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2017年10月19日 (木)

Adobe Creative Cloudがアップデート。新Lightroomが登場!? 『Classic』が付いたこれまでのLightroomはどうなる?

ラスベガスで開催されているAdobe MAXで、新しいCreative Cloudが発表されました。

 

Adobeがクリエイティビティのプラットフォームと居続けるCreative Cloudは、『Next Generation Experiences』と題し例年以上に大規模なアップデートを行っています。

 

気になるのはやはり新しいアプリケーション。デザイン/Webデザイン関係としてAdobe XD、Adobe Dimension、Adobe Sparkが、ビデオ関係としてはAdobe Character Animatorが登場。そして写真関係としてLightroom CCが新たにリリースされています。

 

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↑パッケージデザインなどに最適なグラフィックデザイナー向け3Dツール『Adobe Dimension』

 


Lightroomがふたつに?

デジカメの進化、そしてスマホの登場になった写真。記録のため、作品としてといった役割だけでなく、Instagramの流行などからもわかるようにきれいで手軽に撮れるようになった写真は、大切なコミュニケーションツールとしても大事なものになっています。また、その量も大幅に増えていて、賢い管理もまた重要なものに。そんな写真データの管理、画像処理を行うソフトがAdobe Photoshop Lightroomです。

 

そんなLightroomですが、先にも触れたとおり、今回のアップデートで新たに『Adobe Photoshop Lightroom CC』が登場しています。この『Lightroom CC』はクラウドベースのフォトサービスで、画像処理もできますが主な役割は写真の管理。用意される1TBのクラウドストレージ上にフル解像度の写真データをバックアップすることが可能で、PCのアプリからはもちろん、スマホアプリなどからもアクセス可能。端末を問わず写真を見たり、編集することができます。

 

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↑ネーミング的にはメインはこっち? クラウドでの写真管理が得意な『Lightroom CC』。

 

一方、従来のLightroomは『Adobe Photoshop Lightroom Classic CC』に名前を変えて進化。プレビュー生成の高速化をはじめとしたパフォーマンスの向上だけでなく、色域・輝度指定マスク作業ができるようになるなど機能の追加が図られています。『Lightroom Classic CC』は、これまでのLightroom同様、ローカルだけでなくクラウドにも写真を保存することが可能です。

 

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↑ローカルでの写真編集が得意な『Lightroom Classic CC』。

 

同じLightroomの名前を持つだけに、できること、役割は大きくカブっていますが、『Lightroom CC』は、写真の管理や共有が得意なツール、『Lightroom Classic CC』は写真の編集が得意なツールになっています。併用する必要はなく、PCだけでなくスマホやタブレットでも写真を見たい、編集したい、そしてSNSへも投稿する機会も多いといったユーザーであれば『Lightroom CC』のほうが便利だし、編集作業がメインだというユーザーであれば『Lightroom Classic CC』を選べば問題ないと思います。

 


写真の管理と保存、どうしよう?

とはいえ、気になるのはネーミング。新サービスが『Adobe Photoshop Lightroom CC』となっているのに対して、これまでの進化版であるはずのツールには『Adobe Photoshop Lightroom Classic CC』と『Classic』というワードが追加されています。

 

この『Classic』、日本語の『古い』という意味ではないとのことですが、従来の延長にあるほうに『Classic』とついてしまうと、遠くない未来にツール自体がなくなってしまうのではないか……という不安も……。

 

過去、写真共有サービスであるFlickrが料金体系を見直しを行った際、大混乱を起こしたり、Adobe自身も画像保存サービスである『Adobe Revel』を終了させました。写真データは容量が大きいこともあり、終了するサービスから他に移るにしてもその作業は大変で面倒なものです。また、写真は二度と手に入らないものす。それらを管理・保存するサービスはとても重要なものはずですが、途中でサービス自体が終わってしまうという出来事が少なからずありました。

 

『Adobe Revel』が終了する際に提案されたのがLightroomへの移行。そのLightroomに『Classic』というワードが追加された……ということは……。どっちを使えばいいのか? クラウドベースで新しい『Adobe Photoshop Lightroom CC』にさっそく移行したほうがいいのか? それともこれまで通り『Adobe Photoshop Lightroom Classic CC』のままでいいのか? Lightroomはプロが使うことが多いツールだけに、ふたつのLightroomが用意されたことによる混乱は少なくないようです。すぐに決めてしまう必要はないのですが。

 

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↑クラウドでの写真管理が普通になった現在、新『Lightroom CC』が写真保存の定番になるのかしら。

 

料金は『Lightroom CC』『Lightroom Classic CC』『Photoshop CC』が使えるCreative Cloud フォトプランが980円/月(税別・20GBクラウドストレージ、1TBのクラウドストレージ付きプランは1980円/月)、新たに設けられた『Lightroom CC』のみが使えるLightroom CCプランは980円/月(税別・1TBのクラウドストレージ付きプラン)になっています。

 

また、『Lightroom CC』『Lightroom Classic CC』は4980円/月(税別)のすべてのツールが使えるコンプリートプランでも利用可能です。ただしクラウドストレージは100GB〜。気がねなくクラウド上で写真データを管理・保存するには増量する必要があるようです。


(安井克至)

2017年9月25日 (月)

図説! スティーブ・ジョブズ・シアターの秘密

会場からも興奮してレポートしたのですが、まったく伝わってなかったことに、Steve Jobs Theaterの構造があります。

まず場所としては、例の巨大は本社の『リング』とは少し離れた場所にあります。

そして盛り土で作られ、周囲に木が植えられて、まるで古墳のようになった丘の上にある円筒型のガラスの入り口から建物内に入ります。

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こういう構造になっています。

Stevejobstheater_2_image8
※なお、この図は筆者の記憶に基づいて描いてもらったものなので、正確な図面から起したものではありません。だいたいの感じを理解していただくための概念図だと思って下さい。

で、地上階から、円周に沿って緩やかなカーブを描く階段を降りていきます。

こんな感じ。

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そして、降りたところはこんな感じの狭いスペースになって、シアターの観客席の方に繋がっている。

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左側はシアターへの入り口。入り口の上には『Steve Jobs Theater』と掘り込まれている。

右側は大きな太い柱のようになっている。

ところが、Keynoteが行われている間に、この部分が開いてドーンと、タッチ&トライの会場が現れるのだ! まったく、現場にいると、キツネにつままれたような気分でしたよ。

Stevejobstheater_2_image1

それが、この場所。

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シャッターはどこに収納されるのかはAppleの人は教えてくれませんでした。

上に上がるのかなと思いましたが、上の壁とはツライチだったので、収納するには少し引き込まねばなりません。もうひとつの想像としては、Appleマークのある白い壁の方に引き込まれるのではないかということなのですが、引き込まれるとしても壁の部分にはほとんど痕跡がありません。

私は、どっちかっていうとこの背面に隠れる派なので、パネルが開いて収納するのではないかと思うのですが……どう思われますか?

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床には一切の痕跡もレールもありません。実に不思議です。そういえば、Keynoteの間って、後ろ側ってドアかなにかで閉まってたっけ……? そんな記憶もありません。

シャッターはどこへ消えたのか? この謎、いつか明かされることはあるのでしょうか?

(村上タクタ)


※ILLUSTRATION/A-LA-BULKA アラブルカ











2017年9月14日 (木)

Apple新社屋の建築がすごい! 2——新社屋、ビジターセンターなどと、細かい部分編

はるか彼方の、巨大な新社屋

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なにかと秘密主義なAppleのこと、いろいろと秘密のデバイスが山盛りでありそうな本社の方に行く機会はなさそうだなぁと思っていたが、やはりSteve Jobs Theater以外の場所には一切行けそうもない。残念ながら。

なんでも、自然の光や風を上手に活かして室温をコントロールする仕組みがあったり、個人で集中する仕事をしたり、チームでコラボレーションする仕事をしたり……を容易に切り替えて、それぞれ快適に行えるような構造のなっているらしい。興味深い。

しょうがないので、入り口にあるApple Park Visitor Centerの屋上から、めいっぱいの望遠レンズ(300mm)で撮ってみた。窓ガラスの中には何も見えないし。そもそも、300mmで撮って、このサイズって、どんだけデカいんだ。

さらに近い側の窓にを見てみる。やっぱりあまり何も分からない。

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逆にワイド側で撮るとこんな感じ。ズームレンズだが、EXIFによると19mm相当。

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木々が植えられたばっかりの現状でさえこうなんだから、後々木々が根付いて生い茂ってくると、ほとんど何も見えなくなりそうだなぁ……。

我々に一番身近なApple Park Visitor Center

そもそも、行く機会がなく、行ったら行ったで守秘義務にしばられて、何も書けなくなりそうな本社社屋はともかく、その土地の外周道路の外側にあるApple Park Visitor Centerは、今後営業を開始したら、一般の方も立ち寄れることになりそうな場所。

現在のところは、今回のiPhone Xプレスイベントのために1日だけ臨時で運営したそうだ。正式な営業開始日は、また後日告知されるとのこと。『Visitor Center』って自然公園などにあって、そこを訪れた人が、その公園のことを知り、外側からそっと観察するためのような場所ですよね。おそらく同じような役割を果たす模様。

2階はテラスになっており、上の写真のように本社を展望することができる。

1階は、中央がアップルストアと、本社売店のように世界で唯一(今は二つか)アップルの公式ロゴ入りのTシャツなどの記念品を売る場所になっており、左ソデがiPad ProのAR機能を使ってApple Parkを解説するような場所、左ソデがカフェになっている。

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ワイドに張り出した屋根と、柱のない天井までのガラスの壁が基本フォーマットらしい。どれも途方もなくお金のかかりそうな建築物だ。

中央がApple Storeになっている。

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アップル製品が展示され、おそらくは購入できるようになるハズだ。

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世界でここにしか売ってない『Park』の公式ロゴ入り記念品。

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ちなみに、Tシャツは40ドル。読者のみなさんのために、2枚ほど買っておいたので、のちほど何らかの手段でプレゼントしたい。

右ソデはカフェ。

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Faemaのエスプレッソマシンがある。

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スタッフの方の胸には『Coffè Macs』と入っているので、これがお店の名前なのだろうか?

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実際に運営を開始した時に、どういうメニューになるのかは分からないが、当日は軽食がサーブされていた。

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スティーブ・ジョブズの魂は、細部に宿る?

唯一自由に歩けたビジターセンターの写真をもう少しご紹介しよう。

まず、本社社屋を展望できる屋上はこんな感じ。

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イスやテーブルはウッド。床もウッド。上は微妙に日差しを遮るルーバー構造となっている。

床にはライトが埋め込まれているところがある。夜には建物自体を的確な明るさで照らすようになっているのだろう。夜も見てみたい。

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上り下りする階段が素敵。

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この大理石のようなセメントは、グラスファイバー入りセメントと説明されていた。

手すりも一体で成形されており、ひんやりとした肌触りが素敵。

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もはや、これだけでもアートのようなたたずまいだ。

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壁自体と、手すり部分の間の溝の部分が掃除するのが面倒そうだなぁ……とは小市民の感想。きっとイノベーティブな方法で簡単に掃除できるようになっているに違いない。

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シンプルなパイプ状のドアノブにも工夫が凝らされている。押す方向、引く方向にそれぞれスイッチになっているのだ。ドアによってはパワーアシストされている感じだった。Steve Jobs Theaterの入り口は同じような構造だったが、もっと巨大なドアなので、開こうとすることでスイッチが入り、自動ドアとして動作するようだった。

ストレージ……も、こ洒落たサインで指示されている。下の金属のバーには点字が入っている。

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ついでなので、トイレも見てみよう。

サインは極一般的なものだが、分かりやすくていい。

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便座はこんな感じ……(笑)だが、流す方法が分からなくて苦労した。

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イノベーティブな方法で勝手にウォッシュされるのかと思ったが、そうでもない。

実は壁面にある金属のボタンを押すことでフラッシュされる。デザイン的には分かりやすいが、誰もが急を要して来る場所なので、もうちょっと分かりやすいインターフェイスの方がよいのではないか……とも思うが、まぁ、アップルらしいといえば、アップルらしい。

水道の蛇口はごく一般的な形状。

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スイッチは、ちょっと分かりにくいが、シーソー式でなく、2つのスイッチになっている。

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ドアノブやロックも一般的な形状だが、これは分かりやすくて使いやすい。

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もっともっと見るべきところはあるのかもしれないが、それほど建築に詳しいワケではないので、わからない。

今後、いろんな記事で紹介されていくと思うが、細かい場所に使われているデザインの理由について知りたくなるような建物だった。

(村上タクタ)









2017年8月 9日 (水)

6人一緒にVRの世界にダイブ!【アバル:ダイナソー】@六本木ヒルズ

最終的にはコンテンツはVR状態で楽しむものに収斂していくと思う。ゲームにしても、映像にしても。

問題は、いつから、どういうコンテンツが……かということ。

詳しい人に聞くと、8Kレベルで120fpsぐらいになると、かなり良い……とのことだけど、現状の再生環境ではそれは難しい。ただ、解像度の問題は時間が解決するハズなので、これはじっくりタイミングを待って、普及するレベルの再生環境を手に入れればOK。

問題は、どういうコンテンツか? というところだろう。そして、こちらは再生環境が完全になる前から、それぞれが模索しなきゃならない。再生環境が整った段階では、競争に負けている可能性が大きいし、何より発展途上のテクノロジーにこそ、ユニークなコンテンツが生まれるものだ。

というわけで、六本木ヒルズの、テレビ朝日 夏祭りSUMMER STATIONに行ってまいりました。そこで公開されているコンテンツ『アバル:ダイナソー』を体験するためです。

テレビ朝日 六本木ヒルズ夏祭りSUMMER STATION
http://www.tv-asahi.co.jp/summerstation/

アバル:ダイナソー
http://abal.jp/

特徴的なのはただのVRではなくて、こちらの身体をリアルにセンシングして、VR空間の中で位置特定して、描写、しかも6人もの大人数で、それを体験できるということです。

……何言ってるか、わかりませんね(笑)順を追って、私の体験したことを説明しますので、ちょっと待って下さい(笑)

さて、六本木ヒルズのお隣であるテレビ朝日本社の中に入り口があります。ここに来るには、夏祭りのイベントに入るためのパスポートが要ります。

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入り口を通ると、こんなお部屋があります。6人それぞれ、中央の四角い箱に座って、指示を待ちます。荷物は手前のロッカーに入れなければなりません(なので、体験中の写真はないのですが……)。

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ここでガイドの人に従って、VRゴーグルと、手足にそれぞれ装具を付けます。VRゴーグルでは、もちろん3D映像見られるわけですが、ゴーグルの上についた角と、手足の装具にはその位置をセンサーに報せるためのポイントが付いています。

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これにより、映像空間の中に、自分の位置関係とポーズが再現されるわけです。

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VR空間の中にも、この部屋と同じ空間が再現されており、他の5人と自分の手足がアバターとなって、表示されている状態になります。

そして、このVRゴーグルをしたまま、ストーリー上のゲートをくぐると(実際には、ゴーグルをしたまま隣の部屋に歩いていってるんだと思う)。そのゲートの向こうの世界では、恐竜のいる世界での冒険が展開されます!

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これは、その異世界で、いかだ下り状態のアドベンチャーを体験しているところですが、中央に見えるのが、他の人です。実際に、VRゴーグル内ではアバターに見えてますが、実際にそこに人がいるので、肩を叩いたり、ハイタッチをしたりもできます。アバターに手を伸ばすと、実際にも接触するというワケです。

この、現実と、空想の混濁した感じがすごいです!

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そして、いかだで川下りするとともに、巨大な恐竜達が現れ……というストーリーです。他の仲間に触れられたりするので、現実とVR空間の感覚が混濁したまま、巨大な恐竜の下をかいくぐっていくわけです! すごい迫力!

約15分のコンテンツで、異空間の中を実際に歩き回ったり(もちろん、現実には普通に部屋にいるので、歩ける距離には制限があるし、VR空間内で他の人のアバターにぶつかると現実にもぶつかる)しながら、迫力の映像体験ができるのはすごいです。

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現実には、たぶん何にもない広い部屋で、この赤外線センサーによって、僕らの位置やポーズが計測されており、それがVRゴーグル内の映像に反映されているワケです。

お互いのゴーグルの中に、お互いの位置関係がリアルタイムに表示されているので、これはけっこう高度な処理のように思えます。現状では、レイテンシーを高めるのが没入感のためには一番重要ということで、レイテンシー重視。そのために、画像解像度(ゴーグルはGalaxy VR)やポリゴン数は控えめになっているそうです。また、描画も60fpsぐらいに押えられているとかで(動きのキャプチャはもっと速くて180fpsぐらいまで取れているそうです)、まだまだ理想の状況ではないようですが、それでも『複数人の共有体験』&『移動したり触ったりできる』というのは、興味深い体験でした。

……何言ってるか、わかりませんよね(笑)

面白いので、8月27日までに六本木ヒルズに行って体験してみて下さいってことです(笑) 

http://abal.jp/











2017年7月28日 (金)

10万円で誰でも遺伝子合成できるってホント?【THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYO】

デジタルガレージさんが主催する『THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYO』の1日目にお邪魔してきた。

取材……という体ではあるが、なにしろ私ごときでは受け止め切れないあまり圧倒的に膨大な『知』の表出なので、ちょっとだけ感想文として書かせていただこうと思う。いずれにしても、いずれにしてもほぼ8時間にわたり21人の圧倒的な知識人の方の話を、ひとつのウェブ記事で書くなんて不可能だ。

それでも、驚くようなお話をいくつもお伝えできることは間違いない。

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デジタルガレージといえば、ウェブ界隈への広告、決済、投資、ベンチャー育成などを手がける最先端企業。わかりやすいところでいえば、Twitterにいち早く目をつけ、日本に持って来たのもデジタルガレージだ。

そのデジタルガレージが世界中さまざまなスピーカーを集め、おこなうイベントが『THE NEW CONTEXT CONFERENCE』。今回は1日目がバイオテクノロジー、2日目がブロックチェーンをテーマに開催されたのだが、私はスケジュールの都合上、1日目だけうかがった。

1日目はデジタルガレージの代表である林郁氏のあいさつ、共同創業者でMITメディアラボ所長を務める伊藤穣一氏(写真上)の基調講演を皮切りに、5つの大別されたセッション、21人の登壇者による多くの講演と、対談によって構成されていた。

ともかく、頭の良さそうな人が、続けざまに朝9:30から、夕方18:30まで、多少の休憩はあるにしろ、延々と高レベルのプレゼンテーションを続けるので、凡庸な頭脳しか持たない私としては聞いているだけで知恵熱が出そうだった。
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で、私は良くわかっていなかったのだが、とにかくこれから多くの注目を集める業界になるのが、『バイオテクノロジー』と『ブロックチェーン』なのだそうだ。

1日目のテーマであるバイオテクノロジーだが、とにかく進歩が著しいのだそうだ。そりゃあ理屈では分かっていたが、遺伝子はプログラミングと同じコードの並びで、解析は長足の進歩を遂げているのだそうだ。
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特に一日中何度も、いろんな人が見せてくれたのがこの下のグラフ。DNA解析にコストも、DNA合成のコストも猛烈な勢いで安くなっている。特にDNA解析の費用はムーアの法則をはるかに上回る勢いで低価格化が進んでいる。

10年前には数千億円必要だったゲノム解析が、10万円ほどできるという。さらに10万円ほどで細菌などの遺伝子をプログラミングすることさえ可能なのだそうだ。

ためしに、知識のあるメディアの人が天然痘のような細菌をオンラインで注文したら10万円程度で合成加工されたものが送られてきたという。

ええっ! 遺伝子工学ってそこまで進んでた&一般化が進んでたの?(汗)

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研究所じゃなくて、一般市民レベルでの遺伝子の加工も可能で、なんと電子工作のように遺伝子を加工するバイオハックに挑戦する人が増えていて、なんとストリートバイオなんでいう言葉までできてるらしい。想像を絶する。

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法規制してしまうと、コンピュータのクラッカーなどと同じく水面下に入ってしまうし、そうならないように、表向きのコミュニティを作る方向なのだという。

ほんとうに驚きばかりだ。

これらのテクノロジーは機械学習の進化などにより加速しており、猛烈な速度で進歩しているという。

遺伝子加工のもたらす可能性も飛躍的に大きくなっており、駆使すれば、食料難を解決する高カロリーの食料、逆に超低カロリーの食料、効果的な腸内細菌、などを設計できるという。

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また、植物性の素材から、エビそっくりの食材を造り出したり、

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牛肉を培養して、ミートボールを作ったり……ということも可能になっているという。家畜を殺すことを続けるか、食べられる肉だけを培養するか……ということを選択できる世代もすぐそこになっているのだという。

今のところ、このミートボールひとつを作るのに3000ドル(約33万円)かかっているのだそうだが、そのうちに量産され安価になっていくのかもしれない。

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また、喫緊の課題であり、あらゆる分野の専門家が警鐘を鳴らすと同時に、ほぼお手上げの状態になりつつある地球温暖化問題さえバイオテクノロジーで解決するかおもしれないとのこと。

はるか昔、大気中のCO2が4000ppmだった頃は、大西洋を海水に耐性のあるアオウキクサの仲間が覆って酸素を造り出していたそうだ。ならば、今海水の上でも生きて行けるアオウキクサを作ったら? もしくは他の植物のCO2処理能力をもっと高めたらどうだろう? 人類の危機を解決できるのなら、試してみるべきなのかもしれない。

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もちろん、テクノロジーの可能性を考えるイベントだから、技術の進歩について語られているのかもしれないが、市井の市民としては、そんなにDNAがいじられているのは、ちょっと怖いような気がする。

個人のゲノムデータを唾液を送って、遺伝子解析してもらえるサービスを行っているジーンクエストの高橋祥子さんは、自分の健康リスク、体質、祖先解析などをしてもらえるキットを紹介されていた。

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結果はパソコンやスマホから閲覧できるという。

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この他にも、本当にさまざまなバイオテクノロジーについてのお話があり、それがどこまで進むのか、法的にはどうしていったらいいのか、僕らが議論する前にテクノロジーの方が進歩していっているような気がする。

たしかに、私の話の理解度は高くないかもしれないが、バイオテクノロジー関連の技術は今後も猛烈に進んでいきそうだ。法規制も大事だが、規制しているうちに、海外の技術の方が圧倒的に進んでしまう……というもあり得なくはない。

多くの人がバイオテクノロジー技術について知り、適切な運用を考えなければ、大きな不利益を被るようなことになるかもしれない。これは、誰もがもっと勉強するべき事柄だろう。

(村上タクタ)






2017年7月25日 (火)

“Phil Libin Strikes Back!” 大会社でも起業でもない『スタジオ』方式のAll Turtles、秋に日本でもスタート

EvernoteのPhil Libinが、大好きな日本に再びアプローチ

Philが、『人工知能に関する』『スタジオ形式の新会社』であるAll Turtlesをサンフランシスコでスタートした話は、こちら(http://blog.sideriver.com/flick/2017/06/evernote-4c88.html)に書いた。

そして、今日(2017/07/24)、Philは前回、匂わせていた日本での展開を、正式に発表してくれた。

Philの提言は、日本のIT産業、いや産業全体が耳を傾けるべきものなのではないかと思う。

単に新しい会社がシリコンバレーから日本にやってきたということではなく、彼がAll Turtlesを通じて提案する『スタジオ』という形式が、日本に向いており、現在の日本の『停滞したイノベーション』を打ち破る鍵になるのではないかと思うのだ。

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PhilはEvernoteを運営していく中で、日本の魅力とうまく発揮できていない優れた点を理解してくれたのではないかと思う。今回のプレゼンテーションも、日本に力を発揮して欲しいという思いに溢れていた。

ともあれ、なぜ『スタジオ形式』なのか? なぜ『人工知能』なのか? なぜ『日本』なのか? について、新たに語ってくれたので、Philのプレゼンテーションに沿って、説明していこう。



一度の失敗で、可能性を見限られてしまう日本に向いた『スタジオ』形式


まずは、なぜ『スタジオ形式なのか?』だ。

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いくつかの起業を経験して、そしてEvernote後、ベンチャーキャピタリストとして活動して、Philはシリコンバレー方式の起業の限界を感じたという。

まずは、投資家は、数十億ドル(数千億円)以下のアイデアに投資しない。つまり、優れているけどとっても大きくスケールしないアイデアは失敗と見なされる。

次にアイデアを持ったクリエイターが社長業に注力しなければならなくなる。つまり、資金繰りやスタッフィングに奔走し、プロダクトを作ることにはほとんど力を割けなくなる。

また、地理的および人口統計的濃度がイノベーションを制限する。つまり、成功する人物像の中心は、シリコンバレーに住む英語を解する白人男性になってしまう。

Philはそうでない方法論を模索したいと感じたのだという。

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上下にプロフェッショナリズム、左右に既存の概念を守るか、新しい機会を探すかのベクトルを配し、四象限に分けると、既存の概念を守るプロフェッショナルは企業、アマチュアに近い人が可能性を探るのがスタートアップとなる。

では、プロフェッショナルとして新しい可能性を探るにはどうしたらいいだろう?

Philはハリウッドの映画産業にその雛形を見出したという。映画産業では本当のプロフェッショナルが、映画というプロダクトに向けて、起業することなく集合し、成果を発揮している。

その仕事の方式『スタジオ』を、用いることにしたのだという。

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Evernote時代にフォーカスした2ワード『Remember Everything』に対して、All Turtlesは『Product First』にフォーカスする。

従来のようにベンチャーキャピタルからお金を集めて起業してしまうと、起業した人は、プロダクトにフォーカスできず、資金繰りはもちろん、法的問題、セールスの問題、会社の成長性、広報、人事……などの問題に振り回されてしまう。本来のプロダクトにフォーカスすることなんてできない。

それで、多くの起業がダメになっていく。

そうした問題をスタジオとしてのAll Turtlesが引き受けていくのだという。



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『人工知能』が皮切り、将来的には『スタジオ方式』を横展開していく


すでに、サンフランシスコのAll Turtlesでは、9つのサービスが胎動を始めている。

『Replika』は自然に対話できる、AIの友達を開発中。
『sunflower labs』はドローンなどを活用したホームセキュリティサービス。
『Edwin』は、AIで応対してくれるFBメッセンジャーを使った英会話の学習システム。

この他にも6つのサービスの支援を始めている。これらのサービスはいずれも今もっとも進捗の著しいテクノロジーであるAIを活用しており、All Turtlesでともに育成されている。

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ちなみにAll Turtlesはすでに、2000万ドル(約22億円)以上の資金をシリコンバレーや日本、ヨーロッパの投資家から集めている。アメリカのVCであるジェネラル・カタリスト、日本のデジタルガレージ、楽天の三木谷浩史、フランスのザビエル・ニールなど、多くの投資家がすでに資金を投じている。

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(写真右は、日本のAll Turtles立ち上げにあたって大きな支援をしているデジタルガレージCEOの林 郁さん)


そして、この『スタジオ』方式が成功すれば、他のカテゴリーにも横展開していくとのこと。Philは例として、量子コンピューティング、精密医療(個々の特性を精密に調べたオーダーメイド医療のこと)、宇宙開発……などを挙げていた。

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そして、Philは『シリコンバレー以外の場所での可能性を広げるため』に、All Turtlesを、サンフランシスコと、東京と、パリで展開するという。

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ちなみに、日本では東京オフィスをこの秋に開設。2018年の1月1日にアイデアの受付を開始し、同4月1日には5チームのサポートをスタートする予定だという。

人工知能を用いた、世界を変えるアイデアをお持ちの方は、即座にプレゼンテーションの準備を始めた方がいいかもしれない。これは大きなチャンスだ。

Philは日本こそ『失敗は成功の母』を知る社会であったと言う


Philが例に挙げたのが『金継ぎ』という陶芸の手法。

割れてしまった陶器を、漆と金を用いて修復する。金継ぎで修復することにより、新たな美が生まれる。割れたこと、修復したことにより、より価値が生まれる。

Philが出会ったのは金継ぎ職人は福島の井上俊介さん。彼をPhilに紹介したのは会津若松でEyes, JAPAN(アイヅジャパン)を率いる山寺純さん。彼らは震災と原発事故で損なわれてしまった福島を、金継ぎのように修復することでより価値あるものにしていきたいと考えていたという。

この金継ぎの価値観にPhilは惹かれた。Philにとっても、Evernote自体に失敗したことこそ、学びの機会であり、次の成功の糧となった。

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金継ぎが日本固有の文化であるにも関わらず、日本は失敗についてあまりにも厳しい。起業して失敗してしまった人に、次のチャンスが与えられる可能性はとても低い。それゆえ、日本で起業しようとする人は多くないし、結果日本から新しい可能性は生まれない状況が続いている。

しかし、Philは金継ぎの価値を知る日本だからこその、失敗の価値を知って次なる可能性を開くやり方があると力説していた。

さて、これはPhilがEvernoteの CEO時代に愛用していた『スターウォーズ・帝国の逆襲』のマグカップ。フィルはこれをとっても気に入って、オフィスで使っていたのだという。写真は、その時にさまざまなメディアで撮影されたインタビューカット。たしかに、帝国の逆襲のマグカップをPhilが持っている。

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EvernoteでのCEO時代に長い間ともにあった大事なマグカップ。しかし、Evernoteを離れるために、引っ越し荷物をまとめていた時に、うっかりと落としてマグカップを壊してしまった。

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それ以降、忙しくて、フィルはこの破片を捨てるでもなく袋に突っ込んで、放置していた。そして、All Turtlesの立ち上げにあたって日本に来ていた時に、思い出して福島の職人さんに金継ぎでの修復を依頼したのだという。

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そして、3カ月を経て、ついに『帝国の逆襲』のマグカップは、金継ぎをされ、より価値の高いものになって、Philの手元に帰ってきた。

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Evernoteを去る日に割れて、日本にAll Turtlesを立ち上げる数日前に金継ぎされて手元に戻ってきたマグカップにPhilはなにやら象徴的なものを感じるという。

失敗は失敗に終わらず、それを埋め合わせることで新たな、より大きな価値を産み出す。ビジネスの失敗は単なる敗北ではなく、次なるステップへの礎だ。

このマグカップは、『スタジオ』というアイデアを実現する『Product First』な場所を作ることで、『金継ぎ』という文化を持つ日本人に合った挑戦のステージを用意したいというPhilの思いを象徴したマグカップとなったわけだ。

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Philのスタジオが成功しますように。

そして、それが日本のイノベーションを活発にするヒントになるように願って止まない。


(村上タクタ)

2017年7月18日 (火)

元MS社長、古川さんがバースデーパーティを開くワケ

元マイクロソフト社長の古川享(ふるかわ・すすむ)さんの63歳のバースデーパーティに呼んでいただいた。

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(↑PHOTO:K.MITSUI 三井公一)

古川さんとは、『カバンの中身~』の別冊『』の取材でお世話になって以来のお付き合いだ。非常にパワフルで、アスキーから分離したマイクロソフトの日本法人の社長になり、その後、ウインドウズ95をはじめ、マイクロソフトの隆盛を築き上げた人である。2005年にスッパリとマイクロソフトを辞めて、慶應大学で若者にデジタルメディアに関して教えておられる



『カバンの中身』の取材の時には、歴代最高の30kg超、MacBook Proの17インチ、15インチ、10台近くのカメラをお持ち下さる、パワフルな趣味人としての一端を拝見したのだが、3年ほど前に脳梗塞で半身不随になられ、多くの人が心配していた。

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が、そこから奇跡的な精神力と努力で、今また(杖は使われるけど)パワフルな日常生活に支障がないほど復活されているのだから本当に驚く。すごくリハビリを頑張られたのだと思う。

だからこそ、古川さんがお元気でお会いできることに、誰もが喜びを感じてこうやって集まるのだと思う。

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それにしても、こうやって150人もの人が集まって、誕生日を祝うというのはすごいことだ。本稿の趣旨とは違うので、どんな方がいらしていたかはあえて伏せますが、なにしろ古川さんの誕生日ですから「○○さんが来てたよ!」とSNSで自慢したくなるような人がいっぱいいらしてました。なんで私のような者が呼んでいただけたのかなと思うのだけど、古川さんのおっしゃってたことを発信していくのもブロガー(?)としての役目かなと思い、今、ブログを書いている。

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古川さん曰く『生前葬だから(笑)』とのことだが、たしかに葬式で多くの人が集まっても仕方がない。「もっと人と人を繋げたいし、あの人とあの人が会ったら新たな化学反応が生まれるかもしれないじゃない。」突然、飛行機の中で脳梗塞を起し、入院中やリハビリの時に、古川さんはそんな思いを深くされたのかもしれない。

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会場には、WWDCに登場したことで一躍時の人となった82歳の女性エンジニア、マーちゃんもいらしていた。マーちゃんや古川さんがこうやって元気に活躍されているのに、我々若造(48歳だけど)が、疲れたとか言ってのんびりしていていいわけがない。

もっとパワフルに、今できることに積極的にチャレンジすること。人と人を繋げていくこと。古川さんはそんなメッセージを伝えるために誕生日パーティを開催されているのだと思う。

そうそう、そうはいっても、当日お会いした人の中で、お一人だけ自慢させて下さい。

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……どなたか分かりますか? 『うる星やつら』の『ラムちゃん』の声優さんの『平野文』さんです。中学生時代に雑誌で見た人に、この歳になってお会いできるというのは感激した。平野さん、ありがとうございました。

古川さん、本当にお誕生日おめでとうございます。これからもますますお元気でご活躍を。

これからも、僕もいろんな人と会って、いろんなコトを産み出す触媒になりたいと思いました。

(村上タクタ)

2017年7月14日 (金)

アップルの基調講演に登場した『コンピュータおばあちゃん』は筋金入りだった!

WWDCの基調講演の冒頭で、アップルCEOのティム・クックが紹介した82歳のエンジニア若宮正子さん。

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ティム・クックが会いたがった『コンピュータおばあちゃん』。親しい人には『マーちゃん』と呼ばれる彼女。実はWWDCの前に、彼女に何度かお会いしていたので、その様子をお伝えしよう。

最初にお会いしたのは、『シニア・プログラミング・ネットワーク』の取材にお邪魔した時だった。
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登壇者3人の平均年齢なんと77歳というすごいイベントでしたが、「挑戦するのに遅過ぎるということはない」といういことを教えていただいたイベントでした。左にいらっしゃるのは、マーちゃんの師匠に当たる小泉勝志郎さん。

そして、これがマーちゃんが開発してリリースしたiPhoneアプリhinadan。

こちら(https://itunes.apple.com/jp/app/hinadan/id1199778491?mt=8)から無料でダウンロードできる。

4月末時点で2万99500ダウンロード、75万ビューとのことなので、WWDCに登場した今となっては、もっとすごいことになっているんだろうなぁ……。


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マーちゃんは高齢者の方を集めて、ご自宅でパソコン教室も開催してらっしゃったりもする。これは、その取材のためにご自宅にうかがった時に撮影させていただいた写真。

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突然、Swiftでプログラミングを書きはじめたわけではなくて、もともと古くからパソコンには触ってらっしゃった。

今、82歳のマーちゃんは、終戦の時に10歳。国民学校に行った最後の歳になるのだそうで、学童疎開なども経験されている。

その後、東京の銀行に就職され、しっかりと定年までお勤めになったのだそうだ。趣味は海外旅行。だから英語も堪能でいらっしゃる。

60歳の定年退職が近づいた頃、本屋さんで『パソコン通信』に関する本を見つけた。ちょうど近々ウィドウズ95がリリースされるという頃だった。

「遠方の友達と交流できるなら面白そう」と思ったマーちゃんは、パソコンを買ってパソコン通信を始めたのだそうだ。

その後、パソコン通信は相当やり込んで、パソコン通信上の高齢者のグループ『メロウクラブ』の副会長も勤めるほど。じつは『マーちゃん』というのもパソコン通信のハンドルネームなのだそうだ。

その後、エクセルアートにもハマって、いろいろなメディアに取り上げられ、TEDxTOKYOにも登壇する。

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WWDCで紹介された写真に写っているネックレスも、実は自分でAutodeskの123DというCADソフトでCAD図面を引いて3D出力してもらった自作の品。

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なんでも、自分で工作して作ったりするのが好きなのだそうだ。

今回のようなお教室を2つ持っていて、メロウクラブの会合、マンションの管理組合の書記をしていて、かなりお忙しいそうだが、それでも講演会などの依頼があると極力でかけていくようにしているという。本当にパワフルな方だ。

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パソコン教室では、時事の話題をもとにスライドを作って、パソコンについていろいろなお話をされている。ちなみに、私が取材にうかがった時の講義は、ビットコインの話をキーに、インターネットで横行する詐欺や、それにどうやって気をつければいいかをお話されていた。

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いつお会いしても、本当にお元気で、ほがらかで、本当に驚いてしまう。

ちなみに、アップルのWWDCから帰ったあと、日本に2日だけ滞在して、友達に会うためにロシアに旅行に出かけられた。

彼女よりはるかに若輩な我々が、日々に疲れたり、海外をおっくうがったり、プログラミングを「もうはじめるのには遅い」とは言えない。

彼女より多少若い我々は、彼女に恥ずかしくないように、がんばろう。

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(村上タクタ)

2017年7月 7日 (金)

100年前、23歳の男が始めたベンチャー企業の話【100BANCH】

昨年、105歳で亡くなった祖母に聞いたのですが、子供の頃は、電気も、ガスも、水道も、なかったそうです。夜は真っ暗闇で、水は井戸から汲んだものだったそうです。

今からおよそ100年前。

そう、ちょうど私の祖母が5〜6歳の子供だった頃、23歳でベンチャー企業を立ち上げた男がいました。

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電球ソケットを発案し、その後、天井からぶら下がっている電灯線から、他の電化製品の電源を取る『二股ソケット』を作ったことで財をなしたこの男は、松下幸之助と言い、現在年商7兆円を超える巨大企業、Panasonicを立ち上げた立志伝中の人物です。

当たり前のことですが、Panasonicも100年前にはベンチャー企業だったのですね。

(余談ですが、『この世界の片隅に』の玉音放送を聞くシーンで、天井の二股ソケットからラジオにケーブルを引くのが描かれているそうです。電灯が、戦争という暗い時代が終わり、成長の時代が始まる象徴して描かれたのかもしません)。

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というわけで、前置きが長くなりましたが、来年100周年を迎えるPanasonicが中核となり、ロフトワーク、カフェカンパニーと一緒に、渋谷の新南口エリアに『100 BANCH』というスペースを立ち上げたそうです。

やっぱり、7兆円の売上のある企業で、コトを起すにはいろいろな社内調整や、社内の上下関係、その他モロモロいろいろあって、もちろん、社内でもいろいろ試みはするけれど、新しい『これからの100年を面白くするためのプロジェクト』として、社外の風も、応援したり、取り入れたりしていこうということらしい。

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使われたのは、もともと倉庫だったビルだそうで(Google Mapsで見ると違う会社の看板が……)、そこをリノベーションしてウェアハウス風のカッコいい建物にしています。

ビルは3階建てになっており、一番上がロフト、2階がガレージ、1階キッチンと呼ばれるそうです。

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3階のロフトスペースは、さまざまなパートナーとのコラボレーションスペースとして、発表会やワークショップなどのイベントに使えるスペース。1階のキッチンは人が集うカフェスペースに。

そして、中心となる2階の『ガレージ』では、これからの100年を作る35歳以下の若者リーダーが立ち上げたプロジェクトを支援するアクセラレーションプログラムが展開されるそうです。

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二股ソケットの現代版を使っているのが象徴的ですね。

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プログラムに入る若者は68件のエントリーから、5月26日に開催された審査会でメンターによって選ばれた13プロジェクト(ふんどしの人が気になりますが、それについては後述)。

ガレージプログラムは随時公募を行い、審査を通過したチームはプロジェクトスペースを無償で使えるのだという。

ただし、場所が使えるだけで、活動資金などは別途調達しなければならない。もちろんPanasonicやそれぞれの会社に認められば、それらの会社から出資が得られる可能性もあるが。また、そこで作られた製品に関する権限は、Panasonicなど主催会社が持つわけでなく、それぞれのプロジェクトが持つ。もちろん、出資などの条件によっては、企業が買い取ったりすることはあるかもしれないけれど、基本的には『場所を貸して、応援する、アドバイスする』というのが中心的な活動になるそうです。

プロジェクトは3カ月ごとに経過を発表し、1年を基準に交代していくことになるという。ここでのメンタリングや、審査には、21人のメンターが協力していくことになるのだそうだ。私の良く知るところではCEREVOの岩佐さんもメンターに名を連ねてらっしゃる。

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実際、どんなことをやっている(やろうとしている)人が参加しているのか見てみたが、デジタル造型に特化したクラウドソーシングとか、街全体を連携させたメッシュ型のコワークとか、在室が分かるシステム構築とか、いろいろ興味深いプロジェクトがありました。

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25歳の工藤大貴さんが率いる『Re:Recipe』は、料理上手のおばあちゃんちで郷土料理を食べるサービス。

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24歳の高橋祐亮さんが率いる『Future Insect Food』は、これからの食料難の時代に先駆けて昆虫食を推進するために『食べて美味しい昆虫料理』を開発するのだそうだ。粉末化して上手に料理すると肉のように感じられる昆虫の料理など、いろいろ考えてらっしゃった。

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24歳の邦高柚樹さんは、魚の養殖と水耕栽培を掛け合わせた新しい農業、アクアポニックスを渋谷で運用したいのだそうだ。

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水槽飼育と、水耕栽培と、屋外での園芸をちょろっとかじった私としては、なかなか大変だとは思うのだけど……面白くはありますよね。

最後に謎のふんどしの人……。

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28歳の星野雄三さん(右)。『世界中でふんどしを楽しむ未来を作る』って、おっしゃっていて、それをここでやる意味が全然わからなかったんですけど、株式会社ふんどし部の代表だそうで、東大大学院で筋生理学を終了し、TEDxUTOKYOのスピーカーも勤めたということなので、もしかしたら、すごい人なのかもしれません。


というわけで、渋谷に『100 BANCH』という新しいプロジェクトが始まったということは覚えておくといいかなって思います。今後も、何か面白いコトが始まって、取材に行けるといいなぁと思います。

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100BANCH
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷3-27-1
contact@100banch.com

2017年5月29日 (月)

ASUSの発表会を(ちょっと)のぞいてきました!とプレス雑感 #COMPUTEX2017

ASUSのデバイスには私、詳しくないのですが(いつも安井くんがレポートしてます)、プレスパスをご手配いただいたので、せっかくなので発表会に行ってみました。

実は、iPhoneで検索したら、別の場所が表示されていて、ウロウロしてしまって、開演に間に合いませんでした。パスを手配して下さったASUSの方、すいません(汗)

遅れてついたら、もう開場はギッチギチのライブハウスみたいな状態で、入れません(汗)

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まぁ、ここで諦めたら試合終了なので、「すんまへん、すんまへん」と関西弁で言いながら、割り込んで行きます。入り口付近がきつかったのですが、奥の右手の方にはスペースがありました。

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壇上では、ASUSチェアマンのジョニー・シーさんがめちゃめちゃ熱弁を奮ってらっしゃいます。アツい!

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ジョブズじゃないけど、エラい人がここまで詳細を理解してカンペもなしに(時々スマホ見てたけど)目線をあげて熱弁をふるえるのは素晴らしいなぁ。

ZenBook ProとかZenBook 3 Deluxeとか、VivoBook Proとか、ZenBook Flip Sとか、めちゃめちゃいっぱい新製品が発表されていました。VivoBook Sが499ドルとかいうところで、めっちゃ盛り上がってましたよ。さすが台湾お膝元です。

日本のメーカーにすでにこういう熱気がないことには一抹の寂しさを感じますよね……。

全然関係ないところですが、製品を持ってるコンパニオンの女性がめちゃめちゃキレイなことに驚きました……。

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めっちゃくちゃ背も高くて、もはや彫像じゃないかというほどの美しさです。

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ASUSのマシンに詳しくないので、せっかくプレス発表の開場に入れてもらっても、何も語ることはできませんが、こんなに場所と取りの難しい会場も久しぶりな感じです(汗)

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明日から、ちゃんと僕は取材できるのか、不安になるレベルの混雑ぶりと熱気です。

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テレビ局(?)のムービーの人が我が物顔で撮影して、スチルのカメラの人に舌打ちされたり、逆にムービー撮ってる人の前にスチルの人が割り込んで撮影が止まって起こったり、ちょっと客観的に見ると、プレスの戦いって大変だなぁ……。

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画角を広くすると歪むから、ちょっと引こうとすると、ワイドな画角のスマホの人がガッて入ってきて、めっちゃ腹立ったりします。

日本のメディアの人もいっぱいいました。みなさんが見てるレポートも、こんな戦いの末に書かれているわけです。


(村上タクタ)

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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