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2018年11月

2018年11月20日 (火)

『日本にベンチャーの活力を!』Scrum Connetレポート

'80年代、'90年代の『Japan as No.1』な時代があったせいか、どうしたって今の日本が元気がないように思える。敗戦の焼け跡から、高度経済成長を経て、経済大国になったと錯覚した我々は、どこかで慢心してしまったのかもしれない。その結果の『失われた20年』だとすれば慢心の代償は大きい。

世界経済を席捲するシリコンバレー企業、特にAmazon、Facebook、Google(アルファベット)などの企業は、いずれも創業20年前後の企業、0から創業して、たった20年ほどで世界の頂点に駆け上がった(AppleやMSはもう少し古くて40年少々)。

Appleのように『ガレージから始まった』とまでは言わないまでも、1〜2人の企業が、急激に大きくなり世界的な企業になるサクセスストーリーは、なぜシリコンバレーのものなのだろうか?

そのひとつの理由に、企業へと成長するアイデアの萌芽に出資し、支援するベンチャーキャピタルの存在がある。

元企業家で、日米で起業し、企業を売却までもっていった経験を持つ宮田拓弥氏が率いるScrum Venturesは、アーリーステージの企業支援に特化したベンチャーキャピタルだ。そのScrum VenturesのイベントScrum Connetを取材にうかがった。場所は東京アメリカンクラブで、2018年11月19日開催。

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スタートアップが生まれにくかった日本と、シリコンバレーの土壌にはいろいろな違いがあるだろう。出る杭を打ち突出するのを嫌う日本人と、フロンティア精神に満ちた西海岸の違いというのもあるだろうし、'70〜90年代の成功体験が、チャレンジを阻害したというのもあるかもしれない。

Scrum Venturesは日本とサンフランシスコの両方に拠点を持ち、双方のスタートアップに双方からの資金調達を行っている。

特に今回テーマとなっていたのは『大企業のオープンイノベーション』。

大胆な再生を計りたい大企業が、スタートアップ的アプローチをいろいろな方法で取り込む例が増えているが、どうすればそれが成功するのか? 大企業とスタートアップの間にはどんな文化的違いがあり、両者が協力できることがあるのか? そんな話題が中心となったイベントだった。


セッション1『大企業のオープンイノベーションと展望』

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ここで登壇されたのは、出資者であると同時に生まれ変わりたい旧来からの大企業でもある三井住友銀行の常務執行役員である工藤禎子氏(一番右)と、近年社内オープンイノベーションに注力しているパナソニックの専務執行役員で、アプライアンス社の社長でもある本間哲朗氏(右から3番目)、そして報道する側でありながら、自らイノベーションを起さなければならない伝統ある企業でもある日本経済新聞の常務取締役である渡辺洋之氏(右から2番目)のお3方。モデレーターはscrum Venturesのパートナーである春田真氏(一番左)。

工藤氏は「銀行としてイノベーションに関わる時には、極力経営に近い影響力の大きい人にアクセスするように心がけていました。下の方から話を持っていっても、旧来のビジネスからチャレンジできないトップ人の承認が出ずに話が滞ってしまうというのは少なくない」とのこと。

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本間氏はパナソニックで当時後発で劣勢にあったSDカードを成功に導いた人物。自らの経験を元に、現在パナソニックでオープンイノベーションによる事業化の加速を推進。「早いサイクルで潜在的な顧客やパートナーに戦略をぶつけてどんどん方向転換していくのが大切」と語る。「社内の意思決定プロセスが垂直に上がっていって事業部長の承認を得るだけというのは不自然かな」とも。もっと他のルートがあってもいいし、それが社内ベンチャー的アプローチということだろう。


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日経の渡辺氏は、取材する側であると同時に一企業として日経の課題について言及。その閉塞感を打ち破るための電子化の施策について語った。日経の電子版はすでに61万部を売上げるまでになっているという。

オープニング来賓挨拶

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公務の都合上、最初のセッションのあとの登壇になったが、内閣官房副長官、衆議院議員の西村康稔氏が登壇。オープニングの挨拶を述べた。

「ベンチャーの活力、大企業の大きな資本力という違うものをミックスして新しい成果を産みだして欲しい。日本企業は卑下する必要はまったくなく、日本企業ならではの素晴らしさがあるし、ただベンチャーは恐れずチャレンジして、階段を5段飛ばし、10段飛ばしで進む活力を供給して欲しい」と語った。「安倍政権はそれをサポートするためにさまざまなメニューを用意している」とのこと。

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(パナソニックの制度で休職した社員が創業したミツバチプロダクツの「インフィニミックス」で作られたチョコレートドリンクを味わう西村氏とScrum Venturesのパートナーである外村仁氏)

セッション2『ヘルスケア セッション』

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次なるは、今、非常に注目が集まり、多くの投資がなされている分野でもあるヘルスケア分野のお話。

パネリストは活動量計・ウェアララブルセンサーSpireの創業者兼CEOであるジョナサン・バーレイ氏と、活動データを元にアドバイスをするサービスを行っている『Noom(ヌーム)』のジャパンカントリーマネージャーであるユリ・ハマサキ氏。

Sprieはなんとパンツにつけるセンサー。なんと、洗濯機にも乾燥機にも入れても問題ないという。バッテリーは1年半から2年持つという。Spireは歩数だけでなく、心拍、呼吸なども計測するという。とりわけ、呼吸からは緊張状態、ストレス状態など多くのことが読み取れるという。また、多くのウエアラブルデバイスと違い睡眠も計測も容易だから、計測により多くのことが分かる睡眠状態のデータが取れるという。

Noomは日本では累計300万人、世界では4500万人が使っているというウェブサービス。9割の人が減量に成功し、78%が4年間リバウンドしなかったという健康管理サービス。アプリに食事や運動を記録すると、人工知能があなたを分析。専属のコーチがサポートするという。日本法人のスタッフの7割が女性で、3割が在宅で勤務しているというのも新しい。

セッション3 『セールステクノロジー』

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ここで登壇したのはアーキー(Aarki)のシニアディレクターofセールスジャパンの小林直樹さんと、リードジニアス社長兼取締役会会長のプリャグ・ナルラ氏。

あまり一般の人が考えている話ではないが、セールステクノロジー、つまり「どうやったら売れるか?」は今後、AIの活用が爆発的にすすみ、既存のノウハウや経験によるマーケティングが役に立たなくなる分野。たとえば、『どちらのデザインのサイトが売上げを上げるか?』というような問題は、AIが容易に答えを出してしまう。

リードジニアスはマシンラーニングでマーケティングを効果的に行うようになった先駆者的企業。アーキーはモバイル端末のDSPで、キャペーンのROIを高めていく技術を持っている。では、「10年後にはセールスマーケティングはなくなるのか?」という問いに関してはどちらの答えも「No」で、AIのトレーニングのデータ作成など技術が必要になる部分は残りそうだ。


セッション5 『eコマースセッション』

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重大な影響を持つeコマースの分野のセッションで話したのは、中国でユーザーが必要とするサプリメントやビタミン剤をカスタマイズして提供するサービスのレモンボックスファウンダー&CEOのデレク・ウェン氏(左)と、あらゆる移動にマイル(ポイント)を提供するMilesの共同創業者兼CEOのジガー・シャー氏。

デレク氏はウォルマートに務めていてた経験の企業のアイデアを絞り込んで起業したという。

ジガー氏はシスコに勤めていたそうだが、自分の中のチャレンジとして起業しMilesを立ち上げたという。「何年か、給料が出ないかもしれないような時期を経なければならないこともあるが、挑戦をしなければならない」と語った。

デレク氏も「失敗した場合もプランB、プランCとさまざまな案を考えなければならない不安定な時期生を経なければならないが、そこのところは自信を持たなければならない。はじめは上手くいかなかったとしても、いろんな機会があり、いろんなドアがある」と語る。大企業と違い保障はなく、使える資産も限られるが、挑戦してみるべきだとふたりは語る。


セッション4『日本におけるオープンイノベーションの現状と展望』

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進行の都合か、セッション番号が前後したが、このセッションは日経のSTARTUP Xという動画コンテンツの収録を兼ねて行われた。

STARTUP X の司会進行は日本経済新聞編集委員の奥平和行氏と、日経CNBCキャスターの瀧口友里奈氏。

登壇したのはバカンの代表取締役河野剛進氏と、エクサウィザーズの粟生万琴氏。

バカンは空席情報プラットフォームである『バカン(VACAN)』と、弁当取り置きサービス『クイッパ(QUIPPA)』、トイレの空き室情報サービス『スローン(Throne)』を提供する会社。

エクサウィザーズは京大と阪大、そして静岡大学のベンチャーの融合から生まれた企業で、人事業務サポートの『HR君』、AIの利活用を促進する教育サービス 『AIトレーニング』などの展開を行っている。

両者とも、大企業とのコラボでは担当者の熱量が大事だと語った。

 セッション6 『ハードウェア セッション』

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このセッションもSTARTUP Xの番組の一部として行われた。注目している人は多いがまだまだ、成功している数の方が少ないハードウェアに関するスタートアップだ。

代表取締役CEOであり、CTOでもあるロン・ファン氏が登壇した『トップフライト・テクノロジー』は、長時間飛行、重量物の輸送が可能なドローンを開発している会社。先日、ヒュンダイとの協力を発表し、いよいよ人を載せてのフライトを意識した開発を行うという。

リアルタイムロボティクス代表取締役CEOのピーター・ハワード氏はロボットが環境や状況に合わせて作業できることを可能にするプロセッサーを開発。ロボットアームが人の邪魔をしても、それを避けて作業するデモを実演。

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通常、プログラムでこれを解決しようとすると、反応速度の点で間に合わないが、ピーター氏はこれをハードウェアの基板をPCIスロットに追加することで解決している。

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奥平氏は日本の自動車メーカーなどの企業との協業の際の問題点について聞こうとしていたが、ピーター氏の日本企業の評価は高く、スピードも十分にあると話していた。

対して、ロン氏は「日本の自動車メーカーは意思決定が少しスローだと思っている」と述べた。

セッション7 「SPORT TECH TOKYO」

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最後のセッションは、Scrum Venturesが2019年のラグビーワールドカップ日本開催、2020年の東京オリンピックを見据えて設定したアクセラレーションプログラム『SPORTS TECH TOKYO』について。まずは電通取締役執行役員の五十嵐博氏が語り、Scrum Venturesの宮田氏がモデレーターとなり元プロ野球/MLB選手の小林雅英氏と、元サッカー日本代表キャプテンの森岡隆三氏が語った。


お二人の、スポーツの現場からのテクノロジーの活用の話は非常に興味深く、この分野の発展が非常に大きいことが感じられた。

ほぼ1日に渡る非常に長いセッションだったが、シリコンバレーのベンチャーキャピタルの様子、日本の課題感、日本の大企業がどうやってベンチャーの活力を取り入れていけばいいか? ベンチャー側はどうやって大企業と上手くコラボレーションを行っていけばいいのか? いろいろな課題の出口が見えるようなイベントだった。

これからもScrum Ventures発の企業に注目していきたい。

(村上タクタ)

2018年11月19日 (月)

今夜24時、フリック!12月号Vol.86発売! 最新Apple製品情報満載! 

11月20日0時、フリック!12月号Vol.86配信開始です!

配信はこちらから!

https://www.ei-publishing.co.jp/magazines/detail/flick-476047/



今月は、ニューヨークで発表されたiPad Pro 11/12.9インチ、MacBook Air、Mac miniの情報満載。現地取材と、後日日本でのスタジオを撮影を交えてお届けします!

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現地の行かないとわからない、その場の雰囲気から、先行試用などで得た情報をカッチリまとめております。

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同行したMAKOさんのスケッチも交えつつ、発表された新製品について、あらためておじっくりお届けします。

イラストレーターさんならではの繊細なレビューについても、MAKOさんに聞いてレポートしておりますので、ぜひご覧下さい。

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iPad Pro 11/12.9も気になりますが、Appleファン、Macファンの方には、MacBook AirやMac miniも気になるという人は多いのではないでしょうか?

MacBook Airはほとんど夢に思い描いた通りだけど、ちょっとだけ気になるのがCPU性能。Core i5と発表されているけれど、TDPは15Wということで、実際の性能はどうなっているのか……? などをベンチマークテストなどを交えてお届けします。

04その他にも、発売されたiPhone XRの試用レポート、Apple渋谷のリニューアルオープンレポート、キヤノンEOS R、ニコンZ 7の試用レポートもガッチリページを取ってお届けします。

お楽しみに!


(村上タクタ)

2018年11月14日 (水)

『わたし(あなた)』の依り代である名刺はセンシティブ——Eightで名刺スキャンナイト

4000枚以上の名刺のスキャンに挑戦

「名刺、スキャンしたいのに溜まるよね……!」とFacebookで雑談していたら、「みんなで集まって、スキャンしましょう!」とEightのSansanさんが、名刺用SansanモデルのiX500と、場所と飲食を用意して下さいました。

というわけで、割と内輪なイベントですが、飲食雑談しながら名刺をスキャンする会。

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実は我々が通常使っているEightの他にこういう場面でダイレクトにScanするためのEight Scanという専用アプリがある。それで、大量にスキャンして、Eightに取り込む。

1回に取り込める量は100枚ぐらいということで、延々とスキャンして取り込みます。意外と表面を揃える作業が大変。そして、100枚投入しては、Eight ScanとEightを同期……というのを繰り返す。

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素敵な会場のご提供、Eightの小池さん、小父内さん、ありがとうございました。

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(ちなみに現場での会話としては、どの名刺が最強かの『名刺ジャンケン』的な話題とか、スキャンし難い名刺、しやすい名刺問題とか、名刺の素材問題とか、昔の名刺取って置くか問題とか、米国や中国など海外の名刺問題とか、Ingressのバイオカード問題とか、名刺のデータは会社のものか個人のものか問題とか、名刺の中にレシートが混じってる女社長問題とかいろいろありましたが、それはまたの機会に)

名刺情報はとってもセンシティブ

で、スキャン作業をしながら、名刺談義。

けっきょく分かったのは名刺ってとってもセンシティブなものだってこと。

個人情報だし、中には、営業さんで「可能な限りいろんな人に渡して、いろんな人の名刺を手に入れたい」って思っている人もいれば、「ちゃんと顔と名前が一致する範囲でのコミュニケーションをしたい」って思っている人もいる。何千枚も名刺をやりとりする人もいるかと思えば、数年で数十枚しか交換しないけど、その人たちとは濃いやりとりをするという人もいる。

また、なんというか、日本人は名刺に濃い思い入れがある。

『目下の人から名刺を渡す』『会社ロゴの上に指を置いて受け取らない』『テーブル越しに渡さない』なんていう名刺の渡し方のマナーや、『いただいた名刺はスキャンしても捨てられない』などに象徴される、名刺を相手の『象徴』として大切に扱うというか、魂が宿っているというような考え方だ。

たかだか、情報を書いたカードなのだが、それをまるで相手のエイリアスのように大切に扱うことがマナーだということになっているのも面白い(余談だが、日本で印刷物として名刺が一般的になったのは明治維新以降だから、まぁたかだか150年ぐらいの歴史しかない作法なのだが)。

また、名刺の肩書きが『係長』から『課長補佐』になったことに、その人の人生の誇りのすべてが詰ってることだってある。軽々には扱えない問題なのだ。

逆に結婚して専業主婦になった人や、仕事をリタイヤした人にとっては、交換して表示される情報自体が少なくなるだろうから、名刺の枚数が少なくなることで、アイデンティティの喪失感が大きいかもしれない。とてもセンシティブな問題だ。

『単なる情報カード』から『お会いした方の魂の依り代』まで、いろいろな考え方があるのを、一括して考えるのはなかなか難しい。

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一方、個人情報のやりとりであるなら、スマホのアプリが代替すればいいとか、FacebookやEight、LinkedInのアカウント情報をやりとりすればいい! っていう意見もあるかもしれない。

が『紙カード』というローレベルなプロトコルだからこそ、シリコンバレーのIT社長も、田舎の企業のオジサンも、事前のOSやアプリ仕様などの調整なしに情報交換ができるというメリットがある。

なんなら、30年前に交換した名刺でも、保存さえされていれば連絡先がわかるのだ(その情報が今も役立つかは別問題だが)。というわけで、紙の名刺すごい。


Eightの問題と苦労

そんな紙の名刺をデジタルで便利にしてくれるのがEight。

我々は、以前からクラウド名刺管理アプリとして紹介しており、便利だと感じているが、一方Eightで名刺管理することを『気持ち悪い』と感じる人もいる。

『何か知らない間に、自分の情報が交換され、流通しているのが気持ち悪い』というのだ。ごもっとも。

私(タクタ)などは、会社の住所や電話番号、メールアドレスなどは本の奥付に掲載している公開情報だし、いまさら隠そうとは思っていないが、全体に流通させたいわけではないという人もいる。

とはいえ、たとえば自宅で仕事されている女性のライターさんなどは、最低限編集者などには(ギャラの振込先などの情報として)住所は渡すにしても、それをセミオープンに公開されるのは困るということがある。

極端に有名な人も、いろんな連絡が来過ぎては困るから、オープンにはしたくないだろう。でも、そういう人も仕事上の付き合いがあるから、必要に応じて名刺は交換しているのだ。しかし、それを他の人には渡したくない。

今、Eightがなんとなく『気持ち悪い』と感じる人がいるというのは、そういう人たちに対して、ケアが足りなかったのではないだろうか?

『オープンで、シェア!』の掛け声で、オプトアウトでじゃんじゃん行こうよ! という時代があったことは確かで、SNSやクラウドの初期の頃はそれで良かったというか、それでなければ進まないというか、そういう人が集まっていたのだとは思うが、今やそれでは済まない気がする。特に名刺というセンシティブな情報においては。

実は、その後Eightも軌道修正をして、自分の情報が勝手に広がっていくということはない。ただ、少しずつ修正していっているし、都度都度の情報発信が、全体に行き渡っているわけでもないので、『現在の安心して使えるEight』の情報が伝わっていないということもあると思う(これについては我々メディアにも責任はあると思うし)。

誰もが『名刺管理サービス』だと思っていたEightが『ビジネスSNS』という方に舵を切ったときに、ソーシャルグラフを一気に公開側(全公開ではないが、可視化される方向)に持っていった時に、裏切れたように思った人が多かったのだと思う。『ウェブでやりとりしたいワケじゃない! 自分の名刺を管理したいだけなの!』というわけだ。

日本人の名刺に対する思いは軽くはないのである。

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今のEightについて、もっと情報発信していくべきでは?

EightはSansan社内にあるSansanとは別のサービスで、導入企業からのサブスクリプションで成立しているSansanと立場を異にするフリーミアムから始まったサービスだということがすべての根源にある。

Eightの収益源は3つある。ひとつは、SNSとしてEightのウォールなどに入る広告収益。ふたつ目はプレミアムユーザーからの会費。そして最後に人材サーチ(人事の人が有償で特定のキャリアの人を探すことができる)だ。

メインである広告収益を増すためには、情報のやりとりを増やさなければならない。ユーザーとしてはそのあたりにいぶかしさを若干感じる。しかし、名刺の管理だけに月額何百円かのサブスクリプションを払う人がたくさん(Eightが成立するほど)いるとも思えない。その難しさだと思う。

ちなみに、イベントで名刺をスキャンしながら聞いたのだが、現在のEightでは、基本的には自分のアカウントの詳細情報が勝手に表示されることはない。住所やメールアドレス、電話番号などは繋がっている人(名刺登録相手がEightユーザーの場合につながる)にのみ公開される。そうでない場合は名刺画像にはボカシがかかっている。

自分のアカウント用名刺も、最初に自分で登録するか、誰かが登録しているものを『これは自分です』という認証しない限り登録されない(たいていの場合、アカウントを作った時に表示される『これは自分です』を簡単に認証するようになっているフローに問題があるかもしれない。最近アカウントを作った場合、どういう風に表示されるかは知らないが)。

現在のEightでは、自分の情報をどこまで出すか、どういう風に交換するかは、FacebookやLinkedInなどのSNSに近い形式になっている。住所や電話番号だって、設定画面で個別に公開設定を変えられるという詳細さだ。

となると、問題はそれが『分かりにくい』『情報発信されてない』というところが問題なのか?

この界隈には、まだまだいろいろ問題がありそうなので、フリック!としても継続して取材して、改善すべきところはEightに提言し、告知されていない部分はパブリティし、名刺の未来を考えていきたいと思う。

(村上タクタ)


2018年11月 5日 (月)

先を見据えていまからメッシュWi-Fiシステム導入。LinksysのVELOP登場

日本でも徐々にその数が増えてきたメッシュWi-Fiシステム。今回、ベルキンのブランド『Linksys(リンクシス)』からメッシュWi-Fiシステム『VELOP(ヴェロップ)』が登場。11月9日から販売されます。

20180517034105_velop_combo_lifest_4LINKSYSはベルキンのブランド。創業は1988年と30年前。

家の中に設置された各ルーターがつながり、建物全体にWi-Fi環境を提供するメッシュWi-Fiシステム。中継機を使い、親となるルーターの電波を離れたところにある機器にまで届けようとすると、途中でスピードが減衰したり、デッドスポットが生じてしまい、通信できない場所が出るといった問題がありました。

Sub6_2 メッシュWi-Fiシステムは、家中すみずみまで快適なネットワーク環境を実現する。

スマホやタブレットなど、家の中でも持ち歩くガジェットの増加、そしてテレビやプリンター、スピーカーなどWi-Fiシステムに接続する機器が、どんどん増えています。ひと昔前までは、据え置きのパソコンなど使う場所が決まっているガジェットが安定して繋がっていればOKでした。しかし、さまざまなタイプのガジェットがWi-Fiに接続するこれからの毎日では、従来のWi-Fiシステムでは性能においても、快適さにおいてももの足りなくなっています。そんな問題を解決してくれるのが、メッシュWi-Fiシステムです。

P1010978_2右がデュアルバンドモデル、左がトライバンドモデル。

『VELOP』は強力なメッシュWi-Fiシステムで、建物中に充実したWi-Fi環境を実現してくれます。個々のルーター、ノードは無線で接続できるだけでなく、Ethernetで有線接続することも可能です。セットアップも簡単。コンセントに繋ぎ電力を供給、専用の『Linksysy App』で各ルーターの接続も行なえます。また、アプリが最適な配置を教えてくれるため、ノードの置き場所に悩むこともありません。さらに、ゲストアクセスやペアレンタルコントロールで、子供たちの利用時間制限なども行なうことが可能です。

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P1010883_2中継機を使った従来のシステムと比べて、スピードの減衰幅は小さい。親機から離れるほど従来のシステムとメッシュWi-Fiシステムのの差は大きくなる。

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P1010890_2 VELOPはオフィスビルでも活躍。フロアをまたいで使用することができる。シンガポールではショッピングモールでも使われている。

『VELOP』にはトライバンドモデルとデュアルバンドモデルの2種類があります。いずれもタワー型でスタイリッシュ。カラーはホワイトで、オフィスでも個人宅でも置きやすいデザインになっています。トライバンドのほうがより強力なものですが、混在して使うこともできます。

Sub4_2トライバンドモデル。1個パックは2万980円、2個パックは3万5980円、3個パックは5万3480円(いずれも税抜・想定価格)

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やや背が低いデュアルモデル。1個パックは1万3980円、2個パックは2万2980円、3個パックは3万2480円(いずれも税抜・想定価格)。混在させての使用も可能。また、いずれのモデルも3年間の製品保証がある。

トライバンドの1個パックが想定価格2万980円(税別)、デュアルバンドの1個パックが1万3980円(税別)。それぞれ2個パック、3個パックでも販売しています(日本ではトライバンド、デュアルバンドが混在するパックはなし)。

ひとり暮らしのワンルームであれば、すぐに必要なものではないかもしれないが、部屋数があり、またモノが多い家、2階、3階があればその恩恵はてきめん。建物、部屋のサイズにより必要となる数は異なり、複数台をひとまずまとめて購入する必要はありますが、Wi-Fiルーターは買ってしまえば数年間、ほぼ毎日、利用するものです。今や暮らしのインフラとなったWi-Fi環境。今後、数年を見据えてごっそりメッシュWi-Fiシステムに切り替えるのもいいかもしれません。

P1010830_3ベルキンによれば、『食』に次いで『Wi-Fi環境』に興味があるという。

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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