デジタルガジェットとウェブサービスに関する最新ニュースを、電子雑誌『フリック!デジタル』と連携してお届け! [ Flick! 毎月20日発売 ]

« あわただしい月曜日 | メイン | cheeroの基幹商品 Power Plusの第5世代目登場【cheero Power Plus 5】プレゼントあり! »

2019年5月21日 (火)

antenna*の事業説明会で知る、ネット広告の今

グライダーアソシエイツって何の会社か知ってる?

antenna*を運営するグライダーアソシエイツさんの事業説明会に行って来た。

もともと、記事配信だったり、広告ビジネス側のお仕事としてうかがったのだが(僕、そういう仕事もしているんですよ(笑))、レポートしてもいいということだったので、レポートしてみる。ちょっと専門的な話になりますが。メディアや広告って、こういう感じで動いているんだって、ご理解いただけるかも。

antenna*さんって、いわゆるキュレーションアプリとして、フリック!の2015年9月号(Vol.47)で取材させていただいているのですが、我々としてはニュースを配信いただいたりする関係でもあるし、場合によっては広告側ビジネス側のお付き合いも発生する。

antenna*
https://antenna.jp/

今回のイベントは、そんなantenna*さんが、antenna*に記事を提供している媒体社や、広告出稿するクライアント、広告代理店などに向けて行ったイベント。

キュレーションメディアというと、Smartnews、Gunosy、Yahoo!などもあり、雑多なニュースをどっさり集めている印象がありますが、antenna*さんは、品質、ビジュアルにこだわったセレクション。したがって、広告クライアントさんも、JAL、ANA、レクサスなど、高級志向。

ブランドイメージを大切にする企業にとって、下世話で美しくないビジュアルのニュースの中に、自社の広告が表示されるのは望ましいことではない。PVがあればいいというわけではないのだ。そういう意味で、antenna*のようなちゃんとセレクションされたキュレーションサイト(すでに言葉として変な気もするが)の存在は高く評価されているというわけだ。

Dsc01450

会場に行くとめちゃくちゃ立派で驚いたが、これもantenna*に広告を出稿する企業のひとつであるテイクアンドギブ・ニーズが提供した会場とのこと。テイクアンドギブ・ニーズは全国100カ所以上の結婚式場を運営する会社。ここもそのひとつだが、土日以外はあまり使っていないということで、今回の会場提供となった模様。

Dsc01520

中も素敵。

まずは、グライダーアソシエイツの執行役員早坂直之さんが挨拶し、概要を説明。

Dsc01457_2


日本の総広告費6兆5300億、今年はついにネットがテレビを抜く

続いて、電通の電通メディアイノベーションラボの研究主幹北原利行さんが登壇して、『最新のメディア動向について』のお話があった。

Dsc01458

昨年の日本の総広告費は、なんと6兆5300億円なんだそうである。

Dsc01465
ピークは2007年の7兆0191億円。そこから急落し、2011年に底を打ち、そこから徐々に上がってきているのだそうだ。

内訳はこんな感じ。

Dsc01467


数値的には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ4媒体(と言われるらしい)が41.4%。インターネット広告費が26.9%。そして、交通広告やPOP、ダイレクトメールなどのプロモーションメディア広告費が31.7%。

この中でインターネット広告費は、連綿と成長を続けており、昨年は1兆7589億円。その中でも運用型広告(キュレーションメディアなどでも表示される、支払ったお金に応じて対象を追いかけつつ表示されるタイプの広告)が大きな成長を遂げているらしい。

Dsc01469

媒体別広告費の移り代わりはこんな感じ。

急激に伸びている紫色の線がインターネット広告。

赤線が地上波テレビなので、このままではおそらく今年2019年は、地上波テレビの広告総額を、インターネットの広告総額が抜く歴史に残る年になりそうだ。

新聞が大きく、雑誌のご覧のように下がっている。とはいえ、ネットの記事もここのお金で作成されているので、仮に新聞や雑誌がこのまま凋落を続けると、誰も取材に行った記事を書けなくなるではないか……と雑誌の現場からは思わなくもないが。

そこは電通さんということで、ユーザーを分析して8クラスターに分けていらっしゃる。

Dsc01487
さしずめ、私も含めてフリック!の読者さんは、『情報高関与』タイプか『ネット情報重視』タイプだろうか? 前者は地上波テレビのみ平均以下の関与度。後者はグルメレジャー誌の関与度はグルメ・レジャー誌への関与度が低い……とのことなので、前者のような気がする。フリック!の読者さん、地上派テレビは見ないかもしれないけど、グルメとレジャーには詳しいもの。

まぁ、そんな型にハマるものばかりではないよ(笑)と、分析されるのが嫌いな私は思いますが。

実はこの他にも興味深いスライドがいっぱいあったのですが、情報公開NGのものもあったので、ここまででガマンして下さい。

顧客動向の変化。クルマ購入への来店不動の7回が→1回に!

さて、続いては、デルフィスの常務取締役・土橋代幸さんによる『広告主における最新のブランディング動向について』。

デルフィスさんは元々トヨタ100%出資の広告代理店。当然トヨタやレクサスの広告を扱っている。

Dsc01514


驚いたのはクルマの購入行動の変化。

クルマを買う時に、ユーザーさんは7回ディーラーに行っていたのだという。

まずは「様子見」だったり、どれか気に入ったのを探したりライバルメーカーと「比較」したり、最終的には家族の「説得」だったり、仕様やオプション品を「詰め」たり。

2カ月の間にそんな行動をする、不動の7回の来店があった。それがどんどん移り変わって2013年から激変したのだという。

Dsc01493

たった1回になったのだという。1店舗しか行かないという人が過半数になったという。

そういえば、昔、父などは、まるでそれが趣味であるかのように、週末のたびにカーディーラーに行っていた。ちょっとずついろいろ比較検討して、何度も折衝して買う商品がクルマというものだった。

それが今では1回の来店で買うものになってる。その代わり、その2カ月の間に70回もウェブサイトには来訪する。そういう市場動向の変化に対応しなければならないということだ。

次はアンケート調査の結果。

Dsc01501

Dsc01502

マス広告の価値は、世の中への影響力、リーチ力、認知獲得力。つまり、まぁ、同じことを言っている。認知、「知ってるよ」ってことを獲得する手段だということだ。

(これは、逆にマス広告のユーザーデータの取りにくさを表しているとも言えるが)

デジタル広告の価値は、サイト雄引力、理解獲得/興味喚起、口コミに効く。つまり、いわゆるAIDMAの法則の認知>興味>要求>記憶>行動の法則の中でいえば、マス広告より次に進んだ状態をカバーしているといえる。

Dsc01512

一方、困っている点としては、マスもデジタルもどちらも同じで「広告効果の測定・検証」が一番になっている。もちろん、マスよりはるかにデジタルの方がデータは取れるが、データを取ったところで、もっとデータが欲しい……ということになるということだ。誰しも、クライアントであったり、上司であったりを説得する材料に常に困っているということだ。どこまでいっても。

だって、それが仕事なのだものね。

広告代理店であったり、メディアであったりに期待されるのは、広告効果測定の提案であったり、統合的戦略の企画提案であったり、効率的な媒体計画の提案だったりするそう。

つまりは、だからこそ、さまざまなメディアを繋ぎ合わせて、マス、ネットを組み合わせて、いろいろなパターンの広告提案が可能なグライダーアソシエイツのような会社が必要になるというわけだ。

目先のものに惑わされずクオリティを大切にするグライダーアソシエイツ

というところで、最後のシメにグライダーアソシエイツの2019年の事業方針の紹介ということで、取締役副社長の荒川徹さん登場。

Dsc01550

グライダーアソシエイツというと、キュレーションメディアantenna*の会社というイメージだが、実際には多角的なプロモーションが可能な会社ですよというお話。

Dsc01543

交通広告を組合せたり、様々な雑誌メディアを組み合わせたり、もちろんウェブでいろいろな記事展開を行ったり、それをSNSで展開したり。

なにしろ、代表の杉本哲哉さんは、あのデータアナリティクスの会社マクロミルの創業社長なんであるから、データを集め解析するのはお手のものだ(荒川さんもマクロミル出身)。

さらに、あたらしくレコメンドウィジェットのcraftを組合せ、統合的なプロモーションを展開していくとのこと。



Dsc01567

まぁ、一般の読者、ユーザーの方としては、どんなところにどんな広告が出ててもあまり関係ないかもしれないが、実際には、エロや出会い系、消費者金融や、ダイエット、育毛などのコンプレクス商材にまつわる不愉快な広告にイライラさせられることは多い。

だが、少しでも料率のいいアドセンスを貼ろうなどとしていると、そういう広告が知らぬ間に増えて、メディアとしての価値を毀損し、逆に十分な資本を持つ大きなクライアントの広告を遠ざけていることになる。

目先の数字を求めると、大切なものを失ういい例である。

antenna*のグライダーアソシエイツさんは、そういうところでないインタネット広告の世界を作ろうとされている。そんな目で、antenna*のアプリサイトを見ると、少し見えてくるものがあるのではないかと思う。

Dsc01538


antenna*
https://antenna.jp/


(村上タクタ)

コメント

コメントを投稿

flick_twitter+facebook



このチームが作っている本のブログ

  • 【このチームが作っている
    本のブログ】




flick! editors

  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

flickの広告バナー


  • サイドリバー