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2015年1月13日 (火)

アップル製品を形作ったのは誰か?【日経BP社・ジョナサン・アイブ】

思えばスティーブ・ジョブズのエピソードって、どうしても神がかった先を見通す力や、決断力の話になったり、傍若無人な彼の人間性の話になったりしがち。この本を読むと、本当のモノ作りをしていたのはジョナサン・アイブだったのかとよく分かる。

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もちろん、ジョブズの立ち位置でのモノ作りはあるし、彼がいたからこそのアップルであり、アップル製品のモノ作りというのはあるんだけど、実際にアップル製品の優れた部分をカタチ作っていたのは、ジョナサン・アイブであり、彼のチームであったことがよくわかる。

本書では、子供時代、学生時代のジョナサン・アイブが銀細工職人であり、後にイギリスの教育界でも著名な人物になった父の影響を受け、デザイナーとしての根源的な部分を身に着け、成長していったかから描かれる。おそらく天賦の才もあったろうし、それを伸ばす環境にも恵まれていたこともよく理解できる。

そしてRWG(ロバーツ・ウィーバー・グループ)やタンジェリンというデザイン会社に所属した時代を経て、フリーランスのデザイナーとしての経験も積み、フリーランスとして面白さと、フリーランスとしての限界を経験して、アップルに入る。そして、その中で官僚的だった、当時のアップルの仕事の進め方に限界点を感じていたところで、ジョブズの帰還という好機に巡り合う。

もっとも、当初はそれが好機かどうかは分からなかったはずだ。独裁的なジョブズと、アイブがどうやって出会ったのか。そこから始まる物語がこの本には、克明に書かれている。

ジョブズがアイブたちのチームをどう遇したのか? そして、その混乱の中から、どうやってわずかな期間でアップル復活の狼煙となる初代の『iMac』を産み出したのか? それに続く、5色のiMac、Power Mac G3、初代iBook、PowerBook G4の時は? そして、iPod、iPhoneが産み出されるまで、どんな葛藤があり、どんな素材の、どんなモデルが試作され、どんな意思決定がされたのかが詳細に描かれている。

もちろん、iPadや、MacBook Air、そこから生まれた今に繋がる『ユニボディ』のテクノロジーについての背景も語られる。そして、黄金時代をともに築いたジョブズとの別れ、今の体制へと話は移っていく。

そんな背景を経ながら、それぞれの製品がどうやってデザインされいったかの過程が語られる。これまで読んだどんなスティーブ・ジョブズの伝記よりも、アップル・プロダクツのデザインについて詳細に語られているのは新鮮に思える。

また、どんなチームを組むべきなのか? スタッフをどう遇するべきなのか? 上司や、他の企業にどうプレゼンすると上手く行くのか……? というようなことも描かれている。

古くからのアップルファンも唸らせてくれるし、iPhone以降のアップルファンにも、そこに至るまでの道程について教えてくれる本。すべてのアップルファンにお勧めしたい。


(左が紙版、右がKindle版です)

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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