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2014年4月20日 (日)

NASAハッカソンの子供向けワークショップで体験したこと ‪#‎spaceappstokyo‬ ‪#‎SpaceApps‬

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先日、お伝えした東大の駒場リサーチセンターで開催されていたNASAのハッカソン

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たった2日間(実質30時間ぐらい?)で、一応は動作するサービスが作られていて本当にビックリしてのですが、実はその横で『International Space Apps Youth Challenge Tokyo 2014』と名付けたワークショップも開催されていました。

子供向けワークショップということなのですが(一応、募集要項には小学校3年生以上、高校生までとなってましたが、本選が中学生以上なら参加できることもあって、参加していたのはほとんど小学生だったように思います)。

これが、なかなか興味深かったので、このYouth Challengeについてちょっとレポート。

みなさんはArduinoって知ってますか?  僕は今回始めて知りました。

Nasa4
ワンチップマイコンの乗った小さな基板です。いくつかの、端子とUSBポートが付いてます。そして、このマイコンにはUSBポートに繋いだコンピュータからプログラムを書き込むことができます。

たまたま、偶然ですが週刊モーニングに西餅さんが『ハルロック』というこの基板をテーマにした漫画を連載しはじめてますから、モーニング読んでる人は「ああ、アレね」と理解できるかもしれません。

Img_2214(週間Dモーニング 2014年No.19、『ハルロック』P22〜23より)


たとえば、一番基本的なプログラム。

Blink___arduino_1_0_5
LEDをひとつ用意して、13番の端子にプラス、GNDこれを動作させると、1000ミリ秒(1秒)の間、LEDが点灯して消える……を繰り返します。

これを、使って、こどもに何か工作させるわけです。いろんな工作道具が用意してあって、たとえば、箱に額をくっつけて、アルミホイルとセロファンを貼って、LEDをキラキラ光らせたりして、遊べるワケです。

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実は、私はたまたま取材に11歳の息子を連れて行っていたのですが(妻と娘が津久井湖にキャンプに行っていたので、連れていかざるを得なかったのです)、参加条件に「Aruduinoを持ってくること」というのがあったので、今回は見学だけと思っていたのです。でも、たまたまスポンサーさんご提供のAruduinoの基板があるから、ぜひどうぞと言ってもらったので、参加させてもらうことにしてました(若狹さん、ありがとうございました!)。

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もともと工作が好きな息子は喜々としてLEDを繋いで工作を始めました。あいにく、まだアルファベットは扱えませんから、プログラムは私が担当しました(ちょっとやらせてみたのですが、動かなかった時の間違い探しが大変w)。

「パパ、2つのLEDを別々に光らせたりできる?」

12番の端子にLEDを繋がせて、プログラムに13番を消したら12番を点灯させるように書きました。ちょっとしたら、5つのLEDを順番に点灯させるように配線して、プログラムしていました。

Img_8906
息子は何が起こっているのか分かったようです。

そう、プログラムが、LEDを動作させるということが。つまりは、『ロングテール』『フリー』の著者として知られるクリス・アンダーソンさんの『MAKERS』で言うところの、ビットであるプログラムが、アトムであるLEDを動作させていることが分ったようです。

今、世界で起こってる出来事で、ここが肝要なところです。

20世紀の最後の20年に起こったのはコンピューターによる革命でした。プログラムを書ければ、ソフトウェアを作り、世の中を変えることができました。IBMが巨大になり、アップルができ、マイクロソフトが膨張し、インターネットバブルが起こり、Amazonやグーグルが覇権を握り、twitterやFacebookが勃興しました。それはみんなおおむねビットの世界の話でした。

今回私は初めて、それを目にして体験したのですが、Arduinoはビットとアトムの世界が溶け合っていくことを教えてくれる最適な教材でした。

本来は、プロトタイピングなどのために作られた基板なのだそうです。機械の試作をする時に、専用のチップを作り、回路をハンダ付けしていたら、かなりの手間がかかります。Aruduinoはそれを簡単にシュミレーションすることができます。もし、本当に製品化するつもりなら、もっと機能を専用に削ぎ落とした基板を作ればいいわけです。

たとえば、インターネットと組み合せて、情報を持ってきて、とあるサイトで、天気が晴れの日が繋ぐようなが、13番の端子に5分間通電させる。そこにドーシングポンプでも繋いで植木鉢に水をやる……ってなことは僕でもすぐにでもできそうでした(念のために言いますが、私には一切の専門知識はありません)。CO2センサーと組み合せて、会議室のCO2濃度がある一定以上の数値になったら、換気扇を回して強制的に換気する……なんて装置も作れそうです。

CADや3Dのお絵描きソフトが使えれば、それを3Dプリンターに繋いで、その基板を収納するボディも作れるでしょう。基板の量産を請け負ってくれるサイトもあれば、3D CADデータを送れば、昔300万円ぐらいかかっていたプラスチックの金型製品を30万円ぐらいで請け負ってくれる会社もあります。

MAKERSで言われる誰でもメーカーになれる世界とはこういうことなのか! と思って、目からうろこがポロポロと落ちました。流通だって、Amazonを使えばなんとかなりそうです。最初の30万円の金型代がなくっても、アイデアさえ良ければ、Kickstarterやcerevo dashなどのクラウドファンディングでお金を集めることができるでしょう。

もちろん、誰でもといっても誰も彼もが……という意味ではありませんが、少なくともアイデアとやる意思さえあれば、メーカーになることが可能なわけです。ちょっと前までは、何千万何億円という資金と、工場を持つメーカーしかできなかったようなことが、大企業ならざる個人ができる世の中になったということです。

それは、レコードをプレスすることの出来ない、レコードレーベルならざる個人がデスクトップで音楽を作って流通させることができるようになったこと、出版社でなくても自分で文章を書いて電子書籍やウェブサイトとして流通させることができるようになったことと似ていますが、ビットの世界だけでなく、アトムの世界に力を及ぼせるよになったことが大きな違いです。

もしかしたら、twitterやFacebookの勃興のようなことが、リアルの世界で起こるかもしれません。工場を持っていても、意思決定と開発速度の遅い大企業はあっという間に力を失うかもしれません。巨像がアリの群れに勝てるとは限りません。

Nasa10(他のお子さんの作品の写真。みなさん器用です)

息子はあっという間に、キットに付いていたスピーカーを繋げて、僕にさまざまな音程の音を出すように要求しました。ネットで調べれば、そのプログラムの書き方も簡単に分かります。

Nasa17(最後にはお互い、プレゼンをする機会まで用意して下さり、その様子はムービーとして編集され、本選のプレゼンと結果発表の間の審査の時間に流されました)

他のすべての子供たちも、2日間のプログラムが終るころには、アートな作品を完成させ、LEDをピカピカさせたり、いろんな音を出したりさせていました。

清水亮さんがおっしゃるように、プログラミングは多くの人にとって必要な教養になるでしょう。

小さな基板と子供たちを見ているだけで、とってもいろんなことを考えさせられる素晴しいワークショップでした。

ご興味のある方は、Arduinoと小学生などのワードで検索すれば、同じような体験ができるワークショップを見つけられるのではないかと思います。

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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