MR RIN TANAKAからメールが入った。2007年の4月である。彼の著書「MY FREEDAMN!7」の、ビーチ特集でアロハシャツを撮りたいと云う依頼であった。ハワイにいた僕は、彼の住むLAに、メールをもらった直後に行く予定が入り、すぐ電話して「会いましょう!」と云うことになった。彼は日本人として、世界で一番高い本を売り抜く男として、僕は知らなかったが、有名人であった。なかなかの美男子で慶応ボーイ。そして電通に就職と云うミーハーが一番喜ぶ道を辿っていた。しかし世界に飛び出した彼は、衰退しているアパレル業界へ、微力ながら何とか役に立ちたいと高い志を持っていた。それならいくらでも協力しますと、LAから僕は帰ってきた。その後10月に田中氏はハワイを訪れ、僕とデービッドベーリーのコレクションを撮影した。そして2008年8月、遂に世界のどこよりも早く日本での発売となった。実に楽しい本で、新たなアロハシャツ本として後年まで残るであろう秀作である。世界中のコレクターのヴィンテージアロハと名前が明らかになる。ぜひ手に入れてもらいたい。
最近世の中は世知辛い。世知辛いのはなるべくしてそうなったと今思う。それはこんなところで感じたりする。アロハシャツと云えば当然ハワイ。メードインハワイであるからこそ価値があると思う人も多いと考える。それが世知辛いに結びつき、ほとんどの大手ハワイアロハメーカーが中国産、韓国産になってしまった。これはもちろん従業員の増加による賃金の支払い、ガソリン代の大幅な値上げによる輸送費の高騰などなど考えられる。それはまだ良いとして生産国の表示に僕は憤りを感じる。design by hawaiiと書いてある下にmade in koreaと書いてある。昨日パイナップルドールに行って、美味しそうなパインのお菓子があった。これも仕入れはドールだけど、生産国はタイと書いてある。今日本では品質表示などの問題が大きく取り上げられているが、このハワイらしく見せて、実は全然関係のない国で作られている現状を見ると、
いずれ客離れが起きるような気がしてないらない。これではハマルことはできない。僕一人でもせめて気骨を見せねばなるまい。みなさんにハマってもらう為に.......。
今日は芸術的な話をしよう。この柄は今年僕が復刻したものである。オリジナルは「LAUHALA」社製。熊柄。今まで一度も見たことがない。何故このシャツを取り上げたかと云うと、オリジナルはなんとなんと18色使用していた。1950年代初期のものと考えられるが、凄い技術だと素直に感心する。もちろん日本で染めたものだ。原画から型を彫り、オーバープリントで仕上げてある。原画も恐らく当時日本人が書いたものであろう。この細かいタッチは、他の国では表現できない。去年柄を見せ染工所に確認したところ、今の最大の色数は15色とのこと。しかし「全く問題ない!」と力強く担当者は豪語していた。そこはプロにまかせることに即決断した。ハワイに船で生地が届き確認したところ、18色から15色に変わった3色不足の色は全く僕にはわからない。18色使ったのが昔の技術だとしたら、最大の色数で染めた現代の技術も凄い。昔と今の対決を垣間みた。こういう楽しいこともアロハの魅力のひとつである。今後も昔と今の勝負が続く展開に、期待していただきたい。