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2014年3月12日 (水)

ラジコンヘリで人間を持ち上げる、世界初の快挙を達成! 

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ラジコンヘリを用い、興味深い、様々な実験やプロジェクトにチャレンジし、その模様をウェブやDVDなどで公開しているのが、Tobias ”2 Fast 2 Furious” Wagner氏率いるドイツのHeliGraphix。 
以前にもピラミッドや万里の長城などの世界遺産をはじめとした、世界中の33箇所もの名勝名跡にてラジコンヘリを飛ばしてしまうという前人未到のプロジェクト、World Scenic Flightsを実現させ、話題になった。

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こちらがWagner氏。スイスのマッターホルン前で。

そんなHeliGraphixが世界初という快挙を成し遂げたそう。そのプロジェクトの名前はH.U.L.C.(Heavy Ultra Lifter Crane)。なんと人間をラジコンヘリで持ち上げてしまったのだ! 

この驚異的なフライトを実現させたのは、スペイン南部に位置する、観光地としても有名はミハスという街。フライト時間は約40秒間、女性を数メートル持ち上げることに成功した。

使用したのは2機のラジコンヘリだが、女性、服、女性を持ち上げるのに使用したつり革のようなリングとその取り付けアタッチメント、さらにはアクションカメラ3台の総重量56kgを持ち上げた。
一般的に手に入る30万円前後の26ccガソリンエンジン搭載のラジコンヘリで約8kgくらい、農薬散布に使われるような、1000万円クラスの産業用ヘリでも20kg前後なので、このプロジェクト用に開発したラジコンヘリがいかにパワフルであるかがお分かりいただけるだろう。
また、ラジコンヘリというのは基本的に静止しない。昨今流行っているマルチコプターのように手放しでホバリングするようなことは基本的になく、風の影響なども考慮しながら精密な操作が求められる。そんなラジコンへリ2機で持ち上げるということで、操縦者にはかなりのフライトテクニックとチームワークが必要であるのは言うまでもない。さらに、人間を持ち上げるということで、かなりの危険性も伴う。持ち上げて数m上空から人間を落とす可能性、ラジコンヘリの操縦ミスによる事故など、とても素人では実現できない。そんなラジコンヘリのエキスパートである彼らが、このプロジェクトに費やしたのは約4カ月、数千ユーロをかけて成功させたという。

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実際に人間を持ち上げる前に、ウェイトを使い、その際のヘリの挙動、ロープの固定方法やメカニカルなリリースシステムを導入するか否かなど、様々に吟味したという。

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さて、このプロジェクトに使用された特別仕様のラジコンヘリの詳細や動画に関しては続きを読むから! 

PHOTO:HeliGraphix

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さて、このプロジェクトに使用されたヘリの詳細に関して。主な機材は以下

機体:GAUI X7 "Megatron"
モーター:スコーピオン・EVO 5035改
バッテリー:SLS Batteries・APL Power Series 45/90C 59.2V4,000mAh
アンプ:YGE・160HV改
サーボ:Beast X・X Servo 950BLHV
ジャイロ:DJI NAZA-H+GPS
メインローター:Halo Blades・700mm
テールローター:Halo Blades・150mm

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ベースとしたラジコンヘリは、台湾の世界的に有名なメーカーGAUI(ガウイ)のフラッグシップX7。モーターを動力とする電動ヘリコプターで、ホビー用のスポーツヘリをしては最大サイズの700クラスと呼ばれるカテゴリーのもの。同クラスで他に有名な機体としては、日本のJR PROPOのVIBE E12、シルフィードE12、ヒロボーのSSTイーグル3 SWM AOCC EP、台湾アラインのT-REX 700など。

Heligraphix_hulc__03X7はカーボンプレートを2枚使用してフレームを構成するという、昨今の電動ヘリとしては一般的な構成を持つ。今回X7選んだ大きな理由は、そのメカニズムのタフさだとか。モーターとメインローターを繋ぐギヤ、メインギヤが非常に肉厚で、1.2モジュールのスパイラルギヤを採用するなど、耐久性が高い。また、メインマストを保持するベアリングホルダーも、操舵系サーボマウントと一体型のアルミ削り出し品。通常の700クラスヘリ以上に負荷をかけるため、こうしたタフな作りを持ったヘリが必要だったわけだ。

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モーターは数々競技などで実績あり、多くのメーカーにOEMしている香港のスコーピオン製。700クラスヘリ用のHK5350に、Ralph Okon氏が改良を加えたもの。

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使用するバッテリーはスマホやモバイルバッテリーなどに用いられているのと同じリチウムポリマー。ただし、その仕様には大きな差がある。一般的なスマホやモバイルバッテリー用のリポは、3.7V、1500mAh~3,000mAhくらいというところだろうが、今回のヘリに使用されたのは、3.7V4,000mAhのリポを16個直列接続した59.2V4,000mAhという超高電圧仕様だ。通常の700クラスヘリでも44.4Vリポを使用するので、それよりもさらに高い。また、スマホの場合、バッテリーを1日かけてゆっくり消費するわけだ。また、モバイルバッテリーから充電する際など、流れる電流は多くてせいぜい2Aくらい。それをこのヘリの場合、142A近く流す。電力すると約10kWにもおよび、しかも約1分で使いきってしまうのだ! ちなみに、ラジコン用のリポだからこの電流が流せるわけで、スマホに使用されるような一般的なリポだと瞬時に使用不能になってしまい、最悪燃えてしまうだろう。

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モータの回転数を制御するのに用いられるアンプ、またはESC(Electric Speed Controller)は中国のYGE製。160Aの電流に耐えるスペックを誇り、今回16セル(59.2V)に対応する特別版を使用している。

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ラジコンヘリの制御は非常に複雑で、メインローター(上部にある2枚の羽根)を複数のサーボで動かすことで、推力の増減とロール、ピッチ軸を制御する。それに加え、テールローターでヨー軸をコントロールするわけだ。従来は様々なロッドやレバーを用い、機械的に制御していただけだが、最新モデルでは、その機械的制御を完全に電子化したフライバーレスシステムが導入されている。内蔵された3軸のジャイロによってヘリの姿勢を検出し、機体の傾きを自動補正したり、パイロットの意図する舵を入れてくれるわけだ。現在では様々なメーカーからこのフライバーレスシステムは発売されるようになったが、本機に採用されているのは、PHANTOMというマルチコプターが一部空撮マニアなどの間でヒットを飛ばしている、台湾のDJIというメーカーのNAZA-H。GPS連動できるので、万が一、制御困難になった際のフェイルセーフにできるという点が採用したポイントとか。実際には、GPSによる位置補正機能など使わずに済んだそうだ。

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メインローターは700mmサイズの、スポーツラジコンヘリに採用されるサイズとしては最大クラスのもの。このクラスのラジコンヘリのメインローターになると、カーボンを幾重にも重ね、積層して成形したものになる。ラジコンヘリの制御の基本となるメインローターは、翼型、重さ、重心など様々な要素が絡み合い、飛ばしやすさを実現する。テールローターもしかり。

さて、現在の最新のラジコンヘリをベースにさらなるパワーアップを果たしたのが今回飛ばしたX7 Megatronになるわけだ。かなりマニアックな話題で恐縮だが、最後に本プロジェクトの模様の動画をご覧いただきたい! 

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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