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2016年1月30日 (土)

enchantMOONは地球圏離脱の夢を見るか? #enchantMOON

enchantMOON Crew Meeting 2016に行ってきました。

が、大半の話は『Confidential(機密)』の事項で、レポートできません。

もともとが今回は『Crew Meeting』ですから、『enchanatMOON』という同じ『船』に乗るもの同士の集まり。だから、その仲間だけで共有される話というのはあるワケです。もちろん、私もenchantMOONを持っていますから、そのウチのひとりです(エッヘン)。

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というわけで、何も語れないので、しょうがないので私がenchantMOONについてどう思っているかの話をしましょう。

世間一般ではenchantMOONは誹謗中傷をもって語られることも多いわけです。曰く、「使い物にならない」「使い方がわからない」「未完成」などなど。

でも、そのデバイスは約4000台も売れた。そこに夢を見た人はいっぱいいたということでしょう。そして、オーナーで文句を言ってる人にはあまり会った事はありません。

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会場を見ていても、多くの人は、昔々シャープのポケコンを買い、パソコン通信をし、パームを買い、ザウルスを買い、発売されたばかりで世間では「使い物にならない」と言われていた頃のiPhoneを買った人たちです。イバラの道を歩くのに慣れたつわものばかりです。

そんな人たちがenchantMOONに惹かれるのはそこに夢があるからでしょう。

今日のお話にもありましたが、PlayStationはプラットフォームでした。VAIOはWindowsの乗ったパソコンでした。何をしたって、それはWindowsを動かす箱です。その違いが、PlayStationを生き残らせ、VAIO分社化という未来に繋がったわけです。

enchantMOONはプラットフォームです。痩せても枯れてもハードウェアもソフトウェアも背負ったデバイスです。その点、他のOSを他社にゆだねたマシンとはワケが違うわけです。最終的にはWindows、Android、Mac OS X、iOSといったOSを押さえた企業でないと体験自体を作り出せる企業にはなれないわけです。

他のOSの上で動いてるアプリでは、結局のところ、永続的に体験を生み出すことができないということです。たとえば、手書きという点において、私はMetaMoJi Note、そしてその進化型であるGEMBA Noteの使い手であり、『手書きで何か作業をする』という点においては、iPadやAndroid、Windowsの上で動作するMetaMoJiのアプリの方がはるかに実用的です。が、しかし、どこまでいってもOSや、ハードウェアの制約を受けてしまうのもまた事実です。

enchantMOONの骨子は『No UI』『手書き』『プログラマブル』というところにあります。

理想として、『No UI』はよく分かります。iPhoneではアイコンのあるアプリしか起動できませんし、オフィススイーツの煩雑なメニューバーにいたっては頭痛がするほどです。MacもWindowsもメニューバーにあることしかできません。

対して、enchantMOONを起動すると画面は真っ暗です(笑)。指で円を書き、そこに手書きで命令を書くとenchantMOONは実行してくれます。カメラと書くとカメラが起動しますし、時計と書くと時間を見られます。ネットワークと書くとWi-Fi接続できます。 OSのアップデートでさえ、『UPDATE』と手書きすることで行われます。

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理想的でもあるのですが、なんと命令したらいいか分からないと、何もできないという欠点もあります(汗)。

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感圧式の手書きデバイスであり、書いたものを保存しておけます。さらに、書いたものを指で囲むと、検索したり、リンク化したり(ハイパーカードみたいにページ間をジャンプできる)できるようになります。さらにリンク化されたものをもう一度指で囲むとセーブしたり、ハックしたりできるようになります。

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このハックというのがポイントで、ハックするとMOON Blockというビジュアルプログラミング言語が立ち上がります。ここで、ブロックを組み合わせるようなカタチでプログラミングすることができます。

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この3つの特徴をして、enchantMOONは特別なデバイスになっているワケですが、いろんな意味で実用的ではなく、実際今日の会合、つまり超熱心なenchantMOONユーザーの集まりでもenchantMOONでメモを取っている人はいないワケです。また、前でプレゼンする人も、ほとんどがEl Capitanの壁紙のMacBook Airを使っていました(Windowsパソコンもありましたし、iPhoneでプレゼンという方もいましたが)。

だがしかし、enchantMOONにはなんだか夢があるワケです。『No UI』『手書き』『プログラマブル』を標榜することで、今もって夢があるんです。iOS、Android、Mac、Windowsにはもうなくなってしまった夢があるような気がするわけです。

夢という表現があいまい過ぎるなら『哲学的』とでもいいましょうか。実際に日々の業務で使えるかというと、ちょっとそれには難があるんだけど、でもそこには『enchantMOON』という哲学があって、そこから未来をのぞくことができるんです。

30年ほど前に、2行しか液晶表示がなくて英数字とカナしか表示できないシャーウのポケコンを買った時にも、Palmを買った時にも、あまり役に立たなかった最初のiPhoneを買った時にも、ほぼ実用的でなくても、そこにある『哲学』を僕らは買ったんだと思います。そして、それが今のコンピューティングやスマホ体験に繋がってるハズなのです。

enchantMOONの開発プロセスはアポロ計画になぞらえられていて、そのサターンV型ロケットの第1段階S-IC、第2段階はS-II。このS-IIが2014年3月に発表されているから、そこから約2年が経ったことになります。だいぶ間隔が開いてます。もしかしたらenchantMOONは終わったのかもしれないとも思っている人も多いと思います。

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しかし、清水亮社長は「次の段階に進む」とおっしゃっているし、今回イベントが開催されたことにも大きな意味があります。メッセージとして。第3段ロケットであるS-IVBシーケンスでは何が起こるのか? 我々『クルー』にはわずかながら情報が開示されたが、それはここには書きません。ソーシャルが進んだ現在でも、その場に行かないと分からないことがあってもいいと思います。

S-IVBシーケンスに突入し、第一宇宙速度を越え、地球の引力から放たれていく、UEI、清水亮さんの次なるステージを楽しみに待ちたいものです。

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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