デジタルガジェットとウェブサービスに関する最新ニュースを、電子雑誌『フリック!デジタル』と連携してお届け! [ Flick! 毎月10日発売 ]

« 先を見据えていまからメッシュWi-Fiシステム導入。LinksysのVELOP登場 | メイン | 今夜24時、フリック!12月号Vol.86発売! 最新Apple製品情報満載!  »

2018年11月14日 (水)

『わたし(あなた)』の依り代である名刺はセンシティブ——Eightで名刺スキャンナイト

4000枚以上の名刺のスキャンに挑戦

「名刺、スキャンしたいのに溜まるよね……!」とFacebookで雑談していたら、「みんなで集まって、スキャンしましょう!」とEightのSansanさんが、名刺用SansanモデルのiX500と、場所と飲食を用意して下さいました。

というわけで、割と内輪なイベントですが、飲食雑談しながら名刺をスキャンする会。

Img_6714

実は我々が通常使っているEightの他にこういう場面でダイレクトにScanするためのEight Scanという専用アプリがある。それで、大量にスキャンして、Eightに取り込む。

1回に取り込める量は100枚ぐらいということで、延々とスキャンして取り込みます。意外と表面を揃える作業が大変。そして、100枚投入しては、Eight ScanとEightを同期……というのを繰り返す。

Dsc00497


素敵な会場のご提供、Eightの小池さん、小父内さん、ありがとうございました。

Dsc00501


(ちなみに現場での会話としては、どの名刺が最強かの『名刺ジャンケン』的な話題とか、スキャンし難い名刺、しやすい名刺問題とか、名刺の素材問題とか、昔の名刺取って置くか問題とか、米国や中国など海外の名刺問題とか、Ingressのバイオカード問題とか、名刺のデータは会社のものか個人のものか問題とか、名刺の中にレシートが混じってる女社長問題とかいろいろありましたが、それはまたの機会に)

名刺情報はとってもセンシティブ

で、スキャン作業をしながら、名刺談義。

けっきょく分かったのは名刺ってとってもセンシティブなものだってこと。

個人情報だし、中には、営業さんで「可能な限りいろんな人に渡して、いろんな人の名刺を手に入れたい」って思っている人もいれば、「ちゃんと顔と名前が一致する範囲でのコミュニケーションをしたい」って思っている人もいる。何千枚も名刺をやりとりする人もいるかと思えば、数年で数十枚しか交換しないけど、その人たちとは濃いやりとりをするという人もいる。

また、なんというか、日本人は名刺に濃い思い入れがある。

『目下の人から名刺を渡す』『会社ロゴの上に指を置いて受け取らない』『テーブル越しに渡さない』なんていう名刺の渡し方のマナーや、『いただいた名刺はスキャンしても捨てられない』などに象徴される、名刺を相手の『象徴』として大切に扱うというか、魂が宿っているというような考え方だ。

たかだか、情報を書いたカードなのだが、それをまるで相手のエイリアスのように大切に扱うことがマナーだということになっているのも面白い(余談だが、日本で印刷物として名刺が一般的になったのは明治維新以降だから、まぁたかだか150年ぐらいの歴史しかない作法なのだが)。

また、名刺の肩書きが『係長』から『課長補佐』になったことに、その人の人生の誇りのすべてが詰ってることだってある。軽々には扱えない問題なのだ。

逆に結婚して専業主婦になった人や、仕事をリタイヤした人にとっては、交換して表示される情報自体が少なくなるだろうから、名刺の枚数が少なくなることで、アイデンティティの喪失感が大きいかもしれない。とてもセンシティブな問題だ。

『単なる情報カード』から『お会いした方の魂の依り代』まで、いろいろな考え方があるのを、一括して考えるのはなかなか難しい。

Dsc00498

一方、個人情報のやりとりであるなら、スマホのアプリが代替すればいいとか、FacebookやEight、LinkedInのアカウント情報をやりとりすればいい! っていう意見もあるかもしれない。

が『紙カード』というローレベルなプロトコルだからこそ、シリコンバレーのIT社長も、田舎の企業のオジサンも、事前のOSやアプリ仕様などの調整なしに情報交換ができるというメリットがある。

なんなら、30年前に交換した名刺でも、保存さえされていれば連絡先がわかるのだ(その情報が今も役立つかは別問題だが)。というわけで、紙の名刺すごい。


Eightの問題と苦労

そんな紙の名刺をデジタルで便利にしてくれるのがEight。

我々は、以前からクラウド名刺管理アプリとして紹介しており、便利だと感じているが、一方Eightで名刺管理することを『気持ち悪い』と感じる人もいる。

『何か知らない間に、自分の情報が交換され、流通しているのが気持ち悪い』というのだ。ごもっとも。

私(タクタ)などは、会社の住所や電話番号、メールアドレスなどは本の奥付に掲載している公開情報だし、いまさら隠そうとは思っていないが、全体に流通させたいわけではないという人もいる。

とはいえ、たとえば自宅で仕事されている女性のライターさんなどは、最低限編集者などには(ギャラの振込先などの情報として)住所は渡すにしても、それをセミオープンに公開されるのは困るということがある。

極端に有名な人も、いろんな連絡が来過ぎては困るから、オープンにはしたくないだろう。でも、そういう人も仕事上の付き合いがあるから、必要に応じて名刺は交換しているのだ。しかし、それを他の人には渡したくない。

今、Eightがなんとなく『気持ち悪い』と感じる人がいるというのは、そういう人たちに対して、ケアが足りなかったのではないだろうか?

『オープンで、シェア!』の掛け声で、オプトアウトでじゃんじゃん行こうよ! という時代があったことは確かで、SNSやクラウドの初期の頃はそれで良かったというか、それでなければ進まないというか、そういう人が集まっていたのだとは思うが、今やそれでは済まない気がする。特に名刺というセンシティブな情報においては。

実は、その後Eightも軌道修正をして、自分の情報が勝手に広がっていくということはない。ただ、少しずつ修正していっているし、都度都度の情報発信が、全体に行き渡っているわけでもないので、『現在の安心して使えるEight』の情報が伝わっていないということもあると思う(これについては我々メディアにも責任はあると思うし)。

誰もが『名刺管理サービス』だと思っていたEightが『ビジネスSNS』という方に舵を切ったときに、ソーシャルグラフを一気に公開側(全公開ではないが、可視化される方向)に持っていった時に、裏切れたように思った人が多かったのだと思う。『ウェブでやりとりしたいワケじゃない! 自分の名刺を管理したいだけなの!』というわけだ。

日本人の名刺に対する思いは軽くはないのである。

Dsc00495
今のEightについて、もっと情報発信していくべきでは?

EightはSansan社内にあるSansanとは別のサービスで、導入企業からのサブスクリプションで成立しているSansanと立場を異にするフリーミアムから始まったサービスだということがすべての根源にある。

Eightの収益源は3つある。ひとつは、SNSとしてEightのウォールなどに入る広告収益。ふたつ目はプレミアムユーザーからの会費。そして最後に人材サーチ(人事の人が有償で特定のキャリアの人を探すことができる)だ。

メインである広告収益を増すためには、情報のやりとりを増やさなければならない。ユーザーとしてはそのあたりにいぶかしさを若干感じる。しかし、名刺の管理だけに月額何百円かのサブスクリプションを払う人がたくさん(Eightが成立するほど)いるとも思えない。その難しさだと思う。

ちなみに、イベントで名刺をスキャンしながら聞いたのだが、現在のEightでは、基本的には自分のアカウントの詳細情報が勝手に表示されることはない。住所やメールアドレス、電話番号などは繋がっている人(名刺登録相手がEightユーザーの場合につながる)にのみ公開される。そうでない場合は名刺画像にはボカシがかかっている。

自分のアカウント用名刺も、最初に自分で登録するか、誰かが登録しているものを『これは自分です』という認証しない限り登録されない(たいていの場合、アカウントを作った時に表示される『これは自分です』を簡単に認証するようになっているフローに問題があるかもしれない。最近アカウントを作った場合、どういう風に表示されるかは知らないが)。

現在のEightでは、自分の情報をどこまで出すか、どういう風に交換するかは、FacebookやLinkedInなどのSNSに近い形式になっている。住所や電話番号だって、設定画面で個別に公開設定を変えられるという詳細さだ。

となると、問題はそれが『分かりにくい』『情報発信されてない』というところが問題なのか?

この界隈には、まだまだいろいろ問題がありそうなので、フリック!としても継続して取材して、改善すべきところはEightに提言し、告知されていない部分はパブリティし、名刺の未来を考えていきたいと思う。

(村上タクタ)


コメント

コメントを投稿

flick_twitter+facebook



このチームが作っている本のブログ

  • 【このチームが作っている
    本のブログ】




flick! editors

  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

flickの広告バナー


  • サイドリバー