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2014年3月 7日 (金)

ダイソンの扇風機のリクツ #dysonjp

今日、ダイソンの新型扇風機の発表会に紛れ込んできたワケですが、以前掃除機のリクツを聞いたら、すっごい面白かったので、今回も細かく基本的なところを聞いてきた。

ちゃんとイノベーティブなテクノロジーがある。それがダイソンの面白いところだということを学んでしまったのだ。逆に、スマホだろうがウエアラブルだろうが、フロントエンドのガジェットだってイノベーティブでないものはツマラない。

さて、ダイソンのファン(扇風機とはダイソンの人は言ってなかったw)が、なんですごいのか本当のところを僕は知らなかった。なぜ、あの輪っかから、そんなに風が出るのか? そこをちゃんと知りたいと思いません? そこで、会場でプレゼンをされていたダイソンのマーティン・ピークさんに発表会の後で「すいません、そもそも根本的なところが私分かってないんですけど……」と、お話をうかがった。

なお、以下、私なりに理解しては書いているが、そもそも私は極めて文系な脳みその人なので、お話を聞いたとは言えザックリな理解。また、聞いた話に私の浅知恵を足しているので間違っている部分があるかもしれない。間違いがあったらお教えいただけたら幸いだ。

Dsc03385
まず、おおまかな構造はこんな感じ。本体の下に直流ブラシレスモーターが回すファンが入っていて、そのファンが生み出した空気が中空の輪っかの内部を通って内側にあるスリットから吹き出す。

1 流速がたくみにコントロールされていて、吸い込むメッシュの部分は面積が広いので流速が遅くて、たとえばここに紙が貼り付いたりするような感じではない。そして、輪っかから吹き出すところは、めっちゃ流速が速くてその速い風が、筒の中の風を巻き込んで太い強い風になっているイメージ。

さて、ここでちょっとお勉強。

流体は、広いところを通ると、ゆっくり流れ、狭くすると、その分流速が速くなる。たとえば、断面積が1/4になると、速度は4倍になる。口を大きく開いて「はぁ〜」と息を吐くより、口をすぼめて「ふぅ〜っ!」と吹いた方が、吐いている空気の量が同じでも流速が速くなるのと同じことだ。

20140307_________pdf2_6 ところでこの吹き出す水流、普通に吹き出すと回りの水との間に乱流が起こって、その粘性による抵抗ですぐに速度が落ちてしまう

20140307_________pdf2_6_2 だが、吹き出す口の横に板があると、そこには乱流の粘性による抵抗は発生しないので、スムーズに水が流れるんですよね。

Banners_and_alerts__20140307_______ 上記のふたつのリクツが、ここで使われてるんですよね。まず。

狭い所を通して、流速を上げて板に添わせて速度を落とさない。

20140307_________pdf3_6 (↑これ、ファンの輪っかの断面の絵です)

でも、それだけじゃない。あの輪っかが翼断面のカタチをしているのがミソなんです。

20140307_________pdf3_6_2 飛行機が何故飛ぶかというと、諸説あって(笑)その話を始めると、本が何十冊も書けてしまうんですが、ともかく翼型をしているところに空気を流すと、その曲面の大きな方の空気が薄くなって、負圧を発生する。その負圧に吸われて、翼は浮き上がると言われてるんですね。

で、この扇風機の輪っかの内側には、その負圧が発生しているのではないかということです(ここは私が話を理解するために、つぎ足した知識なので、違うかもしれない……)

20140307_________pdf4_6 空気が翼の上面を高速で通ることにより、輪っかの中の空気が薄くなり、そこに大量の空気が流れ込む。そして、高速で流れる吹き出された空気と一緒に、大きな空気の流れになるというワケですね。なんとファンの生み出した空気の16倍になるのだそうです。

20140307_________pdf5_6 あと、ここは僕はよくわからなかったんですが、終端のエッジの方は割と切り立ったエッジになってますが、ここではワザと乱流を発生させて、回りの空気を巻き込んでより大きな空気の流れを作るって言ってました。

なんで、乱流を起こさないようにしてたのに、ここで乱流を起こすのかは、私の英語力が乏しいので分かりませんでしたが(^_^;)ここは乱流があった方がいいって言ってました。

ともあれ、上記のようなメカニズムで、本体内のファンの風から、大きな風の流れを産み出すというワケです。単に、本体内のファンの空気を向きを変えて吹き出しているのとは全然違うワケです。

(追加)
この後の空気を巻き込んで、前に吹き出させているというのが良くわかる動画をいしたにまさき( @masakiishitani )さんが上げてらっしゃったので、ここに貼らせていただきます。風船が後から吸い込まれて、前へ吹き飛ばされる様子がよくわかります。



さて、最後に、本当は今回の本題だった音の話。

20140307_________pdf6_6
本体内にヘルムホルツ式空洞という空洞を作って、特定の周波数(1000Hzぐらいとおっしゃってました)の音を、そこに反響させて吸音させてしまっています。ノイズキャンセラーヘッドフォンが電気的にやっていることを、物理的にやっているような感じです。反響してきた音の波と、入ってきた音の波が干渉して相殺して消えちゃうというワケです。

このへんは、バイクのマフラーなんかで使う技術だったり、逆にその脈動で排気を吸い出したりしているワケです。

バイクのEXUPやYPVSみたいに、この空洞のサイズを可変サイズにしたら、いろんな周波数の音を吸えるなぁと思って、「ここのサイズを可変にしたりはしてないんですか?」と聞いたら、それは変化させないのだそうです。

モーターの出す周波数はそう大きく変わらないし、さらに消すべきはモーターのファンが高出力で回っている時で、低い回転数の時は必然的に音も小さいので、それを消す必要は低いということです。そりゃそうだ。マヌケなことを聞いたものです。つまりウルサイのは全開の時だけなので、その時の音を消すのに適したサイズのヘルムホルツ式空洞を作っておけばいいのです。

あと、マメ知識。最初に登場したダイソンクールのAM01は不等ピッチになっていて、共振して特定の周波数のノイズが出ないようになってました。そう、MacBook Proの冷却ファンと同じしくみですね。

でも、今回のAM06、AM07のファンは等ピッチだそうです。ピッチが揃ってた方が特定のノイズが出るけど、それに的を絞ってヘルムホルツ式空洞で消すことができるから……というわけです。

もうね、あらゆる所に論理的な工夫があって、本当見てて飽きないw 扇風機ひとつで、ここまで工夫できるジェームズ・ダイソンさんとその仲間たちって、本当にすごいっ!って思うのでありました。

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  • 村上タクタ

    村上琢太。ガジェット好きの雑誌屋。'92年入社以来趣味誌ひと筋。バイク雑誌RIDERS CLUBから、現在はコーラルフィッシュRCエアワールドの編集長も務める。機能を突き詰めてカッコよくなったガジェットと、アイデアと楽しさに満ちたウェブサービスを紹介する本『フリック!』の編集活動に奮闘中。twitterアカウントは@flick_mag

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