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書評一覧

書評

2016年12月12日 (月)

人工知能に興味ある人も、ない人も【よくわかる人工知能・清水亮著】

フリック!でも時々取材させていただく、清水亮さんが執筆された『よくわかる人工知能——最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ』を読みました。

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簡単に言うと、人工知能に興味のある人もない人も読んでおくべき本です。

面白いし、ためになります。

だって、もうじき多かれ少なかれ人工知能が我々の仕事に入ってきて、一部では圧倒的に勝利を収めて、ある場所では我々の仕事をうばっていきますから。関係ない人はあまりいなさそうです。

たとえば、ディープラーニングを使って、コンビニを出店すべき場所を解析したら、人間のこれまでの理屈では『こんなところに?』というようなところに出すと実は回り回って利益を生む……というような場所が解析できるでしょうし、コンビニチェーンのうち先にディープラーニングを導入したところが圧勝を収めるということになりそうです。あらゆる業態でそういうことが起こるとのこと。

我々の出版という仕事だって無縁ではなくて、たとえば複数の表紙案のウチ、どちらが売れそうななんていう課題については、過去に出版された本すべて表紙画像データと売れ行きのデータがあれば完全に解析されてしまうでしょう。

また、写真を見てキャプションを書くぐらいのことも出来るそうです。そればかりか、キャプションを取り込んで写真を生成することもできるそうです。なんだそりゃって話で、それは人間には難しいですが……。

ともあれ、そういう意味では、ほとんどの人の未来にとって無縁じゃない話です。

一部は理系でコンピュータに強い人にしか理解できないかもしれませんが、全体的には文系でそれほどカシコイ方ではない僕にも理解できたので、多くの人はスラスラ読めるんじゃないかと思います。

全体の構成は最初に、東大の松尾豊准教授との対談で、人工知能というかディープラーニングについての概略が語られ、それから、どのように活用されるかの例としてトヨタの岡島博司さん、進化を支えるハードウェア側の話としてNVIDIAの村上真奈さん、活用するサービス側としてYahoo! JAPANの田島玲さんとの対談があり、その先の話として受動意識説の慶応大教授前野隆司さん、人工知能研究にはホルモンの要素が必要と語る慶応大准教授満倉靖恵さん、人工超知能についてドワンゴ人工知能研究所の山川宏さん、人工知能の長足の進歩を国産の独自ハードで企図するPEZY Computingの齋藤元章さん……との対談が続きます。

どれも対談だから、非常に読みやすくて分かりやすいですし、何より、話を聞いてるのがシロウトでなくて清水さんなので、深い所にズバっと話が切り込んでいって、さらに僕らシロウトにも分かりやすくひも解かれています。

というわけでお勧めです。

で、ちょっと本題と違う話なのですが、人工知能と関係ないところで、僕にとって興味深いところがいくつかありました。

ひとつはトヨタの岡島さんのところで、自動運転についての話が出てきます。自動運転では画像解析とか判断のところでディープラーニングが非常に役立ちそうなのですが岡島さんが『とはいえ難しい部分もあります。絶対にセンターラインをはみ出さないようにするとか、あるいは制限速度を守ってさえいれば必ずしも安全に直結するかっていうと、ケースバイケースなわけです』っておっしゃっていいること。

僕が自動運転において非常に懐疑的というか疑問に思っていたけど、上手く表現できないと思っていた部分をずばりと言い当ててらっしゃって、『ああ、さすが車メーカーの人は分かってる。この点を理解して下さっているなら自動運転にも可能性があるかも!』って思った部分なのです。

つまり、混合交通の中で僕も含めてかならずしも遵法運転というワケではない。そこで自動運転車だけが正論で、運転されちゃたまらない……と思っていたら、そこがちゃんと討論の俎上に上がっているということで安心したワケです。

しかし、それこそ日本においては法律の方に変わってもらわないと解決できない問題かもしれませんがね。

あとは、Yahoo!さんの話の中で、同じ題材のニュースが多数あった時に、人工知能がひとつに絞ってる(弊社も記事をYahoo!さんに提供しているので)っていうところで『ヲイ!』って思ったのと、満倉さんのところの腹側被蓋野の話ですね。このへんは、まぁ読んでからのお楽しみ……ということで。

というわけで、みなさんにお勧めの一冊でした(他社さんだけど(汗))。

2016年10月12日 (水)

『治るという前提でがんになった——情報戦でがんに克つ』を読んだ

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この春、私たちが作ったもしもの時のためのデータ管理術『デジタル終活』の巻頭に出ていただいた高山知朗さんが本を出された。

『治るという前提でがんになった——情報戦でがんに克つ』という本で、幻冬舎から1100円+税で出ている。

私は、47歳なのだが、この歳になると、近親者や友人にガンで世を去った人が何人かいる。

若く、幸せの絶頂だった人の命をあっという間に奪っていく病気だし、抗がん剤や放射線治療は非常に苦しく長いものだと聞く。世を去った友人と、その去り際まで SNSでやりとりしていたこともあるが、本当にやるせなく、無力感を感じた。

また、当然『自分ががんになったら?』ということも当然のことながら、考える。妻子を持つ人間として、どう行動すればいいのだろうか? 勇気を持って戦えるのだろうか? 見苦しく命にすがるのだろうか? 逃げ惑うのだろうか? 当然のことながらがんを補償する保険にも入っており、妻子が路頭に迷うことはないようにしているが、それでもまだまだ成人にはほど遠い子供たちを残して死ぬことを思うと、心臓を冷たい手で握られたような心地がする。

高山さんは、40歳の時に脳腫瘍で5年生存率(5年後に生きている可能性)が25%、42歳で白血病で5年生存率40%という告知を受けて、生き残ったサバイバーだ。

それも、ただ幸運で生き残ったわけではない。

最初の発症時に1歳だった『娘の二十歳の誕生日に娘と妻と一緒においしいお酒で乾杯してお祝いする』という目標を立て、可能な限りの情報を集め、医師の方々と相談し、知人の方から知恵を得、恐怖を押し返し、論理的に考え続けて、文字通り総力戦でがんと闘って生き残られたのだ。

本書は高山さんのがんとの戦いの記録だ。

どうやって、最初に病気が発覚したか? 告知の時に人はどう考え、どう行動するのか? どうやって病院、お医者さんを選べばいいのか? セカンドオピニオンが欲しい時にどうすればいいのか? 闘病にお金はどのぐらいかかるのか? そのために平時に何をしておけばいいのか? 手術、抗がん剤、放射線治療にどう対処すればいいのか? 個室、2人部屋、大部屋、病室はどう選べばいいのか? 代替医療の甘い罠にどうやったら、落ちないか? それを勧めてくる人にどう対処すればいいのか……? そんなことがすべて書いてある。

また、がんになった人は周囲の人にどう接して欲しいのか? 見舞いなどはどのようにすることが望まれているのか? どういうことを言って欲しいのか? どういうことを言われたらストレスを感じるのか……? などについても書かれているから、周囲の人がガンになった場合にも参考になる。

さらに、『死ぬかも知れない』という人生最大の恐怖との戦いの方法が書かれているわけだから、ハッキリ言って他のすべての問題(仕事や、恋愛や、人間関係などなど)がいかにささいな問題、解決可能な問題であるかにも気がつく。

というわけで、控えめにいっても、ある程度の年齢になった大人の必読書だと思える。すべての困難と戦う勇者のための導きの書だ。



(村上タクタ)

2016年9月15日 (木)

iPhone発売前夜! 梱包状態はちょっとコストダウン?

広報機材はすでに、パッケージは開梱されたものだったが、ちょっと様子をお伝えしよう。

外箱は従来同様、折り重ねた部分の分からない精密なもの。

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パッケージを開くと、従来通り、いきなり本体にご対面。そしてその下のマニュアルなどの書類をどけると、ヘッドフォンと電源が出てくる。

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従来プラスチックだったヘッドフォンのケースが紙製になっている。これはちょっとコストダウン。ただ、ずっと使うものではないので、エコ的に優れていると言われれば、これはこれで納得だが。

ヘッドフォンが巻いてある紙の裏側に3.5mmピンジャック-Lightning変換ケーブルが付いている。

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エコに優れてるとあれば文句も言えないが、少しコストダウンかな?



2015年8月21日 (金)

『最速の仕事術はプログラマーが知っている』(清水亮)を読んだ

子供の頃、あまり論理的でなかった両親(笑)に反発して、とかく論理的であろうと思っていた。耳を尖らせようかと思ったほどに。

思えば、子供の頃にコンピュータに興味を持って、紆余曲折ありつつも、こんな仕事に就いたのもそんな思いが底流にあったのかもしれない。

学生時代にはプログラミングにも興味を持ったし、実は四半世紀ほど前の最初の職歴はプログラマー(ただし言語はCOBOLだったが)だったほど。もちろん、1年数ヶ月して、放り出して、雑誌業界に身を投げたわけだが……。

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だから、清水さんが『最速の仕事術はプログラマーが知っている』という本を出されたと聞いて、なるほどそりゃそうだと購入して読んでみたワケだ。

著者の清水亮さんは、ご存じの方が多いと思うが、ソフトウェア開発会社にしてenchant moonを作ったユビキタスエンターテイメントの創業社長。大学在学中に米Microsoftのゲーム機開発や技術動向研究に携わったというデキる人。国の独立行政法人情報処理推進機構から天才プログラマー/スーパークリエイター認定されたという、いわば国に認定された天才なのだ。

実際、お話していても、僕が自分のアタマの回転の遅さを痛感するほど思考のテンポが速く、「村上さんとは、○○と、○○でお会いして以来ですよね」と、大勢人のいるイベント会場でちょこっとご挨拶しただけの僕のような小物のことさえ、いつどういう状況会ったか覚えてらっしゃっていた。30分前にお会いした人の名前さえおぼつかない自分のアタマのポンコツさを思い知られる。そして、頭の回転の早い人の話は面白い。お話をうかがっていてとても楽しい人だ。

本の論旨としては、イメージしていた通り『タスクの論理構成を考え、最短の処理を考えるのがプログラマーの仕事だから、それに長けているプログラマーは仕事に向いている』というものだが、実例が数多く載っていて非常に面白い。

たとえば『aが0であるところから始めて、aに1を足し「aを10倍したものをcとして、そのcとbを足したものをbとするというのを100回繰り返す」というのを100回繰り返す』という処理を、プログラマーが考えたらどうなるかという題材。

僕なんかだと、延々とこの長い処理を手作業で続けると思うのだが、プログラマーがこれを煮詰めていくと『b←(n+1)*n*500』という短い1行で済むのだそうだ(私の引用が間違ってるかもしれないので、詳しくは原著を当たって下さい)。

これは最初に分かりやすく書かれたプログラムの6700倍速いのだそうで、こういう『究極の近道』を見つけられるかどうかが、凡庸なプログラマーと天才プログラマーの差なのかもしれない。

ちなみに、もっと速い処理があって、それは『b←5050000』とすることだそうだ。こうすると処理は2万倍速いのだそうだ。「それってズルじゃん!」と思うかもしれないが、そういう超法規的ルートをたどれるのが本当の天才かもしれないよね? そして、GoogleやAmazonの経営って、そういう『b←5050000』的な意思決定をバンバンやってる気がする。

原稿を書く仕事をしている人間として、すごいなって思ったのは『ローマ字入力より、かな入力の方が30%速い』という記事で、『筆者は1時間に1万字の原稿を書くことを目安としている』とサラリと書いてあったことだ。1万字っていうのは雑誌屋的には20文字×500行で、だいたい4〜6ページぐらいの原稿だ。この量って、ずっと25年原稿を書く仕事をしている僕が最速で書いても、多分4時間ぐらいかかる。アタマが良くて効率のいい人には、僕は自分の専門分野でさえまったくかなわないってことだ。

文字入力速度を速くするために、かな入力にして、辞書登録を駆使して効率をよくするのだそうだ。メールでさえいくつかのパターンを想定した文章を最初から署名に入れておいて、そのメールに必要ない部分を削除し、多少修正するだけで、定型的な連絡はできるようにしておくという。

たぶん、会社組織や僕のような人間の仕事には『無駄』がいっぱいある。効率化を超えた『プログラミング』を追求することで、作業量は減り、本当に重要な意思決定やクリエイティブな作業に時間が割けるようになるのだと思う。

実際、ちょっと我々一般人からすると考えられないような効率化もある。『進捗会議で10数人の進捗報告を順番にするのは無駄だから、チャットで同時書き込みさせればマルチスレッド化して速い』とか、『通常トップに意見を言える人はおらず、そのことが経営を腐敗させるから匿名チャットで経営会議をしろ』とか、まぁ、ちょっと暴論じゃない? と思わなくはない。いや、できたらいいかもしれないけど。

『想定外を想定しておけ』とか、『二択の賭けはどっちにも賭けろ』とか、意思決定に関するロジックは非常に参考になるし、『感情』や『思い込み』で決断している(と部下に思われているかもしれない)経営者の人にはぜひ読んで欲しいなと思う本である。

また、部下たるスタッフにとっても、仕事を極限まで効率化する方法論について学び考えることができるのだから、読んでおいてもらうにう越したことはない。

また、こう書くと効率一辺倒で、無味乾燥な仕事観が展開されているのかと思われるかもしれないけれど『飲み会を開催しろ』とか、『時に電車ではなく歩いて移動せよ』とか、『ゴールデン街に行け』とか、単純な効率だけでない実際に必要な情報収集や、思考の転換の方法論についても書かれている。このあたり、卓越したプログラマーであるだけでなく経営者でもある清水さんならではの現実的な部分が垣間見える。

もちろん、文書作成の効率化、情報収集の方法論、議事録や説得力のあるプレゼン資料の作り方、Evernoteの活用方法、メモの取り方、Google検索の本当の使い方……などなど実際に役に立つ方法論も山盛りだ。

優れた思索者であり、経営者であり、ソフトウェアエンジニアであり、そして、あまりに頭の回転が速いがゆえに周囲と噛み合わないことがあったり、あまりに論理的なのに時にナイーブだったりする清水さんの行動ロジックが綿密に書かれているようでとても面白い本だった。

もちろん、凡俗たる僕なんかに、この本の内容は実行できるワケもないことが多いのだが、それでも読み終わった後には『もっと効率的にできないかな?』『普通の方法論を飛び越えた圧倒的な方法論はないかな?』と考えるようになっていることに気が付く。

この本を読んだ事で、僕の仕事が5%でも、いや1%でも効率的になっているたらいいなぁ。それだけでも、この本を買って読むという投資は大いに回収できていると思うのだけれど。






最強の仕事術はプログラマー

2015年4月28日 (火)

週刊アスキーの電子版が気になるw

他所の話をするのもナニですが、週刊アスキーさんの今日発売の号の電子版がイカしています。

『BACK TO THE 週アス』として、昔の過去記事が載ってるのですが、紙の方は縮刷版がちょっと載ってるだけなのですが、電子版は過去のページがどっかーんと大量に載ってます。

他所様のメディアの誌面を乗せるのはマズいので遠慮しておきますが、お買い物ガイドとしてIIcxが載ってたり(笑)、続々登場する新製品としてclassicが出たり(19万8000円だったことがあるんですね!)、『PC98のすべて』という涙の出そうな記事があったり、performer 588や5220出たり、小型携帯パソコンなる記事があったり、VAIOの歴史があったり、『カオスだもんね』の第1回があったり……いろいろデジモノマニアとしては涙なしには見られない記事になっております。

週刊アスキーさんも紙での発行を遠からずやめるということで、ひと足先にデジタルのみになっていたフリック!としては思いは複雑ですが、これからも一緒に(取材先とかではよくご一緒するのですよ)デジモノ好きのみなさんを楽しましていければと思います。

そういう意味では、こういうアーカイブものが電子であるのは実にいいですよね。

しかも、なんか、今キャンペーンとかで電子版は100円。これは買っといて、GWにのんびり読もうw

2015年2月10日 (火)

僕はコンビニおでんを食べないけど参考になった——【Book Review】『やせたいならコンビニでおでんを買いなさい』

偶然とは恐ろしいもので、昼にいしたにまさきさんが、このご本を紹介されているのを読んで「面白そうだな」と思っていたら、偶然!夜にご本人にお会いして、しかも「良かったら読んでみて下さい」とご本をいただいた。

なるみんさんありがとうございます。

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『やせたいなら、コンビニでおでんを買いなさい』
っていうタイトルがキャッチーだ。キャッチー過ぎる。

何しろ、コンビニといえばジャンクフード感満載、三食コンビニメシだなんていうと、即デブ決定な感じがする。それを逆説的に『痩せたいなら、コンビニ〜』ってくるあたりが実にキャッチー。天才的。

コンビニメシ食べて痩せられるなら、そんなに嬉しいことはない。実はダイエット本の世界って、けっこうキャッチ勝負で、『寝てるだけで痩せる』とか、『食べて痩せる』とか、「オイオイ! そんなわけあるかーい!」と言いたくなる本がけっこうある。

でも、太っちゃう人っていうのは、現状認識が甘いし、甘い考えと甘いモノが好きだから太っちゃうわけで、そういう人にはやっぱりスイーツな考えで訴えないと、『毎日乾パン1枚でゲッソリ痩せる』とか、『1日42.195km走って、スマートになる』とかいう本を作ったって売れないワケです。多分。

実際に、著者のなるみんさんのNAVERまとめ『1カ月半で10.5kgダイエットした人の全記録』は、2825万5938もPVがあるそうで、その実績を持ってしての満を持しての書籍化ですから、もう成功は約束されているようなもんです。

ただ、この本は空虚な理論ではなく、ちゃんとした実体験に基づいたNAVERまとめを、さらに書籍化するにあたって管理栄養士さんに監修してもらって理論で裏付けられて、さらに安全性が確保されています(あまりに急なダイエットとか危険らしいですからね)。

リクツとしては、コレに尽きます。

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『ダイコン14個で、鮭おにぎり1個分のカロリー』。

つまり、低カロリーで十分に満腹感、食べた感が得られるのがコンビにおでんであると。さらに、十分に食べた感を得ながら、痩せる方法がタップリ書いてるワケです。実はカロリー表示や、含まれる栄養素に関する表示がしっかりしているから、ダイエットに使いやすい……というあたりの展開は、まさに目ウロコ、コペ転であります。

話はおでんから始まりますが、コンビニの食材を有効に利用して、いかに食べたいものを食べて、空腹感に耐えることなく痩せるかが見事に解説されています。



ただ、本やとして、ちょっと残念だナーと思うのは、この本の紙と体裁だと1100円(+税)はちと高いかなーと。内容はしっかりしているので、この本を読んで10.5kg痩せた暁には安いものなのですが。あと、コンビニでは売ってなさそうなところ。

この本、500円にしてコンビニ棚で売ったらバカ売れですよ。おでんとセットで売ってくれるかもしれません。日経BPさんコンビニ販売のルートないのかなぁ。なるみんさんの会社のほうにルートがあるような気もしますが、まぁ、そのへんはまったく余計なお世話というもので、そんなことを書いてるヒマがあったら、お前が売れる本を作れと会社でドヤされる毎日で、まったくその通りなのですが。

もうひとつ白状しておくと、こんな文章を書いておきながら、私、コンビニおでんを食べたことがありません。生まれてこの方、1回も。不規則な編集生活の割に、自宅でヨメがちゃんと食事を作ってくれるっていうのと、どうもレジ横にオープンな状態であるおでんが苦手なんですよね……。というわけで、最後にちゃぶ台をひっくり返すようですが、本の内容自体は食生活全般に役立ちます。



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2015年1月13日 (火)

アップル製品を形作ったのは誰か?【日経BP社・ジョナサン・アイブ】

思えばスティーブ・ジョブズのエピソードって、どうしても神がかった先を見通す力や、決断力の話になったり、傍若無人な彼の人間性の話になったりしがち。この本を読むと、本当のモノ作りをしていたのはジョナサン・アイブだったのかとよく分かる。

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もちろん、ジョブズの立ち位置でのモノ作りはあるし、彼がいたからこそのアップルであり、アップル製品のモノ作りというのはあるんだけど、実際にアップル製品の優れた部分をカタチ作っていたのは、ジョナサン・アイブであり、彼のチームであったことがよくわかる。

本書では、子供時代、学生時代のジョナサン・アイブが銀細工職人であり、後にイギリスの教育界でも著名な人物になった父の影響を受け、デザイナーとしての根源的な部分を身に着け、成長していったかから描かれる。おそらく天賦の才もあったろうし、それを伸ばす環境にも恵まれていたこともよく理解できる。

そしてRWG(ロバーツ・ウィーバー・グループ)やタンジェリンというデザイン会社に所属した時代を経て、フリーランスのデザイナーとしての経験も積み、フリーランスとして面白さと、フリーランスとしての限界を経験して、アップルに入る。そして、その中で官僚的だった、当時のアップルの仕事の進め方に限界点を感じていたところで、ジョブズの帰還という好機に巡り合う。

もっとも、当初はそれが好機かどうかは分からなかったはずだ。独裁的なジョブズと、アイブがどうやって出会ったのか。そこから始まる物語がこの本には、克明に書かれている。

ジョブズがアイブたちのチームをどう遇したのか? そして、その混乱の中から、どうやってわずかな期間でアップル復活の狼煙となる初代の『iMac』を産み出したのか? それに続く、5色のiMac、Power Mac G3、初代iBook、PowerBook G4の時は? そして、iPod、iPhoneが産み出されるまで、どんな葛藤があり、どんな素材の、どんなモデルが試作され、どんな意思決定がされたのかが詳細に描かれている。

もちろん、iPadや、MacBook Air、そこから生まれた今に繋がる『ユニボディ』のテクノロジーについての背景も語られる。そして、黄金時代をともに築いたジョブズとの別れ、今の体制へと話は移っていく。

そんな背景を経ながら、それぞれの製品がどうやってデザインされいったかの過程が語られる。これまで読んだどんなスティーブ・ジョブズの伝記よりも、アップル・プロダクツのデザインについて詳細に語られているのは新鮮に思える。

また、どんなチームを組むべきなのか? スタッフをどう遇するべきなのか? 上司や、他の企業にどうプレゼンすると上手く行くのか……? というようなことも描かれている。

古くからのアップルファンも唸らせてくれるし、iPhone以降のアップルファンにも、そこに至るまでの道程について教えてくれる本。すべてのアップルファンにお勧めしたい。


(左が紙版、右がKindle版です)

2014年8月30日 (土)

ジェット☆ダイスケさんの『YouTubeで食べていく——「動画投稿」という生き方』

タクタです。

ジェット☆ダイスケ(愛場大介)さんという人を、いつ初めて知ったのかは覚えてませんが、かなり以前から見知っていた気がします。YouTubeに動画をアップしている人です。

ジェット☆ダイスケさんのYouTubeチャンネルはこちら

『じゃじゃ〜ん、○○○○』とか言って、製品レビューをしている人です。『ジェットカット』という、セリフなど重要な部分を全部切った編集手法を生み出した人でもあります。雰囲気なんか出してカッコつけてる間に、あっという間に他の動画に行かれてしまうYouTubeでは、実に有効な手法だなぁと思ってみておりました。

僕は会社でパソコンを広げている事が多いので、ほとんど動画は見ないのですが(職場で音がしたらビックリするから)、ジェットさんの動画だけはブックマークして家で見たりしてました。なんでかはよくわからないけど、世代やクラスターが近いとか、関西人として近いとか、まぁそういうことかと。

いつしかSNSでも知り合ってたんですが、実際にお会いしたのはflick!を始めてからでしょうか? 取材でなんどかすれ違ってはいたのですが、実際に一緒になんかさせていただいたことはありませんでした。

そのジェットさんが本を出されました。じゃじゃ〜ん! その名も『YouTubeで食べていく——「動画投稿」という生き方』です。

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ジェットさんのキャラからして、面白おかしい本なのかと思ったら、実にマジメに『動画投稿で生きていく』ということが論じられています。

たしかに、人気YouTuberという人たちが、とりざたされたり、すごい稼いでるらしいよ……なんて言われたり……っていうのがニュースに取り上げられたりして、『なんか、好きなモノの動画とか作って生きていけるなんてウラヤマシイね〜』なんていう世間の印象はあるのかもしれません。

メディア業界のはじっこにいるものとしては、「そんな甘いもんじゃないよね〜」とは思うのですが、ジェットさん、よほど多くの人にその質問を聞かれたのか、『稼げるのか? 食っていけるのか?』について、実にマジメに論じてらっしゃいます。

あと、ひっんぱんに出てきて面白いのが「YouTuberに憧れて、動画投稿する若者」……若者というか、子供ですよね。そんな子供たちがいるとは、知らなかったのですが、ちょっと痛めのそういう若者について、たびたび言及されてますから、けっこう困らされている(もしくは、その子供たちの先行きを心配されている?)のかもしれません。今再生リストを見ると、ジェットさんの動画の上位は軒並みプラレールの話とか、チョロQの話なんですね。一番再生されている動画が、再生回数733万……ってスゲえ。

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これから、動画投稿や、ウェブでの動画SNS的なものはもっと盛んになっていくと思いますから、ますますYouTuberの方々はご活躍されると思いますが、YouTubeで食っていけるのか? ビジネスになるのか? と思ったら、この本を読んでみるべきだと思います。

この本をキッカケに、もっとジェットさんの本領発揮的な『動画投稿ってオモロイで!』っていう感じの本も出るといいなと思います。いや、それは動画でいいのか(笑)

そうそう、一番肝心な話。ジェット☆ダイスケさんには、次号flick!の『カバンの中身』にご登場いただきます。ご協力ありがとうございますm(_ _)m


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    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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