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2016年1月12日 (火)

『インクで儲ける』ビジネスモデルからの脱却!?【エプソン・エコタンク搭載プリンター発売】

『新カテゴリープリンター発表』というタイトルの招待状をいただいて、エプソンの新製品発表会に行ってきました。

正直、プリンター界は9月の頭に年賀状商戦向けの発表会があって、そこがエプソンvsキヤノンの戦いの天王山という時代が続いていたので、年賀状シーズンが過ぎてちょっと油断していたのですが、非常に興味深い新製品が発表されました。

それが、エコタンク搭載のEW-M660FT、PX-M160T、PX-S160T

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ご存知のように、エプソンvsキヤノンのがっぷり四つの年賀状プリンター(とも呼ばれる家庭用普及型インクジェットプリンター)対決は20年ほど続いています。ちょっとでも手をゆるめるとシェアを奪い去られるという状態で20年戦い続けているのですからすごいし、ずっとほぼバランスが取れた状態で続いているというのも興味深いです。

しかし、その結果、本体価格の値下げ競争も極限に達しており、プリンターは安くで買えるのに、インクは高いという謎の状態が生まれています。購入時に本体価格は下げねばなりませんから、当然の帰結とはいえ、かならずしも健全な状態とはいえません。

結果として『プリンターはインクで儲けるビジネスモデル』と言われるようになっています。これはプリンターメーカーとしては決して望んでのことではないと思います。

しかし、それでビジネスモデルが成立しているのですから、インクで回収しているコストを本体に振り替えるというのも簡単にはできない……はずです。たとえば、エプソンで一番売れているEP-808が3万0980円(+税)、インク6色パックが3710円(+税)ですが、このインクを(たとえば)2000円にするために、本体が4万円になってはおそらく売れなくなるでしょう。

しかし、EP-808を3万0980円(+税)で売って、インクは社外品の互換インクを使われるとさらに儲かりません。しかも、やはり純正でなければ正しい色は出ませんし、ヘッドの詰まりなどの問題も発生するかもしれません。それも『プリンターのトラブル』としてメーカーに跳ね返って来るわけですから、割に合わないことはなはだしいワケです。

また、そりゃ20年前なら画質は高い方が良かったでしょうけれど、ここ10年でいえば写真クオリティも我々一般ユーザーに関係ないレベルまで高まっており、写真を趣味として細かくこだわらない限り、正直どのモデルでも十分に満足できるものだと思います(ましてや社外品インクでいい人ならば)。クオリティのためならいくらでもお金を出すという時代から、コストパフォーマンスを求める時代へと我々の方も変化していますからね。

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ちなみに、実はエコタンク搭載プリンターは2010年にインドネシアを皮切りに発売されたとのこと。かの地の人たちにとっては従来のインクカートリッジは高価過ぎて、インクを注入できるように改造されるケースが多かったとのこと。そこから、新興国各国、西欧、北米と来て、やっと日本とのこと。やはり日本はクオリティに対するこだわりがある国として、わりと遅めの導入になった模様。


ともあれ、日本でも最初にエプソンがカードを切って『ゲーム・チェンジャー』になったっていうことが非常に興味深い。この戦いでここ数年エプソンは2012年に小型化2014年は簡易なA3モデル、と先にカードを切ることで戦いを優位に展開しているように思える。2012年の小型化がウケてシェアを拡大できたので、次の手を打つ原資ができたのでしょうか?

この『エコタンク』搭載モデル以外にも、高画質写真向き家庭用A3プリンターのEP-10VAもインク価格を値下げ、本体価格を値上げして大量の写真をプリントしやすくしたV-editionを新設するなど、『プリンターはインクで儲けるビジネスモデル』であることから離脱する方に大きく舵を切ったように思われます。

というわけで、前置きが大変長くなりましたが、今回の発表で中心になる機種がEW-M660FTというモデルです。

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最大のポイントは大容量タンクを持っていて、内蔵タンクのインクだけでカラー6500枚またはモノクロ6000枚をプリントできるというコストパフォーマンスの高さ。

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購入時に、インクは2セット同梱されており、追加コストなしでA4カラー文章1万1000枚をプリントできるという圧倒的コストパフォーマンスの高さを実現しています。

プリントして積み上げるとこんな感じ……。

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1日3食のレシピをA4でカラープリントして、365日、10年分で1万800枚。これが買った
ままのプリンターで印刷できるのですから、これが家庭にあったら、こころおきなくなんでもプリント、カラーコピーできそうです。

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ランニングコストはこんな感じ。

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A4カラー1枚が0.8円って、安いですよねぇ。これだったら、子供の学校のプリントとか、PTAの書類もあんまりコストをきにせずにじゃんじゃんプリントできる。

EW-M660FTのおおよその仕様はこんな感じ。

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価格と発売日はこちら。

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A4複合機タイプの、EW-M660FTが、5万円台中盤。モノクロ複合機のPX-M160Tが2万円台後半。モノクロプリンターのPX-S160Tが1万円台後半ということであります。

カラーのEW-M660FTが、5万円台中盤っていうのはちょっと値が張るけど、インクコストが安いことを考えるとアリなのかなぁ。あと、カラープリントは従来通りEP-808を使って、モノクロの大量印刷に関してだけPX-M160Tか、PX-S160Tを使うという手もアリですよねぇ。

使用状況としては、こんな感じを想定しているそうです。

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4色インクジェットなので、当然EP-808などよりはプリントクオリティは落ちるのですが、こんな感じ。まぁ、プリントを写真撮ったって分かんないっちゃ分かんないんですが、一応参考までに。

まず、写真用紙光沢に写真をプリントしたのがコレ。

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コピー用紙へのカラー印刷がこれ。

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うーん、十分な気がする。

タイミングからして、ここで試してみて、良いようだったら、いよいよ来年の秋に発売されるEP-809(?)などの年賀状プリンターから、インクを安くして、本体を若干値上げするような戦略に変化していくのかもしれません。いつまでも『インクで儲けるビジネスモデル』と言われるのが健全とは思えませんから、応援したい方向性です。

(村上タクタ)

 








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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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