しいAPIや、次世代のアプリを開発するためのコンセプトを話してくれるセッションがいくつも開催されます。また、アップルの開発者、エンジニアと話をして、プログラム開発で問題引っ掛かっている部分や、疑問に思ってる部分を質問できるハンズオンラボ、ゲストスピーカーの話しを聞いたりできるのです(詳しくはこちら(英語ですが))。

このWWDCに参加しようとすると、エンジニアの方は日本円で17万8000円もする参加費を払って、さらに抽選で勝ち残らねばなりません(実は私も取材を兼ねて参加したくてエントリーしたことがありますが落ちました)。さらに、もちろん飛行機代やホテル代もかかります(期間中はホテルが相当値上がります)。

そんな大枚を払ってまで、なぜWWDCに参加するのか、Flask LPPのお二人に聞いてみました。

Flask LPPは以前もご紹介しましたが、美しくてポップで繊細なデザイン、実用的な機能と、素敵なヘルスケア系のアプリを作ってらっしゃる、小川秀子さんと、堀内敬子さんのおふたりです。

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WWDCには毎回参加されているとうかがいましたが、今年で何回目ですか?

Flask「ふたりとも、4回目です。2013年は堀内だけ、2014年は小川だけが抽選に通って、それぞれ1人で来ました。2015年からは3年とも2人で来てます」

安くない費用がかかると思うのですが、なぜWWDCに参加するのですか?

Flask「なぜでしょう?(笑)モチベーションが上がるんです。Keynoteを聞いて、世界中の一番熱意のある開発者さんたちの中にいて、新しい機能やサービスのことを聞いて。毎年、WWDCに来て『よーし! やるぞー!』って思うんです。前年1年がんばったご褒美っていう意味もありますね」

なるほど、せっかく来たのだから、サンフランシスコとか、ナパとか観光していかれるのですか?

Flask「全然(笑)私たち、日本でもそれぞれ開発はひきこもってしますし。WWDCでも観光もせずにホテルに引きこもってます(笑)Keynoteやセッションで聞いた話に基づいてテストのコードを書いて質問したり、新しく勉強したことを試したり」

えー、もったいない(笑)

Flask「日本だといろいろ世間の情報も入るし、あんまり集中できない側面があるんですけど、WWDCにいる間は100%開発に取り組めるんで、すごく集中できるんです」

他にもWWDCに来るメリットはありますか?

Flask「最新の機能に触れて、それを実装できることですね。新機能を採用すると、やっぱり注目されるし、売行きもよくなるんです。App Storeで大きく取り上げられたりもします。何より、新しいことにチャレンジするのは楽しいですし」

※編注:FlaskのApple Watchの心拍計を使って運動強度に基づいたトレーニングができるアプリZonesと、スタンド機能を使って1時間に一回立つことをゲーミフィケーションするアプリStandlandApp StoreのBest of 2016に選ばれている。

今年の基調講演で発表されたことで、開発者の方々の間で話題になっていたことはありますか?

Flask「うーん、なんだろう? 今年は新製品が多かったですよね。開発者としては機能についての話に興味があるのですが。あ、ARKitはみんなすっごい話題にしてましたね。APIを使えば、割と簡単にテーブルの上にあるような仮想の物体を描画できるってすごいです。これを簡単に使えるなんて。私たちも****を****したいなって、話しをしてて!」

おっと(笑)それはまだ一応書かずにおいて、楽しみにしておきましょう。私も新機能や新アプリの登場を楽しみにしておきますね。

今日がお忙しい中、ありがとうございました!

読者のみなさんも、ぜひFlask LLPのアプリ、使ってみて下さいね! 良いですよ!

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我々取材者は、基調講演しか取材できないのですが、開発者の方がなぜWWDCにいらっしゃるか分かりましたでしょうか?

先にもお伝えした通り、10歳のオーストラリア人の男の子から、82歳の日本人・若宮正子さんまでが取り組んでいるアップルのアプリ開発。今から、がんばって取り組めば、来年のWWDCに参加しているのは、あなたかもしれませんよ?

(村上タクタ)

2017年6月 7日 (水)

高性能な新iPad Pro 10.5は、パソコンになりたいのか? パソコンを超えるデバイスなのか?

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猛烈なパフォーマンスを持ったiPad Pro 10.5が登場した。

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プロセッサは新設定のA10X。その名の通り、iPhone 7のA10の流れを汲むプロセッサだが、なんと6コアで(従来のiPad Proはデュアルコア)、GPUは12コア。グラフィックスの性能は初代iPadの500倍もの性能を発揮するようになっているという。

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ちなみに、12.9インチも同等のモデルチェンジを受けており、10.5と同じA10Xチップを搭載し、P3ディスプレイなど10.5インチモデルと同等の装備を搭載(従来、9.7はP3搭載だったが、12.9は少しモデルチェンジサイクルが送れており未搭載だった)。また、軽量化も果たしており、12.9インチは従来モデルより30〜40g軽くなっている。

新しい2台のiPad Proが卓越した性能を与えられている理由は2つあると思う。ひとつは、人気を博しつつあるSurfaceシリーズを完全にキャッチアップすること。いまひとつは先にも述べたように、AR/VRを観賞するデバイスとしての処理能力を得ることだ。


このようなAR動画を遅延なくスムーズに処理するには、相当なパフォーマンスが必要とされるはずだ。

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とりわけ、Surface対抗としての機能は、CPU/GPU性能、画面サイズで見劣りしないこと、外付けSmart Keyboardの搭載、特に英語版以外の拡充(ついに日本語JISキーボードも新設定された)、Apple Pencilの機能の精度向上など、ハードウェア面に加えて、パソコン的に使えるマルチタスク機能の充実、ついに装備されたFiles(ファイルズ)というファインダー的ファイル管理システムアプリ……などのiOS 11によるソフトウェア面の機能充実の両面から実現されている。

そもそも、タブレットとしての理想を『パソコンとは違うインターフェイス』に求めていたiPadとしては『理想を失った』とみるか、『当初のコンセプトは満たしたので、パソコン的機能をカバーした』とみるか、意見の分かれる部分ではある。

ヘビーユーザーとしては機能が充実した方が嬉しいが、私個人としてはSurfaceを意識するあまり、iPadが本来求めた『誰もが理解できる、触れるインターフェイス』という理想から離れていくのは少し寂しいように思う。私はいずれにせよ、Macは別に持つので、パソコン的機能を充実させるより、手書きであったり、スムーズなグラフィックスであったりといった、iPadならではの機能を充実させてもらった方が嬉しいのだ。

いずれにせよ、iPadがさらに前進しようとしていることは確かだ。

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もう少し細かい話をしよう。

こiPad Proの進化はハードウェアとソフトウェア両面から実現されているので、分けて考えよう。まずは、ソフトウェアの進化、つまりiOS 11の機能から。

ちなみに、iPad Proは発表当日から受注開始で、来週以降出荷ということで当初はiOS 10で出荷される(会場に置いてあったデモ機はすべてiOS 11がインストールされていたが)。iOS 11は一応『この秋登場』とアナウンスされている。

iPad Proで使うiOS 11は、だいぶパソコン的なインターフェイスを持っている。

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画面下にはドックが設けられており、そこから様々なマルチタスク機能が使いやすくなっている。コントロールセンターも充実しており、多くの機能を一覧して扱えるようになっている。

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さらに、そこからSplit View、とSlide Overを組み合わせて使えば、複数のアプリを使う機能もかなり便利になっており、ドラッグ&ドロップなども可能になっている。


反面、従来のパソコンとは違う、タッチパネルデバイスに、それらの機能を盛り込んでいるため、誰知らない新しい使い方を習得せねばならず、使い方を習得するのに、若干あたらしい学習をしなければならないともいえる。

さらに、ファイルを操作するFilesというアプリも設けられており、ずっとiPadが否定してきた、『アプリにヒモ付かないファイルの取り扱い』を可能にしてしまっているので、従来の路線からの逸脱を感じなくもない。

このFiles、本体内、iCloudはもちろん、Dropboxなど社外のクラウドサービスにも対応しており、かなり踏み込んだ内容となっている。『理想から離れた』と文句は言いつつも、使ったら、便利に違いない。

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ハードウェア機能は、上記A10Xチップ搭載による高速化が大きい。従来のiPad Proに搭載されてきたA9Xチップと比べ、CPU性能で最大30%、グラフィックス性能で最大40%高速になっているという。



ディスプレイは最近アップルが推し進めているP3色域に対応したもので、さらに120Hzのリフレッシュレートに対応するProMotionテクノロジーを搭載している。

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表示が高速化することにより、スクロールなどが驚くほどスムーズになり、たとえばwebページを高速でスクロールしながらも、内容を流し見して把握する……というようなことが非常にやりやすくなっている。

また、単に高速化しているだけでなく、その速度が不要な時(静止画表示など)には周波数を落とし省電力に寄与している。映画の場合は24Hzに合わせるなど、非常にインテリジェントなグラフィックシステムになっている。

また、表示速度が速くなることにより、Apple Pencil描画時のレイテンシーが20mm/秒まで向上しているので、ダイレクトな書き味、『書き心地』に相当する部分がかなり向上している。

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また接続はLightningのままだが、通信仕様としてはUSB-Cを含むものにバージョンアップしており、より高速なデータ通信と、素早い充電を実現している。

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これらにより、iPadのラインナップの整理が進み、スタンダードな『iPad』は十分にリーズナブルに。ズバ抜けた高性能を持ちSmart KeyboardやApple Pencilに対応した、パソコンライクな部分もカバーするiPad Proは、大きな(Surface Pro 4より大きな)12.9インチと、(Surface 3より画面表示領域が広い)10.5、そしてiPad mini 4(これについては、今後アップデートされるのかちょっと謎)の4つのラインナップに整理された。

コンシュマーモデルとしては当初思われたほどの売行きを示していないと言われるiPadだが、アップルがiPadをまだまだ充実させていくという意思をはっきりと示したモデルチェンジだ。

(村上タクタ)






2017年6月 6日 (火)

WWDC 2017 Overview『アップルの大攻勢』

なりふり構わない、新製品ラッシュ

今、必要とされている部分を一気に埋め合わせる。それが今回のWWDC 2017のテーマだったように思う。

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プレゼンテーション中、何度も何度も繰り返されたのは『機械学習』『AI』、そして『AR』『VR』という仮想空間を扱う用語だった。

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さらに、Surfaceに勝てる画面サイズということで、『iPad Pro』は10.5インチになり、欠けている高性能デスクトップをカバーするために『iMac Pro』が登場し、AlexaやGoogle Homeに対抗する音声認識ホームデバイスとして『HomePod』が登場し、iOS 11や、macOS High Sierraなどの機能は、すべて『今、アップルに必要とされている部部』を埋め合わせることに集中している印象だった。

もっといえば、今、アップルが後塵を拝している部分を、素直に認めて、なりふり構わず盛り込んでいるのだ。

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VR/ARの作り手になれるMacと、楽しめるiOSデバイス

たとえば、iMac、MacBook Proの機能向上と、外付けGPU、HTC Viveを使ってのAR/VRなんて、その最たるものだろう。3Dゴーグルを実現するのにHTC Viveなんて他社製品を使うなんて、アップルらしくはないし、Kaby Lake世代のCPUの採用は当然としても、昨10月末に発売されたMacBook Pro Late 2016からわずか7カ月しか経っていないのにオーナー(私のことだ)の悲しみを省みず、モデルチェンジするのもらしくない。

また他社製外付けGPUにしても、たしかにThunderbolt 3のメリットを引き出した構成であるとはいえ、いかにもらしくない。

が、しかし、VR/ARコンテンツを自由に作り出すためには、そのスペックのマシンと外付けGPUが必要になってしまったのだと思う。

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というわけで、ハンズオン(基調講演後にプレス向けに公開される新型マシンに触れる取材場所)での展示は猛烈にVR/AR中心。Windowsマシンの人からすれば、何をいまさらな部分もあるだろうが、Mac/iOSデバイスコミュニティが参入してきて、はじめてユーザーベースが大きく増えるという側面もある。

Macで体験するVRコンテンツはなかなかのものだった。Windowsの最先端VRデバイスに触れている人は物足りないようだったが、Macユーザーとしては、Macで駆動できれな導入コストは大きく下がる。

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ちなみに、外付けGPUは599ドル〜とのことだった。HTC Viveが10万円ぐらいとすると、Thunderbolt 3(USB-Cでもいいのか未確認)ポートも付いたMacを持っていれば(Late 2016以降のMacBook Proや、今回発表のiMacなど)、17万円ほどの追加コストでVRコンテンツを楽しんだり、作り手側に回ったりできるということだ。

最大で18コアのXeonを搭載可能なiMac Proはこれをさらに加速するデバイスだとは思うが、プロユーザーはディスプレイを独自に選びたいだろうし、Mac Proはどうなるんだろうとか、いろいろ気になるデバイスではある。

iOSデバイスではVRゴーグルは駆動できないが、VR/AR系のAPIが充実してくれば、ハコスコのようなカタチで楽しめるデバイスも増えていくのではないだろうか?

少なくとも、画面表示タイプのARは十分に扱えるようになっている。スターウォーズの3Dチェスはとってもユニークで楽しくて、ジャバ・ザ・ハットとチェスしている気分でいっぱいだった。

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あらゆる側面に、機械学習を活用

Siriのバックボーンの学習や、Siriの発音、われわれがSiriに頼む内容の解析、Siriウォッチフェイスに表示する内容、写真アプリの顔認識、画像加工、文章の解析、手書き文字の解析……などなど、ありとあらゆるところのデータ解析の説明に『機械学習』『AI』という言葉が出てきた。

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こちらも、すでに研究を進めている人からすると、「何をいまさら!」ということかもしれないが、iOSデバイスほど数が普及しているデバイスにこれだけ採用されているとなると、おのずと意味が変わってくる。

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「家を出る時に鍵を持ってるか確認するんですよね?」「今日の夕方は、●●さんとのアポがありますよ」「夕方には天気が崩れますから傘をどうぞ」……などの情報がApple Watchに表示されるとかなり便利だと思う。


今でも私は、次のカレンダーでのスケジュールをApple Watchに表示しているが、これだけでも、会話中に次の予定の時刻をチラ見することができるし、ゆっくり休んでる時に「アレ? 何か予定をすっぽかしてない?」と不安になっても、Apple Watchを見るだけで事足りるようになっているからかなり便利だ。Siriウォッチフェイスは、この昨日をさらに推し進めたものだと思う。実際に使ってみるのが楽しみだ。

ティム・クックは戦う気、満々だ

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WWDCは、その名の通り、開発者の集まりだ。

そして、ティム・クックは、アップルを支えているのは、ここに集まってる開発者たちだということをよく分かっている。だから、これらの武器を提供し、鬨の声を上げているのだ。

もちろん、他社対抗だとか、後追いだという批判もあるだろう。

しかし、アップルという会社が、あとから技術が実用的になった時点で現れて、そのカテゴリーの製品やサービスを『Reinvention(再発明)』して席捲してしまうのが得意な会社であることは歴史が物語っている。

ミュージックプレイヤーRioを持っていた人はiPodを笑ったものだ。iPhoneの登場をBlackBerryはどう捉えていただろう?

アップルのAR/VRが、HomePodが、進化したApple Watchが、世界を席捲しないと誰が言えるだろうか? そんな可能性を感じさせられたWWDCの基調講演だった。


(村上タクタ)

(関連記事はこちら)

WWDC 2017 Overview『アップルの大攻勢』
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc-2017-overv-ae93.html

アップルの未来が語られる! WWDC2017 レポート!!(速報Tweetまとめ)
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc2017-1560.html

高性能な新iPad Pro 10.5は、パソコンになりたいのか? パソコンを超えるデバイスなのか?
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http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdcimacmacbook-a76e.html

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土台から変更されたmacOS High Sierra。VRクリエイターに! WWDC 2017
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http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc-85f5.html

アップルの新社屋『Apple Park』が未知との遭遇レベルの巨大さだった
http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/apple-park-3a43.html

2017年6月 5日 (月)

アップルの新社屋『Apple Park』が未知との遭遇レベルの巨大さだった

日本から遠路はるばる来たら、やっぱりアレ見に行っちゃいますよね!

4月から引っ越しがスタートされているとレポートした、アップルの新社屋『Apple Park』です。

サンノゼからは約15km。バスで30分ぐらいです。

バス停からテクテク歩きましたが……地図のスケール感がよくわからなくて(笑)結局5kmぐらい歩きました……。

なんというか、のどかな感じの郊外なんですよね。

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自転車、走りやすそうだなぁ……なんて思いながら、テクテク歩いていると。

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道の向こうに巨大な構造物が……。

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記事で、4階建て、直径500mほどあるリング状で、1万2000人が働く……と(アップルのリリースに基づいて)書きましたが……いや、実際に見ると意味が分からない巨大さです。

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イメージとしては、野球やサッカーのスタジアムを想定してもらえると近いのですが、その2〜3倍はあるんじゃないかというデカさです。周りも広いからよくわかりませんが。

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位置からすると、左の丘が『スティーブ・ジョブズ・シアター』という展示会場になるんじゃないかと。丘の中身が1000人を収容するシアターになっていて、上にはガラスで出来た入り口だけが設けられるようです。

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周りも広いし、重機もデカイし、大きさが感じられません。いつか、ここに取材のために行けるといいなぁ……。

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9000本以上の木が植えられ、屋上には17メガワットの太陽電池を備えるエコな建物でもあります。

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地下への入り口。工事用でしょうか? それとも、完成した際に、クルマは地下に停めるようになる、その入り口なのでしょうか?

完成予想図の看板が立っていました。

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半年かけて全社員が入居する計画とのことなので、10月頃には1万2000人の社員がこの中で働くことになるのでしょうか?

早く、その全貌が見たいものです。

※あと、数時間後に始まるWWDCのレポートはこちらから(http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc2017-1560.html)


WWDCが開催されるサンノゼってこんな街

台北でCOMPUTEXを取材していたかと思うと、気がつくとカリフォルニア・サンノゼです。びっくり。

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台湾もいい陽気でしたけど、カリフォルニアも素晴らしい気候です。

空は抜けるように青く、空気は透き通っていて、乾燥してて過ごしやすいです。

ちなみに、サンノゼってこんな場所です。


サンフランシスコを入り口として、サンフランシスコ湾があって、その湾に添って広がるエリアがいわゆるシリコンバレーです。右下の方、クパチーノがアップルのある場所で、湾の先端のちょっと先、サンノゼが、今回WWDCが開催される街です。

距離感がよくわからないかもしれませんが、サンフランシスコからサンノゼって、これでも80kmぐらい離れていて、その間が全般にIT企業が散らばっているとか、なかなかスケールの大きな話です。

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それほど大都市ってわけではなく、地方都市という風情でしょうか? 明るくて素敵な感じの街ですよ。僕らが泊まってるところを含めて、いくつか大きなホテルはありますが、それ意外は大きなビルもあまりないし、治安も良さそうな雰囲気です。

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ちなみに、WWDCは本来開発者の方が参加するイベントで、アップルの開発者アカウントを取って、申請すれば参加できます。

ただし、参加料がたしか1599ドル(約17万8000円)で、しかも参加者が多いので、抽選です。アプリメーカーさんなどでは、複数の人が応募してそのウチ数人が行く……というようなことをしていると聞いています。

以前、私も取材に行きたくて、開発者アカウントを取って応募したことがありますが、あえなく落選しました(笑)

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こういう街角にあるなにげないベンチがお洒落っていうのがカリフォルニアっぽいですね。

今、深夜1時なのですが、ワクワクして、ちょっと会場を見に行ってきましたが、ライトに照らされて素敵な感じでした。では、少し寝ますね。

日本時間、深夜2時にこちら(http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/wwdc2017-1560.html)でお会いしましょう。

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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